大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題22ー矢倉の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三浦弘行八段 △渡辺 明竜王 第55回NHK杯 準決勝第1局 より

【問題図:▲6八金 まで】

後手の▽7六香に対し、いま先手が▲6八金と金を逃げたところです。この金寄りは危険な一手でした。後手の三手一組の寄せの手順を考えてみてください。

(正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解手順は▽3五角▲同金▽8六歩です。

【正解図:▽8六歩まで】

正解手は何と角を捨てる一手です。角を捨てて強引に歩を入手し、▽8六歩と垂らす驚愕の手順がありました。正解図は次に▽8七金の狙いですが、先手の持ち駒には飛車と角しかないため、適切な受け方がありません。(持ち駒を使わない受けは▲7七桂くらいですが▽8七金とするぐらいで後手勝勢です。)

実戦は▲7八角と仕方なく角を使って受けましたが、以下▽5九龍▲同銀▽6六角と進みます(図1)

【図1:▽6六角 まで】

図1から▲7九玉は▽8七歩成とされて一手一手の寄りです。

実戦では▲7七飛としましたが、▽同香成▲同金▽5七飛(図2)と進んで、先手投了となりました。

【図2:▽5七飛】

図2で▲6六金と角を取るのは▽8七金▲7九玉▽5九飛成で詰まされてしまいます。投了図は先手は一手一手ですし、後手陣に対しては全く寄せがありません。

角切りから1歩千金の歩を入手し▽8六歩と垂らす順は、観戦していた当時は衝撃を受けました。数あるNHK杯の対局の中でも大逆転の部類に入る1局であり、覚えていらっしゃる方も多かったのではないでしょうか。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!