大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

社団戦に参加してきました

先週の日曜日7月1日に社団戦が開幕しました。これから約4か月に渡り、社会人の将棋好きによる熱い熱い団体戦が行われます。去年は仕事の都合でほとんど参加できませんでしたが、今年は初日から参加することが出来てホッとしています。

僕はどちらかというと、同じチームの人達の将棋を観戦して楽しむことを目的で顔を出しています。ただ今回は人が少なかったこともあり、3局出させてもらいました。普段長い持ち時間で指す機会もあまりないので、対局の内容を自戦記に整理してみました。


1局目:居飛車 対 角交換四間飛車 

1局目は僕が先手で、相手の方は角交換四間飛車を採用しました。序盤のこちらの駒組みの欠陥を咎められ、逆棒銀から先行されあっさりと劣勢になってしまいます。

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図1は中盤戦ですが、ここでは少し形勢を盛り返しています。いま▽1九成銀と香車を取ったところで、次に▽4五銀~▽5六香の攻めを狙っています。実戦はここで▲8九玉と早逃げしましたが、これが好手だったようで、以下後手の攻めを遅らせることに成功しました。

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早逃げすることで後手の飛車の効きから玉をズラしたのがポイントです。飛車の効きからズレておくことで、▽4五銀には▲4四馬▽5六香▲4五馬と対応することができます。この順であれば後手の攻めを受けきれそうな雰囲気です。

 

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図2から30手ほど進んで図3です。ここから▲6五歩▽5三角▲6四歩▽同角▲6二歩▽同金▲7一金と攻めていきました。

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角を追いながら6筋に歩が効くようにすることで、攻め駒を増やすことに成功しました。最終手▲7一金はザ・俗手といった攻めですが、確実な攻めで良かったようです。図4は次に▲8一金▽同銀▲8三香成というシンプルな狙いです。

 

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十数手進んで図5。自玉は堅いので攻めさえ繋がれば勝利が見えてきます。ここから▲7一角成▽同玉▲6四桂としました。

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図6以下は▽同歩▲6三金として下段玉を押さえにかかり、なんとか寄せきりました。序盤はさておき、中盤以降はまずまず指すことができたと思います。

 


2局目:先手ゴキゲン中飛車 対 居飛車

2局目は僕が後手で、相手の方は先手番のゴキゲン中飛車を採用しました。またしてもこちらの駒組みに欠陥があり、その欠陥を簡単に咎められてしまいます。

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図7の何気なく指した最終手▽4二金右が危険で、▲6四角が激痛です。以下▽7三角▲同角成▽同桂▲7五歩▽6三銀▲7四歩▽同銀▲4五歩▽同桂▲同桂▽同銀▲6四角と進んで図8。

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図8の最終手▲6四角に代えて▲5五飛と走ってくれれば▽6四角が準王手飛車でしたが、当然ながら▲6四角と先着されます。大劣勢となってしまいました。

 

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図8から一気に40手ほど進めて図9です。自陣角や自陣飛車を打ってひたすら粘っています。先手は次に▲4一銀成を狙っており、▲4一銀成を許すと受けが完全に無くなってしまいます。ここで単に▽3二角と受けるのでは勝ち目が薄いと思いました。受け一方の手ですし、守りの面においても薄い受け方に見えます。

実戦は図9から▽5五角と角を出ました。以下▲4六銀打に▽同角▲同銀と角を切り、入手した銀を▽3二銀と埋めます。

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こちらのほうが角を埋めるよりも自陣がしっかりします。また先手の玉型を乱すことで、少しでも相手玉を見える形にできたのは大きなところだと思います。

 

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少し進んで図11です。相変わらず先手の猛攻を受けているところですが、いよいよ受けが難しくなってきました。実戦はここで▽6四角と打ちました。先手の▲3一馬の防ぎながら、4六の銀を狙った手です。この手を境に、局面が混沌とした印象がありました。

以下もずっと苦しい形勢が続きましたが、最後は相手の方に錯覚があったようで勝ちを拾うことができました。序盤はかなり慎重に指しているつもりなのに、簡単に悪くしてしまうのはなぜなのか。。。

 


3局目:居飛車 対 ゴキゲン中飛車

3局目は僕の先手で、相手の方はゴキゲン中飛車を採用しました。こちらは丸山ワクチンを採用し、1~2局目とは違って穏やかな序中盤になります。丸山ワクチンに対する相手の方の構想が参考になったので、少し紹介させていただきます。

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図12は丸山ワクチンの出だしでよくある序盤戦ですが、最終手▽5五角が相手の方の作戦です。確実に一歩得できるのでしばしば見かける一手ですが、参考になったのはこの後の構想です。図12から30手ほど駒組みが続いて図13を迎えます。

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一歩得したからといって自分からガンガン攻めてくるのではなく、図13のようにバランス良く構えます。打った角は▽4二角と引いて先手の飛車先をケアする役割を担当させておき、負担の軽くなった▽3三銀を▽4四銀と進出させて中央の守備を担当させます。このように守備駒の負担をうまく分担させることで、先手からの仕掛けを難しくして千日手を狙う構想だったようです。

千日手を狙う構想は、対丸山ワクチンにおける1つのセオリーです。ただこの作戦の魅力は、角の効きを生かしていつでも端攻めを狙うことができる点です。持ち歩が一枚だけではすぐには成功しないでしょうが、持ち歩が二枚になるといつでも▽9五歩▲同歩▽9七歩から端攻めがありそうです。下段飛車も端攻めの応援に回せるので、居飛車からするとかなりのプレッシャーですね。

つまり先手は歩を渡しにくく、局面の打開に制約がかかっていると言えそうです。角交換の将棋においては、角を手持ちにしておくことで相手の駒組みに制約をかけるというのが一般的な考え方だと思います。ただこの将棋にように、あえて角を手放すことで、より大きな制約をかけるという指し方もあるようです。とても参考になりますね。

実戦も先手にとって、指し方が難しい序中盤となりました。

 

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図14は終盤の入り口です。後手から次の▽5六歩が厳しく、先手が少し苦しい局面です。実戦は形勢の紛れを求めて▲7五歩と突いていきました。以下▽同歩▲6六桂と進みます。

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図15のじっと▲6六桂と打った手が好手だったようです。後手が攻めるとしたら▽5六歩と取るしかありませんが、その瞬間に角筋が開くので▲7四歩が厳しい手になります。実戦もそう進み、先手が攻め合い勝ちを目指せそうな流れになりました。

ただ厳密には図14の形勢は苦しかったようで、▲7五歩には▽同歩と取らずに▽5六歩とされていたら依然後手が優勢だったようです。

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変化1以下▲7四歩▽同銀▲6六桂には▽7五金と打つ手が手厚い受けです。

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変化2以下▲7四桂▽同金となった局面は後手陣の上部が非常に手厚い構えをしています。後手玉を上部から攻略するのは難しく、また後手は▽6七銀成から確実な攻めがあるため、変化2は後手が優勢な局面だと思います。

 

実戦はチャンスを掴み、終盤を1手勝ち模様で迎えます。

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図16以下、▲8五桂打▽同歩▲同桂▽8四銀打▲7四歩▽同銀と、順調に攻めていきます。

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勝ちまであと少しでしたが、ここで間違えてしまいました。図17以下、▲同桂▽同金▲8四角成と進めて図18です。

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実戦ではここで▽同金と取られた時の即詰みばかりを一生懸命に読んでいました。即詰みを読み切ってドヤ顔で▲8四角成としましたが、次の一手でフリーズします。

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▽5五角が攻防手で、王手をしながら7三に効きを足しています。こうすることで、▽8四金とした時の後手玉の即詰みを消しています。

少し前の図16の局面では玉の斜めのラインに2枚の桂が居たこともあり、角で王手される筋が全く見えていませんでした。改善案として、図17から▲7三桂成▽同銀▲5一角成と飛車を取っておけば勝ちだったようです。

図19以下は相手の方に滞りなく指し回されて綺麗に1手負けでした。ただ負けはしたものの、序盤、中盤、終盤に渡って面白い内容だったので、指していてとても楽しかったです。

 

以上3局で、2勝1敗というスタートでした。自分の実力や対戦相手の方々の実績を考えれば、十分すぎる結果だったと思っています。勝ち負け云々関係なく3局とも面白い将棋だったので、指していてとても楽しかったです。毎年社団戦に出ることができた時は、将棋に打ち込める機会があるだけで幸せだなと感じます。

次回の社団戦は7月29日(日)です。無料で自由に出入りが可能なので、もしよければ足を運んでみてはいかがでしょうか!

東京アマチュア将棋連盟

http://toushouren.world.coocan.jp/shadan/29/29_shadan02.pdf

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!