大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【初心者にオススメの戦法】四間飛車で将棋の基本を身に着ける

アマチュアで人気な戦法の代表格といえば、四間飛車でしょう。四間飛車は初心者の方に最初に身に着けることを薦めている人も多い戦法です。攻守のバランスが良く、定跡がきっちり整備されているのが特徴です。

当記事では四間飛車とはどんな戦法なのかを紹介すると共に、なぜ四間飛車を薦める人が多いのかについても触れています。これから何の戦法を覚えようか迷われている方は、是非参考にしてみてください。

 

1.四間飛車の基本的な構え

まずは四間飛車の基本的な構えを紹介します。
【初手から】
▲7六歩▽3四歩▲6六歩▽8四歩▲6八飛▽6二銀
▲4八玉▽4二玉▲3八玉▽3二玉▲2八玉▽5四歩
▲3八銀▽5二金右▲7八銀▽1四歩▲1六歩▽7四歩
▲5八金左▽8五歩▲7七角(図1)

【図1:▲7七角まで】

四間飛車は図のような美濃囲いに構えるのが一般的です。

美濃囲いとは、▲5八金▲4九金▲3八銀の形の囲いのことで、短手数で構築できる割に金銀の連携が良く堅陣な構えであることから、プロアマ問わず人気の囲いです。

 

2.四間飛車の基本的な戦い

対居飛車急戦

四間飛車を採用した時に、頻出する戦いが居飛車急戦との対戦です。

居飛車急戦とは、名前の通り早々に戦いを起こす作戦で、自玉の守りを最小限の手数で済ませ、仕掛けていく戦法です。

【図2:vs居飛車急戦の例(早仕掛け)】

図2は急戦の代表格の1つ、早仕掛けの例です。

居飛車は「船囲い」と呼ばれる短手数で完成できる囲いで済ませ、早々に戦いを起こしていきます。これまでプロでもこの急戦で数々の名局が生まれ、定跡が作られてきました。

対居飛車穴熊

次に紹介するのは「居飛車穴熊」と呼ばれる対策です。

居飛車穴熊は先述した急戦とは異なり、ガッチリと王様を囲ってから戦う方法です。

【図3:vs居飛車穴熊の例】

ご覧の通り、先述の急戦と比べて明らかに玉を硬く囲っていることが解るかと思います。こちらも急戦同様、プロアマ問わず流行している四間飛車対策です。

四間飛車を使用した場合、主にこの2種類の対策を用いられることが一般的です。

3.四間飛車の魅力

ところで、なぜ将棋初心者の人に四間飛車を薦める人が多いのでしょうか。

これについて、筆者の将棋経験からいくつか紐解くと、以下のような理由があるのではないかと思いました。

将棋の基本的な戦い方を身に着けることが出来る

四間飛車の定跡には、将棋の基本的な戦い方に乗っ取った定跡が多く存在します。

四間飛車の定跡を覚えて実戦を戦っていく中で、自然と将棋の基本的な戦い方を身に着けることができるのではないかと思います。

実際の例を見てみましょう。以下は、居飛車の▽7二飛に▲7八飛(図4)とした局面です。

【図4:▲7八飛まで】

後手の▽7二飛に対し、先手が▲7八飛としたところです。

図4の▲7八飛は将棋の基本的な考え方である「戦いの筋に飛車を動かす」というものです。居飛車は次に▽7五歩からの仕掛けを狙っていますが、そこに予め▲7八飛とポジショニングをしています。飛車は将棋に登場する駒の中で最も強い駒であるため、その飛車を戦いの筋にポジショニングするのは将棋のセオリーです。

もう1つ例を見てみましょう。以下は居飛車が▽7五歩とした局面です。

【図5:▽7五歩まで】

▽7五歩に対し、先手は▲同歩とは応じません。

これは対急戦の基本的な考え方である「銀を5段目に進出させない」というものです。

銀が5段目に進出されると、振り飛車の角や飛車が抑えこまれやすく、居飛車の攻めが成功するというのがセオリーです。急戦は四間飛車以外の振り飛車(三間飛車、中飛車、向かい飛車)に対しても頻出する指し方です。定跡が整備されている四間飛車で抑えておけば、他の振り飛車を採用した時でも応用できるでしょう。

以上のように、四間飛車の定跡には将棋の基本的な考え方が盛り込まれています。他の戦法を採用した時でも、四間飛車を通じて学んだ基本的な考え方は、土台として生かされるのではないかと思っています。

 

定跡がかなり深い部分まで整備されている

四間飛車の特徴は、他の戦法に比べてプロでの実戦例が多く、かなり深い部分まで定跡が整備されているところです。さて、これは初心者が四間飛車を選ぶメリットになるのでしょうか。筆者の考えるメリットは、序盤が整備されているため定跡を抑えれば中盤~終盤の戦いが楽しめるという点です。

四間飛車ほど序盤の指し方が体系化されている戦法はありません。つまり、定跡さえ抑えておけば、実力の優劣にさほど関係なく中盤までは互角の形勢で進めることができるため、中盤以降の戦いを経験することができるということです。他の戦法では振り飛車側、居飛車側の指し方にまだまだ自由度が高く、予習して望むのが困難です。そのため、序盤で大差がつきやすく、中盤以降は全く勝負にならない可能性が高いでしょう。

もちろん定跡だけに頼った指し方は、いずれ卒業しなければならないものです。そういう意味では他の戦法を採用して問題はないのかもしれません。ですが、将棋をはじめたばかりの人にとって大切なのは、「将棋を楽しい」と思える事です。序盤から大差がついた将棋ばかり経験しては、将棋を楽しいと思うのは難しいかもしれません。そのため、まず四間飛車で将棋を楽しみながら基本的な考え方を身に着けてほしいという人が多いのではないかと思います。

 

四間飛車について興味を持たれた方は、最初に覚える戦法として採用してみてはいかがでしょうか。