【次の一手|プロの実戦】問題10ー中飛車の中盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲永瀬拓矢七段 △近藤正和六段 第76期順位戦C級1組8回戦 より
【問題図:▽3二馬 まで】
相穴熊の中盤戦です。ここからの永瀬七段の指しまわしが思わず「上手い」と言ってしまいそうな手順でした。先手の懸念点としては8六の角と6六の銀の活用です。
自陣の角銀を効率よく活用する手順を考えてみてください。五手一組です。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▲7七銀引▽5一銀▲6八銀▽3三桂▲7七角 という手順です。
【正解図:▲7七角 まで】
順を追って見て行きましょう。まず一手目の▲7七銀引(図1)
【図1:▲7七銀引 まで】
5七の地点を明け渡す手ですが、仮に▽5七飛成なら▲6三歩成(参考図1-1)が厳しく、先手良しです。
【参考図1-1:▲6三歩成 まで】
参考図1-1以下▽同歩なら▲4二飛成から2枚換えで先手が駒得になります。参考図1-1以下で▽4六龍も、▲7二とで先手が駒得になり優勢です。
▽5七飛成とは成れないため、本譜は▽5一銀として上記2枚換えの変化を避けますが、そこで▲6八銀(図2)とします。
【図2:▲6八銀 まで】
問題図と比較してみてください。一瞬にして先手の▲6六銀が▲6八銀に移動したことが解ります。自陣が一気に堅くなりました。さらに参考図2から▽3三桂▲7七角(正解図)と進めて正解図に合流です。
【正解図:▲7七角 まで】
懸念だった角の活用にも成功し、かつ自陣は鉄壁の穴熊に組み替えることが出来ました。正解図以降、先手は▲3五歩や▲4五桂を狙い筋に攻めることができます。
また、6六にいた銀を6八まで引き付けることに成功したことで、後手玉の穴熊よりも先手玉が堅い穴熊に組み替える事に成功しました。こうすることで強い戦いを行うことができ、攻めの選択肢を広げることができます。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
もし良ければ、以下の問題にも続けてチャレンジしてみてください!