大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題67-中飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲里見香奈女流王位 △渡部 愛女流二段 第29期女流王位戦五番勝負 第1局 より

          

【問題図:▽5六桂打 まで】

いま後手が▽5六桂打と桂を打ち、角と金の両取りをかけてきました。この両取りに対してどのように対応するのが良いでしょうか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲4七金左です

【正解図:▲4七金左 まで】

ここでは自玉に近い金を逃げる▲4七金左とする手が正解です。代えて問題図から角も金も逃げず▲4七香と攻め合うのは、”両取り逃げるべからず” という格言に当てはめた一手で考えられそうな対応です。ですが、以下▽4八桂成▲同金▽2九金▲1七玉▽6九龍という攻めが強烈で、攻め合い負けをしてしまいます。(参考図1)

【参考図1:▽6九龍 まで】

参考図1は次に角を取って▽3九角を狙われています。角を逃げても、▽6五龍と銀を取られる手があり、▽2八銀からの攻めを狙われてしまうと、先手玉が持たない格好です。

また問題図から▲5七角と逃げるのも、▽4八桂成▲同角▽2九金の攻めがあります。

正解手の▲4七金左は、▽6八桂成と角をタダで取られてしまいますが、その瞬間は自玉が非常にしっかりした形が保てています。そこで満を持して▲4六香と攻め合います。(図1)

【図1:▲4六香 まで】

▲4六香は後手からの▽4六歩を防ぎながら▲4三歩成を狙った攻防手です。図1の局面は先手が少し駒損をしていますが、先手玉のほうが玉の守りが安定している上に、次の▲4三歩成が確実で厳しい攻めで、先手が十分に戦える局面です。

実戦においては格言をただ当てはめれば良いわけではなく、読みとセットで用いなければならないことがわかる良い例だったのではないでしょうか。 

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!