【次の一手|プロの実戦】問題22ー矢倉の終盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲三浦弘行八段 △渡辺 明竜王 第55回NHK杯 準決勝第1局 より
【問題図:▲6八金 まで】
後手の▽7六香に対し、いま先手が▲6八金と金を逃げたところです。この金寄りは危険な一手でした。後手の三手一組の寄せの手順を考えてみてください。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解手順は▽3五角▲同金▽8六歩です。
【正解図:▽8六歩まで】
正解手は何と角を捨てる一手です。角を捨てて強引に歩を入手し、▽8六歩と垂らす驚愕の手順がありました。正解図は次に▽8七金の狙いですが、先手の持ち駒には飛車と角しかないため、適切な受け方がありません。(持ち駒を使わない受けは▲7七桂くらいですが▽8七金とするぐらいで後手勝勢です。)
実戦は▲7八角と仕方なく角を使って受けましたが、以下▽5九龍▲同銀▽6六角と進みます(図1)
【図1:▽6六角 まで】
図1から▲7九玉は▽8七歩成とされて一手一手の寄りです。
実戦では▲7七飛としましたが、▽同香成▲同金▽5七飛(図2)と進んで、先手投了となりました。
【図2:▽5七飛】
図2で▲6六金と角を取るのは▽8七金▲7九玉▽5九飛成で詰まされてしまいます。投了図は先手は一手一手ですし、後手陣に対しては全く寄せがありません。
角切りから1歩千金の歩を入手し▽8六歩と垂らす順は、観戦していた当時は衝撃を受けました。数あるNHK杯の対局の中でも大逆転の部類に入る1局であり、覚えていらっしゃる方も多かったのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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