【次の一手|プロの実戦】問題74-角替わりの終盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲永瀬拓矢七段 △佐藤天彦名人 第66期王座戦挑戦者決定トーナメント より
【問題図:▽1八飛 まで】
いま後手が▽1八飛と打ったところです。局面は先手が優勢ですが、終盤における方針が問われる局面です。先手の次の一手を考えてみてください。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▲5八銀です
【正解図:▲5八銀 まで】
対局者が永瀬さんなので、自陣に手をいれることを考えそうなところですが、正解手はやはり受けの一手です。
まず問題図の▽1八飛ですが、実はすぐに厳しい狙いがあるわけではありません。どちらかというと、▽1八飛は先手の▲3二銀成からの攻めをけん制した一手です。例えば問題図から▲3二銀成▽同玉▲4一角▽2二玉▲4二馬と一直線に攻めた場合、▽5七香が狙いのカウンターです。(参考図1)
【参考図1:▽5七香 まで】
参考図1から玉が逃げると、後手が銀を入手しているため詰んでしまいます。問題図でまだ銀を渡していない局面では▽5七香と打たれても、玉を逃げておけば大丈夫でした。すぐに攻めるのは▽1八飛の狙いにはまってしまいかねません。
そこで正解手の▲5八銀は、あらかじめ自陣をケアしておいてから次に攻めようという狙いです。しかし▲5八銀とすると7八の金が浮きゴマになるので、▽5七香が気になるところです。実戦もそう進みました。(図1)
【図1:▽5七香まで】
当然ながら▽5七香は想定内であり、図1以下は▲同銀▽7八飛成▲3二銀成▽同玉▲4一角▽2二玉▲2三角成▽同玉▲2四香と進行します。(図2)
【図2:▲2四香 まで】
図2以下は▽3四玉か▽1四玉なら▲2五金で詰みです。▽3二玉も▲4二金や▲2二金で詰みです。香を入手したことで、後手玉がぴったり詰む形になっていました。終盤の読みの必要性を痛感させられる手順です。
後手も▽5七香以外に先手玉に厳しく迫る手が難しく、また後手玉を延命するような手順も無いため、佐藤名人は本手順による形作りを選ばれたのではないかと思います。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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