将棋上達を目指す人のためのブログ

20代になってから勉強を始めて、将棋倶楽部24で六段になった将棋指しが書く

西山女王誕生記念 第11期マイナビ女子オープン・印象に残った手

西山朋佳・奨励会三段が加藤桃子女王を破り、新女王のタイトルを手にしました!

おめでとうございます!

新女王の誕生記念として、第11期マイナビ女子オープンにおける西山さんの各勝利局から、個人的に印象に残った手を紹介します。

 


第2局:部分ではなく盤面全体を観れる強さ

加藤女王に白星を先行されて迎えた第2局、西山さんは角交換振り飛車で挑みます。

以下の図1は先手が▲7七角としたところで、次に▲4五桂から飛車の小びんを攻めていく狙いです。

【図1:▲7七角 まで】※後手が西山さん

ここで西山さんは▽6五銀!と出ました。当然の▲4五桂に対しても▽同桂!と取り、あっさりと飛車を取らせてしまいます。以下は▲2二角成▽3七桂成と進みます。(図2)

【図2:▽3七桂成 まで】

部分的に見れば飛車と桂の交換で後手が大きな駒損ですが、玉型の差やその後の展開から十分戦えるという対局観です。図2以下は、先手の飛車を攻めながら右辺すべての駒を捌き、西山さんが最後まで攻める展開で快勝しています。

部分ではなく盤上全体を観た、西山さんの対局観が参考になりました。

※この将棋は過去の記事で解説をしています。よければ観てみてください。

   


第3局:格言通りの決め手 

1勝1敗で迎えた第3局は序盤やや苦しい展開ながら、中盤以降の玉頭戦をきっかけにうまく逆転し、以下の図3は勝勢の局面です。

【図3:▽5六金 まで】※先手が西山さん

ここで西山さんが打った▲4五角が”両王手受けにくし”という格言通りの一手で、寄せの決め手となりました。(図4)

【図4:▲4五角 まで】

以下▽3二玉としましたが▲2三金と打つ手が両王手の筋に誘う好手で、後手玉を寄せきりました。このような格言の実戦形に多く立ち会うことができれば、自然と格言が身につき、実戦でも指せるようになるのではないでしょうか。

※この将棋は過去の記事で解説をしています。よければ観てみてください。


 


第4局:秒読みの中、圧巻の超手数の詰み

そして本日、2勝1敗とタイトル奪取に王手をかけて迎えた1局は、中盤で優勢になるも、加藤女王の粘りで難解な終盤戦となります。以下の図5は先手の加藤女王が▲7七金とあがったところです

【図5:▲7七金 まで】後手が西山さん

ここから西山さんが一気に寄せにいきます

図5以下▽5七桂打▲同銀▽同桂不成▲6八玉▽6九金と進みます。(図6)

【図6:▽6九金 まで】

対局後のインタビューでは、西山さんはこの▽6九金で先手玉の詰みが見え、勝利を確信したと語っています。図6以下は超手数の詰みがあり、▲同金▽同桂成▲同玉▽3六馬▲同歩▽5八銀▲同玉▽5七銀▲同玉▽5六銀▲6八玉▽5七角▲7八玉▽6七金▲8九玉▽8八金(図7)と進み、加藤女王が投了しました。

【図7:▽8八金 まで】

図7以下は▲同玉▽7七金▲同玉▽6六角成以下の詰みです。

図5の▽5七桂打からは約30手の超手数の詰みで、しかも時間が無い秒読みの中でもしっかりと詰ますのは、さすがは現役奨励会三段の実力者です。

 

以下、対局後の西山さんのインタビューです。

www.youtube.com

 

この調子で奨励会三段リーグも頑張ってほしいですね!

西山さん、本当におめでとうございます!