大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題88-雁木の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲増田康宏六段 △三枚堂達也六段 第31期竜王戦4組ランキング戦 決勝 より

 

【問題図:▽4五歩 まで】

いま後手が▽4五歩と角取りに歩を打ったところです。先手は角を逃げるか、他の手を指すか。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲4四歩です

【正解図:▲4四歩 まで】

問題図から角を逃げる▲2八角は▽3六飛と走られ、次の▽3八飛成が受けにくい形です。(参考図1)

【参考図1:▽3六飛 まで】

参考図1から▲3七歩と飛車成りを受けるのは▽2六飛と回られてしまいます。これは後手優勢の展開です。

 

先手は角を逃げても状況が悪化するため、角を取らせる代償に他の利益を求める手を考えたいところです。その一手が正解の▲4四歩です。

【正解図:▲4四歩 (再掲)】

正解図以下、▽5五桂と銀を取るのは▲同角と取り、手順に角を逃げながら桂を取り返すことができます。(参考図2)

【参考図2:▲5五同角 まで】

この手順は、直前に打った▽4五歩の一手の価値が失われてしまうため、後手としては選びたくない手順です。参考図2は先手から次に▲7四歩や▲4三歩成といった具体的な狙いが複数あり、実際の形勢としても先手が優勢な局面です。

 

実戦は正解図以下、▽4六歩▲4三歩成▽同金上▲3五桂と進みます。(図1)

【図1:▲3五桂 まで】

後手は桂を逃げずに駒を取り合う順が自然な進行で、実戦もそう進みました。図1の最終手▲3五桂が、飛車を走る手を受けながら▲4三桂成を狙った攻防手です。

図1は後手が若干の駒得ですが、先手は後手玉に比べると相対的にしっかりしていますし、次に▲7四歩という厳しい狙いもあるので、先手に楽しみが多い局面ではないかと思います。

 

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!