【次の一手|プロの実戦】問題29ー矢倉の中盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲高橋道雄九段 △阿部健治郎七段 第31期竜王戦1組出場者決定戦 より
【問題図:▲4五銀 まで】
いま先手が▲4五銀と銀をぶつけた局面です。これを▽同銀としてしまうのは▲同桂で先手の攻めに勢いがついてしまいます。後手も反撃の攻めを考えたいところですが、どのように攻めるのが良いでしょうか。
(正解は以下にスクロールするとあります)
正解は▽7七歩成です
【正解図:▽7七歩成 まで】
拠点の歩を成り捨てる▽7七歩成が正解となります。一見もったいないように見えますが、▲同銀に▽6五桂と(図1)跳ねていくのがスピードアップの手順です。
【図1:▽6五桂 まで】
図1以下、▲6六銀▽7七歩▲同桂▽6六角▲同歩▽7七桂成▲同金▽7六歩(図2)と進行します。
【図2:▽7六歩 まで】
手順途中の▽6六角がポイントです。7七の地点に効いている6六の銀を、角で食いちぎってしまい、7筋攻めを継続させます。
最終手▽7六歩が痛打です。これに対して▲7八金は▽7七桂と打ち込みます。▲5九玉なら▽6九銀が厳しく、また▲6八玉なら▽8九桂成(参考図1)と攻めが続きます。
【参考図1:▽8九桂成 まで】
実戦では図2より▲同金▽8七飛成▲9八角(図3)という苦心の受けで耐える展開となりました。図3の局面は先手の角2枚の働きが弱く、攻めの目標になりやすい展開であるため後手が優勢です。
【図3:▲9八角 まで】
手筋の歩の成り捨てから、見事な一連の手順だったと思います。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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