大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題97-中飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲渡部 愛女流二段 △里見香奈女流王位 第29期女流王位戦五番勝負 第4局 より

                                                

【問題図:▽4三同銀 まで】

いま後手が▽4三同銀として、と金を取ったところです。後手の狙い筋を見切って攻めていきたいところです。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                

正解は▲4九飛です

【正解図:▲4九飛 まで】

問題図から単純に▲4三桂成と攻めていくのは、▽4八飛▲5八香▽4三飛成とされてしまい、後手玉への攻めが一気に遠のいてしまいます。(参考図1)

【参考図1:▽4三飛成 まで】

そのため、先手は後手の▽4八飛を消しながら攻めなければいけません。

正解手の▲4九飛は後手から▽4八飛と打たれる手を消してから、▲4三の地点を攻めていく狙いです。

【正解図:▲4九飛 まで(再掲)】

これに対して4三の地点を後手は数で受けることはできません。(例えば▽4二歩としても▲4三桂成▽同歩▲同飛成以下詰みです)

部分的な受けとしては▽4四銀直と攻められそうな銀を移動させるくらいですが、それには▲4三金が攻めの継続手で、寄せきれそうな展開です。(参考図2)

【参考図2:▲4三金 まで】

実戦は正解図以下、▽2八飛▲5八香▽5九銀と進行します。(図1)

【図1:▽5九銀 まで】

図1の最終手▽5九銀は▲同玉なら▽4八歩と打つ狙いです。▽5九銀を打たずに単に▽4八歩だと、▽4九歩成が王手にならないため、▲4三桂成と詰めろをかけられて負けです。

図1以下、実戦は▲5九同飛と対応して銀を取り、持ち駒の差で体力勝ちを目指していきました。以下先手は豊富な金銀の持ち駒で後手玉を攻めていき、十数手後に後手玉を受け無しに追い込んでいます。

 

ちなみに問題図から▲4八香と打つのも、後手の▽4八飛を防ぎながら同じような意味の手で、好手に見えます。(参考図3)

【参考図3:▲4八香 まで】

これには▽4二歩という数の受けが効きます。先述した通り▲4九飛の時には指せない一手でした。参考図3以下▽4二歩▲4三香成▽同歩▲4九飛(▲同桂成は▽4八飛)と進んだ局面は先手が得をしているように見えますが、以下▽2八飛▲5八銀▽5二銀▲4三桂成▽4六桂が一例の進行です。(参考図4)

【参考図4:▽4六桂 まで】

参考図4の局面は先手の攻めを受けながら5八の地点を狙われ、攻守逆転で後手が優勢だと思います。そのため、実戦の▲4九飛が最善の一手だったと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!