大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題79-相振り飛車の序盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲藤井 猛九段 △黒沢怜生五段 第89期棋聖戦二次予選 より

                      

【問題図:▽2五同飛 まで】

いま後手が▽2五同飛として、飛車先の歩を取ったところです。ここから藤井猛九段が面白い序盤の組み立てを見せました。どのような構想か予想してみてください。三手先までの問題です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▲2六銀▽2二飛▲2七歩です

【正解図:▲2七歩 まで】

問題図の局面で、先手は既に角を盤上に打っています。盤上に打った角は、打った瞬間がベストポジションであることが多いものです。そのまま局面が進むと、相手の持ち角のほうが価値が高くなりやすいことが多いと思います。そのため、先手は自分から局面を動かす工夫をしていくことが求められます。

その具体案が、正解手順の▲2六銀▽2二飛▲2七歩です。この手順は先手の右銀も攻めに活用していく狙いで、次に▲3五銀から▲4四銀と進出する手を狙っています。当面の目的は後手の▽4三の銀と銀交換をして▲3一銀を打つことであり、そこまで行けば6五の角の効きが存分に生かされて、先手が優位を築けるでしょう。

以前の永瀬七段の棋書 "全戦型対応版 永瀬流負けない将棋 (マイナビ将棋BOOKS)” の紹介記事でも取り上げましたが、局面を動かす具体的な方法は ”自分の駒を前に進める" というのがセオリーでした。このセオリーについては、以下記事の「9.局面を打開したいときは、駒を前に進めることを考える」にて紹介していますので、よければあわせてご覧ください。

 

さて、 実戦は正解図より▽8二角▲5六飛▽3六歩▲7七桂▽6二銀▲3六歩▽5四歩と進みました。(図1)

【図1:▽5四歩 まで】

後手は正解図から何もしないと▲3五銀~▲4四銀と出られてしまうので、▽8二角で先手の5五の銀に狙いをつけます。対して▲5六飛は銀を前線に保ったまま銀を守る一手です。最終手▽5四歩ですが、ぼんやりしていると▲3七桂と角筋を受けてから▲3五銀~▲4四銀を狙われてしまいます。

図1以下は▲同銀▽同銀▲同飛▽5三銀打▲5六飛▽1九角成▲3一銀 と進みます。(図2)

【図2:▲3一銀 まで】

先手は狙いの軸としていた▲3一銀を実現することに成功しました。▲3一銀を打てたことで、懸案だった6五の角の活用の目途が立ちます。図2の局面は後手の香得ではありますが、後手は飛車が狙われやすい位置にいるため、先手は飛車を狙いに中盤戦を戦っていけば十分に戦える局面だと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!