大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

次の一手問題で上達する技術

将棋には様々な上達方法があります。次の一手問題も上達方法の1つですが、個人的には「詰将棋」「棋譜並べ」「実戦対局」などに比べてややマイナーというか、主要な勉強法にはなっていない印象があります。次の一手問題を解くことはとても効果がある勉強法だと思っているので、今回記事にしてみようと思いました。

 

次の一手問題については、過去の記事でその魅力について書いたことがあります。

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こちらの記事では、次の一手問題が手軽にはじめることができ、また挫折しにくい勉強法であることを自らの経験から記載しています。ただ、具体的にどのような技術の上達に役立つかを記載していませんでした。

そこで今回は次の一手問題を解くことで、棋力向上にどのような効果があるのかについて考察をした内容を記載しています。よければ参考にしてみてください。

 

1.局面やテーマごとの様々な手筋を覚えられる

次の一手の問題に主に取り上げられるのは、様々なテーマに沿った手筋です。代表的なものとしては必死問題があり、必死のかけ方や必死の凌ぎ方など特定のテーマでまとめられたものが有名です。次の一手問題を解くことで、これらの"手筋"と呼ばれる技術を身に着けることができます。

■テーマごとの手筋をまとめた次の一手問題例

 

2.状況判断、意思決定の練習ができる

詰将棋や先述した必死問題などは、事前に指し手の目的が決まっています。例えば詰将棋であれば"詰ます"という目的が決まっており、当たり前ですが詰む前提で問題が作られています。ただし実戦対局では、その前に"どのような目的の手を指せばよいか"という意思決定をする必要があります。

これは終盤における思考プロセスにスポットを当てるとわかりやすいでしょう。まずは以下の図1を見てみてください。

【図1:終盤戦における読みの組み立て フローチャート】

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これは終盤力養成書として定評のある、金子タカシさんの棋書"凌ぎの手筋200"から抜粋した”終盤の読みの組み立て”について、フローチャートに図式化したものです。

「読みの開始」からスタートして、上から順番に条件判断をしていきます。途中の条件に当てはまるかどうかで進むルートを決めていき、辿り着いた青い四角の部分が終盤における正しい意思決定内容です。この図の通りに正しく状況判断を進めていき、青い四角に記載された内容通りの指し手を実現できれば、終盤で勝てるようになります。

詰将棋であれば「敵玉に詰みがあることが前提」になっています。つまり図1であれば「2.敵玉に詰みがあるか?」の質問にYesと判断された後の話です。必死問題であれば「敵玉に必死がかかることが前提」に問題が構成されています。

このように詰将棋や必死問題では「敵玉に詰みがあるか?」「敵玉に必死がかかるか?」という条件判断は既に終わっています。しかし実戦ではこれらの技術を活用する前に、条件判断をして終盤で何をすべきか意思決定をする、つまりは「フローチャートを辿る技術」が求められてきます。

その練習に役立つのが「指し手の目的が明示されていない次の一手問題」です。以下は当ブログで毎回紹介させていただいている2冊ですが、「序盤・中盤・終盤」と局面ごとにスポットを当てているものの、指し手の目的は事前に明確にされていません。このような次の一手問題であれば、図1のフローチャートを辿る練習をすることができます。

 ■指し手の目的が明示されていない次の一手問題例

例えば「終盤の手筋」 の場合、敵玉を詰ます問題、敵玉に必死をかける問題、自玉の詰みを凌ぐ問題、攻防手を考える問題など、様々な問題がランダムに出題されています。そのため、図1のフローチャートを正しく辿ることができなければ、正しい目的の一手に辿り着くことは出来ないでしょう。

ただし上記の書籍含め、大抵の次の一手問題には、次の一手の目的が記載された「ヒント」が載っています。

そこで個人的に効果があると考えている勉強方法としては、1週目はヒントを見ながら手筋を覚え、2週目はヒントを隠して状況判断と意思決定をするところから考える練習をすれば良いのではないかと思います。

 

まとめると、次の一手問題では以下2点の技術が取得できると考えています。

  1. 様々な手筋の取得
  2. 正しい状況判断能力・意思決定能力の取得

特に2点目の正しい状況判断能力と意思決定能力の取得は、実戦対局以外ではなかなか身に付きにくい技術だと思いますので、次の一手問題を勉強方法に取り入れる価値は大いにあるのではないでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

【次の一手|プロの実戦】問題126-向かい飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲佐藤康光九段 △塚田泰明九段 第68回NHK杯テレビ将棋トーナメント より

                        

【問題図:▽5四同歩 まで】

いま後手が▽5四同歩としたところです。局面は先手優勢ですが、ここから後手玉をどう寄せるか考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        

正解は▲1六香です

【正解図:▲1六香 まで】

▲1六香と走る手が正解です。▽同銀と取らせることで2四に香を打てるスペースを作るのが狙いです。正解図以下、▽1六同銀に▲2四香と打った手が左右挟撃の厳しい攻めになっています。(図1)

【図1:▲2四香 まで】

左右挟撃の攻めは、片側から攻めるよりも少ない数の駒で相手玉を寄せることができます。図1も先手の攻め駒がそれほど多くないのにも関わらず、後手の受けが難しいことがわかります。

図1以下▽3一玉▲5二馬と進み、見事に挟撃体制を築きます。(図2)

【図2:▲5二馬 まで】

図2から飛車を逃げるのは▲1三歩成が詰めろとなって一手一手です。先手玉には詰めろがかからないため、図2の局面は先手が勝勢です。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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【次の一手|プロの実戦】問題125-雁木の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲永瀬拓矢七段 △渡辺 明棋王 第66期王座戦挑戦者決定トーナメント より

                                  

【問題図:▲6八同玉 まで】

いま後手の▽6八歩に対して▲同玉と取ったところです。後手は先手玉をどのように寄せますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                  

正解は▽8六角です

【正解図:▽8六角 まで】

▽8六角と角を捨てる手が正解です。

正解図以下、▲同金▽7七角▲6九玉▽5七桂不成▲7八玉▽8六角成と進みます。(図1)

【図1:▽8六角成 まで】

途中の▽5七桂不成が重要な一手で、先手玉を7八の危険地帯に呼び寄せる一手です。代えて単に▽8六角成では▲6八金打と粘る手があります。(参考図1)

【参考図1:▲6八金打 まで】

これでも後手がはっきり優勢ではありますが、図1の局面と比較するとまだ先手玉に粘る余地がありそうです。そのため、▽5七桂不成▲7八玉としてから▽8六角成とするのが好手順です。

図1の局面は先手玉は受け無しです。実戦は図1以下▲7七歩と受けますが、▽同馬が決め手です。(図2)

【図2:▽7七同馬 まで】

図2以下、▲同玉▽6五桂▲6八玉▽8八飛成▲7八金▽6九金▲同飛▽同桂成▲同玉▽3九飛と進みます。(図3)

【図3:▽3九飛 まで】

図3以下は5九に何を合い駒しても▽7九金以下の詰みです。5八の金を引く移動合も、▽7八龍▲同銀▽5九飛成▲同玉▽5八金以下ぴったりの詰みです。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

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【次の一手|プロの実戦】問題124-中飛車の序盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲菅井竜也王位 △豊島将之八段 第59期王位戦七番勝負 第1局 より

                              

【問題図:▽8四飛 まで】

先手の▲7五歩に対し、いま後手が▽8四飛と浮いて受けたところです。ここから先手に機敏な攻め筋がありました。三手先まで読む問題です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲7四歩▽同飛▲7五銀です

【正解図:▲7五銀 まで】

▲7五銀と銀を捨てる手がありました。正解図以下▽同銀は▲5三歩成、▽同飛は角交換から▲6六角とする狙いです。

実戦は正解図以下、▽同飛▲2二角成▽同玉▲5三歩成▽同金▲6六角と進みます。(図1)

【図1:▲6六角 まで】

後手は銀得を主張すべく、あえて王手飛車をかけさせる順を選択しました。

図1以下、▽5五歩▲7五角▽同銀▲7一飛▽3二銀▲4二歩▽3一金▲5五飛と進みます。(図2)

【図2:▲5五飛 まで】

図2まで進み、先手は金銀銀の三枚取りをかけて駒損を回復することに成功しました。

図2以下▽6四銀▲4五飛と進んだ局面は、駒の損得なく先手が飛車を2枚持つ展開です。▲7五銀から先手が序中盤で優位を築くことに成功しました。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

 

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【次の一手|プロの実戦】問題123-三間飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲杉本昌隆七段 △高崎一生六段 第77期順位戦 C級1組 より

                        

【問題図:▽6四角 まで】

いま後手が▽6四角としたところです。ここで先手はどのように指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        

正解は▲5七角です

【正解図:▲5七角 まで】

▲5七角と上がる手が正解です。これは次に▲7五歩と突いて銀を取る手を狙っています。問題図ではまだ後手玉が囲いに入っていないため、先手は早めの戦いに持ち込むことができれば優勢になる可能性が高まります。

正解図以下、▽9五歩▲7五歩▽3四歩▲2五飛▽2四歩▲同角▽同金▲同飛と進行します(図1)

【図1:▲2四同飛 まで】

後手はあっさり駒損するわけにはいかないので、▲7五歩に対して▽3四歩~▽2四歩と飛車を追いかけます。対して先手はあっさり▲2四同角として、駒損ながら飛車を捌いていきます。

先手は飛車を敵陣に成り込める形にすることができ、狙い通り早い戦いにすることができました。図1は後手の手番ですが、▲7五歩の対処をしなければならないため、実質手番は先手にある局面です。以上の理由から、図1は先手が駒損ながら十分戦える局面ではないかと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

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【次の一手|プロの実戦】問題122-三間飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三枚堂達也六段 △杉本和陽四段 第90期ヒューリック杯棋聖戦一次予選 より

                                    

【問題図:▽7四香 まで】

いま後手が▽7四香と打ったところです。次の狙いは当然▽7七香成ですが、先手はこれをどう受けますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                    

正解は▲6六銀です

【正解図:▲6六銀 まで】

▲6六銀と受けるのが正解です。代えて▲7六歩と受けるのが自然に見えますが、以下▽8四桂▲6八桂▽5七銀が進行の一例です。(参考図1)

【参考図1:▽5七銀 まで】 

この変化も先手悪くはありませんが、▲5五銀の働きが気になるところです。参考図1の最終手▽5七銀と打った局面は、後手にも楽しみのある局面だと思います。

 

正解手の▲6六銀以下▽7七香成とするのは、▲同銀と取った形が先手陣に全く嫌味がありません。

実戦は正解図以下、▽6五歩▲7五歩▽6六歩▲7四歩と進みます。(図1)

【図1:▲7四歩 まで】

一連のやり取りで香銀交換の駒損にはなったものの、先手の堅陣は健在です。次に▲7五桂など上部からの攻めが楽しみで、入手した香も生きる展開となりそうです。

この一連の手順によって、問題図で働きが曖昧だった5五の銀を捌き、攻め駒を増やすことができました。図1の局面は先手に一枚もたりとも遊びゴマが無く、中盤を完全に制した局面と言えると思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題121-矢倉の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲斎藤慎太郎七段 △郷田真隆九段 第44期棋王戦挑戦者決定トーナメント より

                          

【問題図:▲3五桂 まで】

いま先手が▲3五桂と打ったところです。次に▲5二角成からの攻めを見せられているため、後手はこれを受けなければいけません。どのように受けますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▽2三桂です

【正解図:▽2三桂 まで】

▽2三桂が受けの手筋です。▲同桂成なら▽同玉と取り、再度の▲3五桂には▽3四玉と上部に逃れることができます。

実戦は正解図以下、▲5二角成▽同金▲4三桂成▽7六歩と進みました。(図1)

【図1:▽7六歩 まで】

先手はやむなく角を切って攻めていきましたが、図1の局面は後手玉がなかなか詰む形が見えてきません。▽2三桂の受けで▲4三桂成と成らされたことで上部から攻めていけない形となり、後手玉の耐久力が一気に上がりました。

一方で▽7六歩と取り込まれた先手玉は、上部から攻められるためわかりやすい寄り形が見えています。▽2三桂という受けの手筋で、先手玉と後手玉の耐久力に差がつく展開となりました。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題120-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲松尾 歩八段 △三浦弘行九段 第31期竜王戦決勝トーナメント より

                          

【問題図:▲6五同歩 まで】

いま先手が▲6五同歩と香車を取ったところです。先手玉を寄せたいところですが、後手はここでどのように指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▽6六歩です

【正解図:▽6六歩 まで】

▽6六歩と垂らす手が正解で、次に▽6七歩成を狙った手です。代えて▽4七角成も有力ですが、▲1二香▽同香▲同香成▽同香▲1四香と反撃される展開になります。この変化でも後手が優勢ですが、決めれるところは決めにいきたいところです。

実戦は正解図以下▲4八金と引いて▽4七角成を受けましたが、以下▽6七歩成▲7九金▽7八飛▲同金▽同角成▲9七玉▽8八金と進みます。(図1)

【図1:▽8八金 まで】

次の▽8七金の狙いが解っていても受かりません。実戦もここで投了しました。

 

正解手の▽6六歩は2つのセオリーに基づいた手筋です。

1点目は相手の歩の裏に歩を垂らすことです。先手の▲6五歩の裏側である▽6六歩と垂らすことで、先手は▲6八歩と受けることができません。

2点目は"金は斜めに誘え"という格言です。上ずった金は守りの面ではほとんど役に立たなくなるため、単に駒を取るよりも遥かに高い価値があります。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題119-中飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲増田康宏五段 △阿久津主税八段 第26期 銀河戦 本戦Fブロック 10回戦 より

                        

【問題図:▽6三同桂 まで】

いま先手の▲6三香成に対し、後手が▽6三同桂と取ったところです。先手陣は鉄壁なので寄せを考えていきたいところですが、どう寄せますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        

正解は▲7三桂です

【正解図:▲7三桂 まで】

▲7三桂が手筋の寄せです。▽同金は▲8二銀▽同玉▲7一角以下詰むため、後手はこれを取ることはできません。実戦は正解図以下▽7一香の受けに対して▲6二角と打ちました。これが決め手です。 (図1)

【図1:▲6二角 まで】

図1以下▽同金と取るのは▲7一龍が必死です。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

 

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社団戦に参加してきました

先週の日曜日7月1日に社団戦が開幕しました。これから約4か月に渡り、社会人の将棋好きによる熱い熱い団体戦が行われます。去年は仕事の都合でほとんど参加できませんでしたが、今年は初日から参加することが出来てホッとしています。

僕はどちらかというと、同じチームの人達の将棋を観戦して楽しむことを目的で顔を出しています。ただ今回は人が少なかったこともあり、3局出させてもらいました。普段長い持ち時間で指す機会もあまりないので、対局の内容を自戦記に整理してみました。


1局目:居飛車 対 角交換四間飛車 

1局目は僕が先手で、相手の方は角交換四間飛車を採用しました。序盤のこちらの駒組みの欠陥を咎められ、逆棒銀から先行されあっさりと劣勢になってしまいます。

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図1は中盤戦ですが、ここでは少し形勢を盛り返しています。いま▽1九成銀と香車を取ったところで、次に▽4五銀~▽5六香の攻めを狙っています。実戦はここで▲8九玉と早逃げしましたが、これが好手だったようで、以下後手の攻めを遅らせることに成功しました。

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早逃げすることで後手の飛車の効きから玉をズラしたのがポイントです。飛車の効きからズレておくことで、▽4五銀には▲4四馬▽5六香▲4五馬と対応することができます。この順であれば後手の攻めを受けきれそうな雰囲気です。

 

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図2から30手ほど進んで図3です。ここから▲6五歩▽5三角▲6四歩▽同角▲6二歩▽同金▲7一金と攻めていきました。

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角を追いながら6筋に歩が効くようにすることで、攻め駒を増やすことに成功しました。最終手▲7一金はザ・俗手といった攻めですが、確実な攻めで良かったようです。図4は次に▲8一金▽同銀▲8三香成というシンプルな狙いです。

 

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十数手進んで図5。自玉は堅いので攻めさえ繋がれば勝利が見えてきます。ここから▲7一角成▽同玉▲6四桂としました。

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図6以下は▽同歩▲6三金として下段玉を押さえにかかり、なんとか寄せきりました。序盤はさておき、中盤以降はまずまず指すことができたと思います。

 


2局目:先手ゴキゲン中飛車 対 居飛車

2局目は僕が後手で、相手の方は先手番のゴキゲン中飛車を採用しました。またしてもこちらの駒組みに欠陥があり、その欠陥を簡単に咎められてしまいます。

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図7の何気なく指した最終手▽4二金右が危険で、▲6四角が激痛です。以下▽7三角▲同角成▽同桂▲7五歩▽6三銀▲7四歩▽同銀▲4五歩▽同桂▲同桂▽同銀▲6四角と進んで図8。

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図8の最終手▲6四角に代えて▲5五飛と走ってくれれば▽6四角が準王手飛車でしたが、当然ながら▲6四角と先着されます。大劣勢となってしまいました。

 

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図8から一気に40手ほど進めて図9です。自陣角や自陣飛車を打ってひたすら粘っています。先手は次に▲4一銀成を狙っており、▲4一銀成を許すと受けが完全に無くなってしまいます。ここで単に▽3二角と受けるのでは勝ち目が薄いと思いました。受け一方の手ですし、守りの面においても薄い受け方に見えます。

実戦は図9から▽5五角と角を出ました。以下▲4六銀打に▽同角▲同銀と角を切り、入手した銀を▽3二銀と埋めます。

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こちらのほうが角を埋めるよりも自陣がしっかりします。また先手の玉型を乱すことで、少しでも相手玉を見える形にできたのは大きなところだと思います。

 

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少し進んで図11です。相変わらず先手の猛攻を受けているところですが、いよいよ受けが難しくなってきました。実戦はここで▽6四角と打ちました。先手の▲3一馬の防ぎながら、4六の銀を狙った手です。この手を境に、局面が混沌とした印象がありました。

以下もずっと苦しい形勢が続きましたが、最後は相手の方に錯覚があったようで勝ちを拾うことができました。序盤はかなり慎重に指しているつもりなのに、簡単に悪くしてしまうのはなぜなのか。。。

 


3局目:居飛車 対 ゴキゲン中飛車

3局目は僕の先手で、相手の方はゴキゲン中飛車を採用しました。こちらは丸山ワクチンを採用し、1~2局目とは違って穏やかな序中盤になります。丸山ワクチンに対する相手の方の構想が参考になったので、少し紹介させていただきます。

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図12は丸山ワクチンの出だしでよくある序盤戦ですが、最終手▽5五角が相手の方の作戦です。確実に一歩得できるのでしばしば見かける一手ですが、参考になったのはこの後の構想です。図12から30手ほど駒組みが続いて図13を迎えます。

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一歩得したからといって自分からガンガン攻めてくるのではなく、図13のようにバランス良く構えます。打った角は▽4二角と引いて先手の飛車先をケアする役割を担当させておき、負担の軽くなった▽3三銀を▽4四銀と進出させて中央の守備を担当させます。このように守備駒の負担をうまく分担させることで、先手からの仕掛けを難しくして千日手を狙う構想だったようです。

千日手を狙う構想は、対丸山ワクチンにおける1つのセオリーです。ただこの作戦の魅力は、角の効きを生かしていつでも端攻めを狙うことができる点です。持ち歩が一枚だけではすぐには成功しないでしょうが、持ち歩が二枚になるといつでも▽9五歩▲同歩▽9七歩から端攻めがありそうです。下段飛車も端攻めの応援に回せるので、居飛車からするとかなりのプレッシャーですね。

つまり先手は歩を渡しにくく、局面の打開に制約がかかっていると言えそうです。角交換の将棋においては、角を手持ちにしておくことで相手の駒組みに制約をかけるというのが一般的な考え方だと思います。ただこの将棋にように、あえて角を手放すことで、より大きな制約をかけるという指し方もあるようです。とても参考になりますね。

実戦も先手にとって、指し方が難しい序中盤となりました。

 

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図14は終盤の入り口です。後手から次の▽5六歩が厳しく、先手が少し苦しい局面です。実戦は形勢の紛れを求めて▲7五歩と突いていきました。以下▽同歩▲6六桂と進みます。

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図15のじっと▲6六桂と打った手が好手だったようです。後手が攻めるとしたら▽5六歩と取るしかありませんが、その瞬間に角筋が開くので▲7四歩が厳しい手になります。実戦もそう進み、先手が攻め合い勝ちを目指せそうな流れになりました。

ただ厳密には図14の形勢は苦しかったようで、▲7五歩には▽同歩と取らずに▽5六歩とされていたら依然後手が優勢だったようです。

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変化1以下▲7四歩▽同銀▲6六桂には▽7五金と打つ手が手厚い受けです。

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変化2以下▲7四桂▽同金となった局面は後手陣の上部が非常に手厚い構えをしています。後手玉を上部から攻略するのは難しく、また後手は▽6七銀成から確実な攻めがあるため、変化2は後手が優勢な局面だと思います。

 

実戦はチャンスを掴み、終盤を1手勝ち模様で迎えます。

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図16以下、▲8五桂打▽同歩▲同桂▽8四銀打▲7四歩▽同銀と、順調に攻めていきます。

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勝ちまであと少しでしたが、ここで間違えてしまいました。図17以下、▲同桂▽同金▲8四角成と進めて図18です。

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実戦ではここで▽同金と取られた時の即詰みばかりを一生懸命に読んでいました。即詰みを読み切ってドヤ顔で▲8四角成としましたが、次の一手でフリーズします。

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▽5五角が攻防手で、王手をしながら7三に効きを足しています。こうすることで、▽8四金とした時の後手玉の即詰みを消しています。

少し前の図16の局面では玉の斜めのラインに2枚の桂が居たこともあり、角で王手される筋が全く見えていませんでした。改善案として、図17から▲7三桂成▽同銀▲5一角成と飛車を取っておけば勝ちだったようです。

図19以下は相手の方に滞りなく指し回されて綺麗に1手負けでした。ただ負けはしたものの、序盤、中盤、終盤に渡って面白い内容だったので、指していてとても楽しかったです。

 

以上3局で、2勝1敗というスタートでした。自分の実力や対戦相手の方々の実績を考えれば、十分すぎる結果だったと思っています。勝ち負け云々関係なく3局とも面白い将棋だったので、指していてとても楽しかったです。毎年社団戦に出ることができた時は、将棋に打ち込める機会があるだけで幸せだなと感じます。

次回の社団戦は7月29日(日)です。無料で自由に出入りが可能なので、もしよければ足を運んでみてはいかがでしょうか!

東京アマチュア将棋連盟

http://toushouren.world.coocan.jp/shadan/29/29_shadan02.pdf

 

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【次の一手|プロの実戦】問題118-矢倉の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲斎藤慎太郎七段 △野月浩貴八段 第77期順位戦 B級1組 2回戦 より

                              

【問題図:▽5五歩 まで】

いま後手が▽5五歩と銀取りに打った局面です。先手はここでどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲6五銀打です

【正解図:▲6五銀打 まで】

問題図から▲6五銀と単にかわす手は▽同銀▲同飛▽5四銀で、また▲5五同銀と取る手は▽6五桂と対応されると、いずれも先手の攻めが押さえられてしまいます。ゆっくりしていると後手の3七にいると金が働いてきますから、先手としては激しい戦いに持ち込んでいきたいところでした。

正解は▲6五銀打として強引に6筋を突破していく手です。正解図以下▽5六歩と駒得しにいくのは▲5四銀▽同金▲6三飛成▽4三銀▲6一龍▽5一銀▲6三銀が進行の一例です。(参考図1)

【参考図1:▲6一龍 まで】

途中▲6一龍と入る手が単純ながら厳しい一手です。後手は5筋に歩が効かないため▽5一銀と合い駒をしなければいけません。最終手▲6三銀と打った局面は先手が駒損ながら、後手陣に攻めこんでおり有望な局面だと思います。

そのため、実戦は正解図以下▽同銀▲同銀▽1五角と対応しました。(図1)

【図1:▽1五角 まで】

先手に▲6五同銀と取らせることで、飛車先を重くして攻めを遅らせる狙いです。図1の最終手▽1五角は、と金を受けながら▽4八とと入る手を狙っています。

しかしここでも好手があり、図1以下▲5四銀と出ます。(図2)

【図2:▲5四銀 まで】

ここでも銀を犠牲にして飛車を捌いていきます。図2以下▽同金▲6三飛成となった局面は、駒損ながら十分戦える局面です。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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【次の一手|プロの実戦】問題117-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲畠山 鎮七段 △谷川浩司九段 第77期順位戦 B級1組 2回戦 より

                            

【問題図:▲6八玉 まで】

後手の▽8八歩成に対し、いま先手が▲6八玉と逃げたところです。後手は先手玉をどのように寄せますか。五手一組の手順です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▽3八銀▲同金▽4六桂▲4八金▽4七銀です

【正解図:▽4七銀 まで】

問題図で後手玉は詰めろにはなっていないので、先手玉に必死をかけることができれば勝ちが近づきます。

問題図からの初手▽3八銀は、次に▽7八金以下の詰めろです。▲同金と取るよりありませんが、▽4六桂~▽4七銀と正解手順のように進めます。正解図▽4七銀と打った局面は受けが効かない形です。

正解図以下、実戦は▲6五桂と逃げ道を広げようとしますが、冷静に▽4八銀成と取った局面は先手玉に必死がかかっています。(図1)

【図1:▽4八銀成 まで】

 

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