【大局観】01-龍を作らせてもバランスの取れた局面に
プロ棋士の実践棋譜から参考になった "大局観" について紹介します。
第74期順位戦C級2組、永瀬-藤森戦 からの紹介です。
以下の図1はよくある居飛車穴熊vs四間飛車美濃囲いの将棋の1つで、後手が▽4五歩として次の4筋突破を目指したところです。
【図1:▽4五歩 まで】
後手が4筋の飛車先突破を狙って▽4五歩としたところですが、先手の永瀬六段(当時)は大胆に▲8八銀(図2)と穴熊のハッチを閉めました。
【図2:▲8八銀 まで】
何と4筋を受けません。。。
図2以下、▽4六歩▲2四歩▽同歩▲4六歩▽同飛▲2二歩▽4九飛成▲2一歩成▽4七歩と進みます。(図3)
【図3:▽4七歩 まで】
相手にだけ飛車を成り込まれた上に、次にと金作りを見せられています。先手がまずそうな局面に見えますが、永瀬さんは以下のような見解を示しています。
端歩が伸びてなく端攻めがありません。龍は作られますが桂香が拾える展開。穴熊の堅さで十分戦える分れですね。
図3以下は、▲5五銀▽8五桂▲8六角▽5五銀▲同歩▽7三銀打▲7五歩▽同歩▲同角(図4)と進みました。
【図4:▲同角 まで】
図3では後手に▽4七歩成と、と金作りを見せられまずそうでしたが、図4まで進んでみると、自玉がしっかりしており、かつ駒得である先手を持ってみたいという人が多いかもしれません。龍を作らせてもバランスの取れた局面になるとは驚きです。
再び図1を見てみましょう。
【図1(再掲):▽4五歩 まで】
図1で反射的に4六の地点の補強を考えてしまいそうなところ、双方の陣形や端歩の関係、その後の展開などを分析し、"4筋を受けない"という判断をしています。
盤上の部分ではなく全体を観るというのは、参考になるのではないでしょうか。
当記事の永瀬さんの見解は以下の書籍からの引用です。参考にできる大局観が盛りだくさんですので、興味のある方はぜひ手にとってみてください。
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もしよければ読んでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!