【次の一手|プロの実戦】問題68-相掛かりの中盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲佐藤康光九段 △永瀬拓矢七段 第31期竜王戦1組出場者決定戦 より
【問題図:▲2三歩 まで】
いま先手が▲2三歩と打った局面です。先手の狙いは▽同銀と取らせて▲5五角と打つ狙いです。これに対して後手はどう対応するのが良いでしょうか。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▽同銀です
【正解図:▽同銀 まで】
問題図の▲2三歩は▽同銀と取らせて▲5五角を打つ狙いでしたが、その狙い通りの手順にあえて踏み込んでいくのが好手です。正解図以下は、▲5五角▽6四角▲1一角成▽3三桂▲5六銀▽7三桂と進みます。(図1)
【図1:▽7三桂 まで】
図1まで進んでみると、先手は馬を作ったものの、その馬はほぼ行き場がなく封じられてしまった格好です。むしろ後手の6四の角のほうが働いていそうです。また先手は歩切れであるため、後手からは端攻めの楽しみがあります。さらに最終手▽7三桂は、次に▽8一飛として馬を取ってしまう狙いで、これを受けるには▲2二香と打つしかありません。
実戦は図1以下、▲2二香▽8六歩▲2一香成▽8七歩成▲同銀▽9七歩成▲同香▽同角成▲8八歩▽8一飛と進みます(図2)
【図2:▽8一飛 まで】
実戦でも馬を守るために▲2二香と打ちました。後手は狙い通り端攻めをして、香車を取り返すことに成功します。そして図2の最終手▽8一飛が優先を決定付ける1手で、先手の▲2二とに▽1一飛と馬を取る手を用意しています。図2の局面は、はっきりと後手が優勢な局面です。
ちなみに問題図から▽3三銀と逃げる手には、▲3四銀という追撃がありました。(参考図1)
【参考図1:▲3四銀 まで】
参考図1から▽同銀であれば、▲2二歩成▽同金▲5五角という狙いがあります。激しい攻め合いで難解ですが、後手には9五銀という捌くのに課題がある駒が残っているため、参考図1のような激しい攻め合いの順にすると、盤上に残りやすいため避けたいところです。正解手順のように比較的穏やかな展開を選び、後手の攻め駒が先手の守り駒と交換になる手を間に合わせていきたいところです。
また、問題図 から▽同金と取る手も同様に▲3四銀~▲5五角があるため、正解手の▽同銀が勝ります。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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