【次の一手|プロの実戦】問題72-四間飛車の中盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲羽生善治四冠 △谷川浩司棋聖 第71期棋聖戦五番勝負第1局 より
【問題図:▲3三龍 まで】
いま先手が▲3三龍と桂を取ったところです。駒の損得はありませんが、先手玉が四枚美濃の堅陣であること、また3四の銀の働きが悪いことから、後手が少し苦しい局面です。後手が形勢を挽回する手を考えてみてください。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▽4三角です
【正解図:▽4三角 まで】
問題図の局面は3四の銀取りになっていますが、単純に▽4五銀と逃げるのは▲3七龍と後手の唯一と言っても良い主張点である、と金が取られてしまいます。
ここでは▽4三角が、銀を守りつつ先手玉に嫌味をつけた攻防の一手です。次に▽7五桂を狙っており、先手の左美濃の弱点である玉の小びんを攻めていきます。
正解図以下、先手は▲6五歩として小びん攻めを防ぎます。"大駒は近づけて受けよ" という格言通りの受けです。▲6五歩以下▽同飛▲6六金▽7五歩と進みます。(図1)
【図1:▽7五歩 まで】
飛車を逃げずに▽7五歩が攻めの継続手です。先手は次に▽7六歩と取り込まれてしまうと取る駒がありません。(▲同金は▽6九飛成から▽7五歩、▲同銀は▽6六飛)
よって図1以下は▲6五金▽同桂▲6六銀▽7六歩▲5五桂▽7七歩成▲同桂▽同桂成▲同玉▽7六金と進みます。 (図2)
【図2:▽7六金 まで】
▽7六歩と取り込まれる前に▲6五金と飛車を取るのは仕方のないところですが、▽同桂と取って後手の攻め駒が全軍躍動の形です。
図2の最終手▽7六金と打った局面は、堅陣だった後手の四枚美濃の攻略に成功しており、後手も十分戦える形勢に持ち込めています。▽4三角は非常に参考になる勝負手だったと思います。
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