【次の一手|プロの実戦】問題111-横歩取りの中盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲三浦弘行九段 △八代 弥六段 第26期 銀河戦 本戦Dブロック 10回戦 より
【問題図:▽8四飛 まで】
いま後手が▽8四飛とまわったところです。これから本格的な戦いがはじまる前に、やっておきたい手順があります。三手一組の手順です。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▲7四歩▽同飛▲7七歩です
【正解図:▲7七歩 まで】
問題図では後手が金銀四枚の堅陣であるのに対し、先手は金銀二枚で薄い囲いです。また後手の桂にも自玉の急所に跳ねられている状況でした。問題図から部分的には▲2五桂という攻めが成立しそうですが、双方の玉型差から攻めの反動がきつそうです。
ここは▲7四歩▽同飛▲7七歩と自陣の傷を無くすのが好手順です。▲7四歩が▽8四飛とまわった手を利用した手で、飛車取りになる仕組みです。このように戦いの前に自陣を整備しておくのは重要なポイントです。
正解図以下、後手が何もしなければ▲2五桂から攻めていく狙いがあるので、後手は▽7六歩▲同歩▽7七歩▲同桂▽同桂成▲同銀▽6五桂と、先行してきました。(図1)
【図1:▽6五桂 まで】
図1以下、先手は▲3四歩▽同飛▲4六桂▽3六飛▲3四歩と反撃に出ます。(図2)
【図2:▲3四歩 まで】
後手の攻めで交換になった桂を利用して反撃し、元々狙っていた攻めよりも厳しい攻めが成立しました。図2の局面は先手の攻めが急所に刺さっているのに対し、後手から先手に厳しい攻めの継続手が無いため、はっきり先手が優勢です。
自陣の傷を消して次に本格的に攻めを見せることで、逆に相手から先に攻めさせ、駒を入手して反撃を決めました。まるで武道を見ているかのよう攻防が印象に残った手順でした。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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