大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題118-矢倉の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲斎藤慎太郎七段 △野月浩貴八段 第77期順位戦 B級1組 2回戦 より

                              

【問題図:▽5五歩 まで】

いま後手が▽5五歩と銀取りに打った局面です。先手はここでどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲6五銀打です

【正解図:▲6五銀打 まで】

問題図から▲6五銀と単にかわす手は▽同銀▲同飛▽5四銀で、また▲5五同銀と取る手は▽6五桂と対応されると、いずれも先手の攻めが押さえられてしまいます。ゆっくりしていると後手の3七にいると金が働いてきますから、先手としては激しい戦いに持ち込んでいきたいところでした。

正解は▲6五銀打として強引に6筋を突破していく手です。正解図以下▽5六歩と駒得しにいくのは▲5四銀▽同金▲6三飛成▽4三銀▲6一龍▽5一銀▲6三銀が進行の一例です。(参考図1)

【参考図1:▲6一龍 まで】

途中▲6一龍と入る手が単純ながら厳しい一手です。後手は5筋に歩が効かないため▽5一銀と合い駒をしなければいけません。最終手▲6三銀と打った局面は先手が駒損ながら、後手陣に攻めこんでおり有望な局面だと思います。

そのため、実戦は正解図以下▽同銀▲同銀▽1五角と対応しました。(図1)

【図1:▽1五角 まで】

先手に▲6五同銀と取らせることで、飛車先を重くして攻めを遅らせる狙いです。図1の最終手▽1五角は、と金を受けながら▽4八とと入る手を狙っています。

しかしここでも好手があり、図1以下▲5四銀と出ます。(図2)

【図2:▲5四銀 まで】

ここでも銀を犠牲にして飛車を捌いていきます。図2以下▽同金▲6三飛成となった局面は、駒損ながら十分戦える局面です。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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【次の一手|プロの実戦】問題117-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲畠山 鎮七段 △谷川浩司九段 第77期順位戦 B級1組 2回戦 より

                            

【問題図:▲6八玉 まで】

後手の▽8八歩成に対し、いま先手が▲6八玉と逃げたところです。後手は先手玉をどのように寄せますか。五手一組の手順です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▽3八銀▲同金▽4六桂▲4八金▽4七銀です

【正解図:▽4七銀 まで】

問題図で後手玉は詰めろにはなっていないので、先手玉に必死をかけることができれば勝ちが近づきます。

問題図からの初手▽3八銀は、次に▽7八金以下の詰めろです。▲同金と取るよりありませんが、▽4六桂~▽4七銀と正解手順のように進めます。正解図▽4七銀と打った局面は受けが効かない形です。

正解図以下、実戦は▲6五桂と逃げ道を広げようとしますが、冷静に▽4八銀成と取った局面は先手玉に必死がかかっています。(図1)

【図1:▽4八銀成 まで】

 

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もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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【次の一手|プロの実戦】問題116-角換わりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲西尾 明六段 △宮田敦史七段 第68期王将戦一次予選 より

                                    

【問題図:▽6六角 まで】

いま後手が▽6六角と打ち、王手をかけてきたところです。先手はこの王手をどう受けますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                    

正解は▲8七玉です

【正解図:▲8七玉 まで】

正解は▲8七玉とかわす手です。以下▽9九角成と香を取られる手が気になるところですが、それには▲7七桂と跳ねておきます。(図1)

 【図1:▲7七桂 まで】

▲7七桂と跳ねた手が▲2九飛の効きを生かしており、部分的には馬を捕らえている格好です。

図1以下は▽8一香▲8五歩▽同飛▲同桂▽8六歩▲同玉▽9八馬と、飛車を捨てて馬を助ける順に進めました。(図2)

【図2:▽9八馬 まで】

先手は馬は取れなかったものの飛車を入手したので、攻めの手番が回れば反撃の楽しみがあります。

図2以下は▲7七玉▽8五桂▲同銀▽同香▲2四桂と、早逃げから手数を稼いで厳しく反撃します。(図3)

【図3:▲2四桂 まで】

図2からの初手▲7七玉の早逃げが好手です。図3の最終手▲2四桂と打った局面は、先手の▲5一にいる角の効きが存分にいかされている格好です。図3以下は▽同歩▲同歩▽3一桂▲5二飛と入手した飛車を効果的に使い、先手が攻め切りました。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題115-向かい飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲牧野光則五段 △星野良生四段 第90期ヒューリック杯棋聖戦一次予選 より

                            

【問題図:▲2二歩 まで】

いま先手が▲2二歩と垂らし、次の▲2一歩成を見せてきたところです。ここで後手から先手陣を攻略する好手順がありました。五手一組です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▽5六歩▲同歩▽7七角成▽同角▽3四桂です

【正解図:▽3四桂 まで】

正解図の最終手▽3四桂が、飛車取りと▽4六桂の両狙いの厳しい一手です。▲1六飛と逃げる手は▽1四歩と突き、次の▽1五歩から飛車を取る手を見て後手十分です。

実戦は正解図以下▲2八飛▽4六桂▲4七玉▽4九飛と進みます。(図1)

【図1:▽4九飛 まで】

▽3八桂成の前に1度▽4九飛と、敵陣に飛車を打ちこみます。図1以下▲4八歩▽3八桂成▲同玉▽6九飛成▲7九金▽5八龍▲4七角▽5七歩と進んだ局面は、後手の強襲を振りほどくことが難しく、後手が十分戦える局面だと思います。(図2)

【図2:▽5七歩 まで】

 

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もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

 

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【次の一手|プロの実戦】問題114-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲石田直裕五段 △近藤誠也五段・ 第4期叡王戦段位別予選五段戦 より

                                        

【問題図:▽4五金 まで】

いま後手が▽4五金と上がったところです。ここで先手には狙いの手順がありました。三手一組です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

正解は▲7二銀成▽同飛▲6一角です

【正解図:▲6一角 まで】

 ▲7二銀成▽同飛▲6一角が狙いの手順で、7二の飛車と3四の銀の両取りを狙った手順です。

正解図以下▽8二飛と逃げるのは、▲3四角成と銀を取る手が、次の▲3三歩と▲4五馬の2つの狙いを見て猛烈に厳しい一手となります。(参考図1)

【参考図1:▲3四角成 まで】

実戦で後手は正解図以下、▽8六歩と両取り逃げるべからずの格言通りに攻め合いを目指してきました。(図1)

【図1:▽8六歩 まで】

図1以下は▲同銀▽5五角▲7七銀▽3八銀▲同銀▽同歩成▲同金▽4六桂▲3九金と、一転して後手からの攻めの面倒を見ます。(図2)

【図2:▲3九金 まで】

暴れてくる相手の攻めに対して、丁寧に面倒を見ていきます。

図2以下、▽3八銀▲2四飛▽3三金に、そこで▲7二角成が飛車を取るベストなタイミングです。(図3)

【図3:▲7二角成 まで】

両取りをかけた時は、どちらか一方を相手が受けたらもう一方を取る、というのがタイミングですが、図3の最終手▲7二角成はまさにそのタイミングです。

後手の▽3三金が取られそうな片側の駒である3四の銀を守った手なので、▲7二角成ともう一方の駒を取ります。また▽3三の金を上がった手は、先手からみて2四の飛車と3九の金が2枚取られそうな形をしており、言ってしまえば両取りです。なので、両方逃げずに攻めの手を考えるというのは自然な発想です。

図3以下は▽2四金に▲4五馬と取った手が詰めろで先手が優勢です。(図4)

【図4:▲4五馬 まで】

▽同銀と取る手は詰めろではないため 、▲6二飛から詰めろをかけていけば良い局面です。実戦は図4以下▽3九銀不成と詰めろをかけますが、▲6一飛以下即詰みに打ち取っています。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題113-角換わりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三浦弘行九段 △屋敷伸之九段 第4期叡王戦段位別予選九段戦 より

                          

【問題図:▲6三金 まで】

いま先手が6二の金を▲6三金と引いて活用したところです。ここで後手はどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▽4一桂です

【正解図:▽4一桂 まで】

問題図の局面は後手が若干の駒損ながら、先手の攻め駒が少なく具体的な攻めも難しい状況です。戦いを長引かせれば後手の豊富な持ち駒が生きる展開となり、形勢が傾いていきそうな局面です。ここではその長引かせる狙いを実践する▽4一桂が正解手です。

問題図から次に▲5三角成を許してしまうと、一気に先手の攻めの選択肢が広がり、後手が指しにくくなってしまいます。一方で▲5三角成を防いでしまえば、先手からさほど脅威な攻めはありません。桂を受けに使っても後手には角銀桂という豊富な持ち駒があり、楽しみのある局面が続きます。具体的には▽3六桂などが狙いとなります。

 

攻めに困った先手は正解図以下、▲3四歩▽同金▲5三金と、金を捨てて強引に駒の活用を図りますが、ここも金を取らずに▽6五角が好手です。(図1)

【図1:▽6五角 まで】

図1の▽6五角に代えて▽同桂とするのは、やはり▲同角成で先手良しです。▽6五角は先手の▲4三金を防ぎながら、次に▽3六桂や▽3六銀を狙いにした攻防手です。

このように、攻めの有効手が限られている側は、有効手を消されていくと苦しくなっていきます。中盤で優勢になってからの参考になる指し回しだったのではないかと思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題112-相振り飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲竹内雄悟四段 △桐山清澄九段 第77期順位戦 C級2組 1回戦 より

                                

【問題図:▽6七金 まで】

いま後手が▽6七金と打ってきたところです。一手を争う終盤戦で手筋の一着がありました。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                

正解は▲5九飛です

【正解図:▲5九飛 まで】

飛車をタダ捨てして5七に利かす▲5九飛が正解です。働きの弱い飛車を捨てて一手を稼ぐ終盤の手筋です。終盤は駒の損得より速度の格言通りの一着で、飛車を取らせる代償に一手を稼ぎます。

問題図の局面は先手玉にまだ詰めろはかかっていません。ですが、問題図からすぐに▲6四歩と攻めると、以下▽4七桂成▲3五玉▽5七馬▲4四玉▽6四金と対応されます。(参考図1)

【参考図1:▽6四金 まで】

参考図1までの手順は、先手玉を4段目まで誘い込むことで2四の龍の横効きを止めるのが狙いです。こうすることで▽6四金と取られてしまいます。参考図1は後手玉に対して迫る手が全くなく、後手が勝勢となってしまいます。

そのため、正解図の▲5九飛で一手を稼ぐ必要がありました。正解図以下は▽同馬▲6四歩と進めます。(図1)

【図1:▲6四歩 まで】

今度は後手が▲6四歩を防ぐ手段がありません。▲5九飛が格言を実践した見事な終盤の手筋だったと思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題111-横歩取りの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三浦弘行九段 △八代 弥六段 第26期 銀河戦 本戦Dブロック 10回戦 より

                              

【問題図:▽8四飛 まで】

いま後手が▽8四飛とまわったところです。これから本格的な戦いがはじまる前に、やっておきたい手順があります。三手一組の手順です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲7四歩▽同飛▲7七歩です

【正解図:▲7七歩 まで】

問題図では後手が金銀四枚の堅陣であるのに対し、先手は金銀二枚で薄い囲いです。また後手の桂にも自玉の急所に跳ねられている状況でした。問題図から部分的には▲2五桂という攻めが成立しそうですが、双方の玉型差から攻めの反動がきつそうです。

ここは▲7四歩▽同飛▲7七歩と自陣の傷を無くすのが好手順です。▲7四歩が▽8四飛とまわった手を利用した手で、飛車取りになる仕組みです。このように戦いの前に自陣を整備しておくのは重要なポイントです。

 

正解図以下、後手が何もしなければ▲2五桂から攻めていく狙いがあるので、後手は▽7六歩▲同歩▽7七歩▲同桂▽同桂成▲同銀▽6五桂と、先行してきました。(図1)

【図1:▽6五桂 まで】

図1以下、先手は▲3四歩▽同飛▲4六桂▽3六飛▲3四歩と反撃に出ます。(図2)

【図2:▲3四歩 まで】

後手の攻めで交換になった桂を利用して反撃し、元々狙っていた攻めよりも厳しい攻めが成立しました。図2の局面は先手の攻めが急所に刺さっているのに対し、後手から先手に厳しい攻めの継続手が無いため、はっきり先手が優勢です。

自陣の傷を消して次に本格的に攻めを見せることで、逆に相手から先に攻めさせ、駒を入手して反撃を決めました。まるで武道を見ているかのよう攻防が印象に残った手順でした。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題110-矢倉の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲近藤誠也五段 △近藤正和六段 第77期順位戦C級1組1回戦  より

                          

【問題図:▽4三銀 まで】

先手の▲3五香に、いま後手が▽4三銀と引いたところです。単に金を取る手も魅力的ですが、後手玉にさらに厳しく迫る手順がありました。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▲1一銀です

【正解図:▲1一銀 まで】

正解は▲1一銀と、銀を捨てて玉を端に呼ぶ手です。

正解図以下、▽同玉に▲3二香成▽同銀▲3一角が狙いの手順です。

【図1:▲3一角 まで】

図1の最終手▲3一角が猛烈に厳しい一手です。次に▲2二金の一手詰めと6四の飛車取りという、詰めろ飛車取りがかかりました。

後手は▽2二銀と打って受けるしかありませんが、以下▲6四角成と飛車を取った局面は、先手が不敗の態勢です。

【図2:▲6四角成 まで】

 

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【次の一手|プロの実戦】問題109-矢倉の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲阿部健治郎七段 △真田圭一八段 第77期順位戦C級1組1回戦 より

                              

【問題図:▲6六歩 まで】

後手の▽8八角に対し、いま先手が▲6六歩と受けたところです。ここで後手に狙いの一手がありました。後手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▽7五桂です

【正解図:▽7五桂 まで】

▽7五桂が狙いの一手でした。正解図以下▲5七玉と逃げるのは▽4六銀以下、長手数の詰みがあります。一例の詰手順は、▽4六銀▲4八玉(▲6八玉は▽5七角からバラして並べ詰み)▽3七銀成▲同玉▽4六角▲2七玉▽3五桂▲3八玉▽3七銀▲4九玉▽3八金▲5九玉▽6七桂という手順です。(参考図1)

【参考図1:▽6七桂 まで】

参考図1以下、▲同金は▽4八銀成▲6九玉▽7九角右成までの詰みですし、▲6九玉と逃げるのも▽7九角右成までの詰みです。

 

正解図以下、実戦は▲同歩と取りましたが、▽9四角と王手龍取りをかけるのが狙いの一手です。(図1)

【図1:▽9四角 まで】

図1以下▲7八玉と角取りに当てながら逃げました。これは▽6一角なら▲8八玉と角を取ってもう1勝負するという狙いです。しかしここで▽5八角成と金を取るのが決め手です。(図2)

【図2:▽5八角成 まで】

図2の局面は▽8七銀▲同玉▽7六銀以下の詰めろですが、先手はこれを受ける適切な受けがありません。後手玉は詰まないため、図2は後手が勝勢の局面です。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題108-雁木の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲青野照市九段 △門倉啓太五段 第77期順位戦C級1組1回戦 より

                              

【問題図:▽1三金 まで】

先手の▲2四歩に対し、いま後手が▽1三金と逃げたところです。攻めを繋げたい先手はここからどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲1五歩です

【正解図:▲1五歩 まで】

先手は自玉が穴熊の堅陣に囲えているため、攻めさえ繋がれば勝ちが近づきます。問題図では5五の角取りになっていますが、構わずに▲1五歩と攻める手が正解です。

正解図以下、▽2五歩▲同飛▽5五銀▲1四歩と攻めます。(図1)

【図1:▲1四歩 まで】

角だけでなく、飛車も逃げず▲1四歩と攻めていきます。これぞ穴熊の暴力という手順です。

実戦は図1以下、▽6六銀▲1三歩成▽3二玉▲4四金▽2五桂▲2三歩成▽4一玉▲6六銀と進みました。(図2)

【図2:▲6六銀 まで】

先手は飛車と角を両方とも差し出しましたが、最終手▲6六銀と取った局面は次に▲3二銀以下の詰めろがかかっています。以下▽6二角と退路を開きますが、▲5三歩以下、先手の攻めが繋がる展開となりました。

穴熊という堅陣を生かした、見事な攻めの手順だったと思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題107-相掛かりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲宮田敦史七段 △青嶋未来五段 第77期順位戦C級1組1回戦 より

                      

【問題図:▲6五角 まで】

いま先手が▲6五角と打ち、金と香の両取りをかけたところです。先手の技が決まったように見えますが、後手はここからうまい手順で切り返します。五手一組の好手順です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      

正解は▽5四飛▲9二角成▽8三歩▲6八玉▽9四飛です

【正解図:▽9四飛 まで】

▲6五角に対し、当然ながら後手は金を受けなければいけません。後手は▽5四飛と飛車を角筋に入れて受けます。先手は▲9二角成と香を取りますが、そこで▽8三歩と馬筋を遮断します。正解手順の最終手▽9四飛とまわった局面は、先手の馬が詰まされている形です。

正解図以下は、▲8二馬▽7一金▲同馬▽同玉と進みます。(図1)

【図1:▽7一同玉 まで】

図1の局面は後手が駒損ながら、先手には歩切れである点や、▲3六の銀の活用が見込めていないという不安材料があります。

一方で後手は遊び駒がなくバランスの良い布陣であるため、図1の局面は後手も十分に戦える局面だと思います。あえて両取りをかけさせて馬を召し取るという、印象に残った手順でした。

 

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