将棋上達を目指す人のためのブログ

20代になってから勉強を始めて、将棋倶楽部24で六段になった将棋指しが書く

将棋上達の練習を続けるために必要な7つの要素

将棋の上達を実感できた時、誰でも嬉しく感じると思います。

ただ、上達したいとは思っていても、なかなか上達するための行動を始められない、あるいは始めても継続できずに止めてしまう、、、そんな悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。当記事では「どうすれば将棋を上達するための行動を起こせるようになるのか」「どうすれば上達のための練習を続けられるのか」というテーマについて、考察した記事になります。将棋の勉強を継続したいと思っている方は、参考にしてみてください。

1.上達のための行動を妨げる要因を知り、取り除く

「上達はしたいけど、そもそも行動を起こせない」という人は、何故行動を起こすことができないのか、その理由を知る必要があります。行動を起こせない理由は、行動を阻害する心理的ブロックがあるからです。まずはこの心理的ブロックが何かを知り、取り除くことが行動を起こすため第一歩です。

 

心理的ブロック1-どうせ自分にはできない

上達のための行動を妨げる心理的ブロックの中で、最も大きな心理的ブロックが「どうせ自分なんか」と自分を卑下してしまうことです。将棋の勉強の場合、以下のような例になります。

A.もう30歳だし、今から将棋を上達したいと思って勉強しても手遅れだ。

B.自分には将棋の才能が無い、だからどれだけ努力しても有段者にはなれない。

何故自分を卑下してしまうのでしょうか。その理由は、失敗した時に自分が傷つくことを恐れているからです。新しい挑戦をして失敗し、周囲から笑いものにされるのが怖いのです。特に将棋の場合、努力が結果に結びつくスピードは人によって大きく異なるため、勉強しても結果が出るか不安に思っている人は多いでしょう。 そこで、「どうせ頑張っても無理」と、自分を思い込ませることで、挑戦を遠ざけているのです。

 

心理的ブロック2-前にも失敗した

1度は頑張ったものの、失敗したことをきっかけに行動を起こせなくなることがあります。「頑張ってみたけど1度も上手くいったことがない。」「以前やってみたが失敗した。」という理由で上達することを諦めてしまうのです。

この場合、ほとんどのケースが適切な準備をしないままトライしています。例えばAさんが、Bさんからある定跡について教えてもらったとしましょう。Aさんは定跡を暗記し、実戦で試してみましたが結果が出ない、というケースです。結果が出ない原因としては、教わった定跡の本質を理解せずに、手順だけ暗記していることが考えられます。定跡を学んだ経験がある人からすると当たり前ですが、定跡と呼ばれる手順にはその手順の思想があります。登場する一手一手に明確な意味があります。それら本質を理解しないまま手順のみを暗記したところで、実戦での応用力には繋がりません。

ですがAさんはこの結果を受けて、「自分には才能が無い」と思い込んでしまいます。その結果、自分には才能が無いから定跡の勉強をしても強くなれないと思い込んでしまい、また失敗したくないこと(勉強しても結果に繋がらない)を理由に挑戦することを諦めてしまいます。

 

心理的ブロック3-誰も応援してくれない

上達のために頑張っていても結果が出ない場合、自分の周りがすべて敵だらけに見えることがあります。どういうことかというと、「自分はこれだけ頑張っているのに誰も応援をしてくれない」「誰も認めてくれない」などと思うことです。まわりの人が自分の努力をサポートしてくれないことを理由に、努力を諦めてしまうというケースです。

実際のところ、本当に努力を応援してくれない人ばかりかというと、そうではありません。サポートしようと声をかけてくれる人は、努力を阻害する人の何倍も存在するものです。ただ、人の意識は応援してくれる人よりも努力を阻害する人に対して意識が向きやすいのです。

 

これら3つの心理的ブロックについて、1度整理をしてみましょう。

心理的ブロックの1つ目「どうせ自分にはできない」という状況にある人は、そもそも行動を起こしていないという状態です。

心理的ブロックの2つ目「前にも失敗した」という状況にある人は、準備を適切にしないまま行動をしています。これは、行動を起こした気になっていますが、実際には行動を起こしていないことと何ら変わりはありません。

心理的ブロックの3つ目「誰も応援してくれない」というのは、本人が作り出している思い込みに他なりません。

つまり何が言いたいかというと、これら3点の心理的ブロックはすべて思い込みであり、事実ではないということです。アルフレッド・アドラーが提唱した心理学、「アドラー心理学」では、人の感情における考え方で目的論という考え方を唱えています。これは、何か特定の目的を達成するために、自身の感情を利用するというものです。このアドラー心理学の考え方に沿うと、上記3点の心理的ブロックの例の場合は以下のようになります。

上達のために努力したくないから(目的)どうせ自分には無理だとという思い込ませる(感情の利用)

上達のために努力したくないから(目的)前にも失敗したという挫折の経験を利用する(感情の利用)

上達のために努力したくないから(目的)誰からも応援されないという孤独感を利用する(感情の利用)

つまり、希望がない、挫折した、孤独だ、という感情が原因となって行動出来なくなっているのではなく、行動したくないから上記のような感情を作り出し、利用しているのです。繰り返しになりますが、これら3点の心理的ブロックは事実ではなく、自分が作り出しているものです。これを認識することが行動のための第一歩となります。

 

2.将棋上達に必要な7つの要素

3つの心理的ブロックを認識し、自分自身の思い込みの壁を克服することが出来たら、次にすべきこととして、以下7つの要素を揃えることです。

  1. 上達したいという意欲と目標
  2. 自分が続けられる努力の理解
  3. 「頑張れば上達できるかも」という自信
  4. 好循環を生み出す力
  5. ポジティブ思考
  6. ある程度の体調の維持管理
  7. 仲間と一緒に頑張れる環境
上達のための7つの要素ー1.上達したいという意欲と目標

まずは上達することに意欲と目標を持つことです。どの程度の意欲や目標であれば良いかと言うと、「自信が無い」「苦手意識が強い」「劣等感に負けてしまう」といった負の感情に負けないレベルの意欲や目標を手に入れたいところです。

具体的な方法として、努力のハードルを下げるのが効果的です。高い目標を設定した場合、達成できずに終わることがほとんどです。すると、自信の無さや劣等感を感じることが増えます。そうすると設定した目標が揺らぎ、継続することが難しくなってしまいます。一方、低い目標であれば目標を達成しやすく、努力の結果を「目標の達成」という報酬で得ることができます。小さな成功を積み重ねることを実際に体験すると、思っている以上に喜びを味わえます。成功するたびに続けていきたいという意欲も芽生え、成長意欲が強化されていきます。

例えば、「詰め将棋を1日20題」と決めていて続かないという人は、思い切ってその数を「5題」くらいに減らしてみましょう。ポイントは、毎日必ず達成できる量を続けることです。毎日行うことが習慣になってくると、次第に慣れてきて物足りなさを感じてきます。物足りないなと感じたら、そこで初めて問題数を増やしましょう。参考までに、人がある行動を習慣化するまでにかかる日数は、平均で66日間だと言われています。結果を求めるよりも楽しんみながら継続できる量を日々こなしていくようにしましょう。

 

上達のための7つの要素ー2.自分が続けられる努力の理解

「努力」という言葉について、「ストイックで重たそうなもの」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。このイメージを取り払って、努力を軽い気持ちで行えるようになることが大切です。なぜ努力という言葉に重いイメージを持っている人が多いのでしょうか。その理由は、成果を得るまでの時間がかかりすぎる努力をしているからです。

努力による成果というと、「大会で好成績を収めた」とか「段位が上がった」など、目に見える、かつ大きな結果をイメージしてしまう人が殆どです。ですが、以下のような些細なことでも、努力から得られた成果と言えるものです。

A.詰め将棋の問題を5題解けた。明日も続けてやろう(明日も継続したいという感情)

B.棋譜並べをしていたら凄い手順を知ることができた。今度実戦で真似してみよう(実戦で試してみたいという感情)

馬鹿馬鹿しいことでしょうか。一見すると、こんなものは成果と思うかもしれません。ですが、上記の内容に注目すると、「楽しい」「嬉しい」「ワクワク」という一種の「幸福感」を得ていることがわかります。これら正の感情は、努力を継続するための大きなエネルギーになるものです。

人によって幸福感は様々な形があります。ただ、共通して指標となるものは、感じた幸福感を得るために、努力という代償を払っても良いと思えるかどうかです。この指標で検証するためには、1度幸福感を味わう必要があります。幸福感を味わえたら、それに対して努力にかけた時間とのバランスに注目し、幸福感>時間となるような努力のウェイトを設定しましょう。

 

上達のための7つの要素ー3.「頑張れば上達できるかも」という自信

これは簡単に言うと「自信を持つこと」です。自分に自信がある人と、そうでない人がいると思いますが、自信がある人は初めから自信を持っていたわけではありません。最初は自信の無いところから始まり、成功体験を通じて自信をつけてきた、という人が殆どのはずです。

自信を持つ方法としては、先述した努力の成功体験を積み重ねることが効果的です。ただ、それ以外にも自信をつける工夫をしてみましょう。当記事の末尾で紹介させていただいている参考図書「成長思考」で紹介されていた方法として、A4のメモ用紙に、その日に自分が出来たことを書き出すというものがあります。自分が達成したことの見える化をするわけです。実際にやってみると、思っている以上に達成感を味わうことができます。このように、自信を持てるような工夫をしていくことで、次第に「頑張れば上達できるかも」と思えるようになっていきます。

 

上達のための7つの要素ー4.好循環を生み出す力

好循環とは、自分が実現したいことが、複数の要因によって追い風を受け、達成しやすくなっていくことを指します。将棋で最もわかりやすい例は「周りの人のサポート」です。将棋は流行型が次々と移り変わります。1人ですべての情報を収集して網羅しようとするよりも、まわりの人を巻き込んで情報収集をしたほうが、遥かに網羅できる情報の範囲は広がります。

ここで大切なのは、結果として好循環が起こることを期待するのではなく、自らが好循環を起こすために工夫をすることです。例えば自分が対峙する可能性のある戦型において、流行型をそれぞれ詳細に学びたいと思っていたとしましょう。この時、1人で情報収集をはじめるのではなく、知りたい戦型について詳しい人を巻き込むようにしてみます。具体的には、まずその人から知りたい戦型の概要を聞くところからはじめ、聞いたことについて詳細に自分で調べてみます。調べて気になったことを整理してまたその人に質問をします。これを繰り返すだけで、1人で調べるよりも何倍もその戦型に詳しくなれるはずです。

また自分がよく知っている戦型については、普段から惜しみなく情報提供をすることをオススメします。なぜかというと、人には心理学の法則で返報性の原理という習性があります。これは、何かを受け取った人に対しては、そのお返しをしなければならないと無意識に考えることです。実際、自分だけが情報を受け取るだけの関係は長続きはしません。お互いが情報を提供し合うWin-Winの関係を保っておきたいところです。

 

上達のための7つの要素ー5.ポジティブ思考

ポジティブな性格が、必ずしも将棋の上達に繋がるとは限りません。ただ、ネガティブな性格と比較すると、ポジティブな性格のほうがチャレンジする機会を得やすいということには同意できるのではないでしょうか。ポジティブな人は、失敗しても失敗に意味を見出し、新しいチャレンジの種として活用することができます。無理にポジティブになることはオススメしませんが、必要以上にネガティブにならないように気をつけたいところです。

特に、努力をしている自分を非難する人に対し、ネガティブにならず対処することは、上達を継続する上で大切なことです。例えば、Aさんが今まで試したことのない戦型を実戦で試したとしましょう。それを見ていたBさんが、将棋の内容を過剰に非難したとします。それが「Aさんにはその戦法のセンスないので、やめておいたほうが良い」というような内容だったとします。Aさんがこれを真に受けてしまっては、新しい戦法を取得する機会すら失ってしまうことになります。

では、非難する人に腹を立てずにやり過ごすにはどうすれば良いでしょうか。1つの方法は、「相手にはよほど酷いトラウマがあると考える」ことです。こちらに非が何もないのに非難をする人は、短気、感情的、陰湿といった特徴を持っている人がほとんどです。「過去にこの人は相当嫌なことがあってトラウマを抱えているのだろう」と考えて見ましょう。すると相手の表情が苦しみに満ちた顔に見えてきて、結果的に不快感はかなり減ります。

別の方法としては、嫌なことがあってもすぐに判断せずに保留することが有効です。この方法を取った場合、まともな人であれば自分の発言の勘違いに気付いて誤ってくれることが多いことです。逆に、もし自分が相手の不快な発言に対して反論し、口論になってしまうと、後で相手が勘違いに気がついたとしても関係が気まずくなっているため謝れなくなってしまうことがあるので、注意が必要です。

 

上達のための7つの要素ー6.ある程度の体調の維持管理

どんな些細な努力を継続するにあたっても、体調の維持管理は大切です。自分にとってのベストコンディションを維持することは、努力の質やモチベーションの向上に繋がります。

意識したいのは、努力をどのタイミングで行うことが、自分のコンディションとマッチしているかを把握することです。例えば、定跡の勉強をするなら朝起きてからすぐやるのが良いのか、それとも寝る前のほうが集中できるのか、といったようなことです。人によって気分が優れている時間帯とそうでない時間帯は違うため、ベストなコンディションである時間帯は人それぞれです。

参考までに、人が最も集中力を発揮できる時間帯は、起床後の2時間だと言われています。起床後の2時間は意志力が高く、多少困難な努力でも実施できる可能性は他の時間帯よりも高くなります。絶対に継続したいという目標がある場合、多くの人にとってベストコンディションである朝の2時間を活用することをオススメします。

 

上達のための7つの要素ー7.仲間と一緒に頑張れる環境

筆者がこれまで出会って来た将棋指しは、自分に厳しい人が多かった印象があります。自分に厳しい人は、「誰かに頼ったら負け」と考え、全てを一人でやろうとしてしまう傾向があります。これまで見てきた通り、努力を継続させるためには他人の力をどんどん借りる必要があります。自分に厳しく他人を頼れない人は、他人を頼れるようになるための具体的な工夫をしていきたいところです。

他人を頼ることを躊躇する人は「プライドが高い」人が殆どです。プライドが高いこと=ストイックで格好が良いと思うかもしれませんが、実は違います。以下、参考書籍からの抜粋です。

日本語で「あの人はプライドが高い」という場合、「自分のことを自慢したがり、自分を優位だと思いたがり、すぐに自分が傷つけられたと騒ぐ人」という意味で使われることが多いようです。

しかし、それはまったくの無意味です。そんなことを思うかどうかにかかわらず、自分の評価は他人が決めることで、勝手に「自分の評価はもっと低い」と言い張るようなものです。

つまり、プライドが高いというのは、「自分には自信がありません」と言っているようなものです。他人を頼れない人は、今すぐプライドという言葉を自分の語彙の中から捨て去ってしまいましょう。人を頼れるようになる可能性が高まるはずです。

 

 

最後に当記事の考察結果を以下にまとめます。

  • 上達を阻害する3つの心理的ブロックは自ら作り出しているものであり、決して事実ではない。
  • 上達のための7つの要素を揃えると、上達を継続しやすくなる。

当記事の参考図書は以下「成長思考」という書籍になります。将棋に関わらず、今よりも成長したいと思っている人が、どうすれば成長のための行動を起こせるようになるのかについて書かれています。興味のある方は1読してみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。