将棋上達を目指す人のためのブログ

20代になってから勉強を始めて、将棋倶楽部24で六段になった将棋指しが書く

社団戦2日目に参加してきました

7月31日は社団戦の2日目でした。初日に引き続き参加することができました。この日は隅田川花火大会と重なっていたため、夜の混雑を回避すべく運営を早めるために、持ち時間は普段より短い20分の設定で行われました。秒読みも早めのタイミングで30秒から20秒に切り替わり、全体的にスピーディーな対局が多かった印象です。

今回も前回から引き続き、対局の内容を自戦記として記録しておきたいと思います。前回は自分の対局の全局について書きましたが、時間があまり取れずに検討ができていない対局もあるので、1局だけピックアップして記載したいと思います。

 

前回の記事はこちらです。

syogiblog.hatenadiary.jp

 


先手ゴキゲン中飛車 対 居飛車ミレニアムの序盤戦

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戦型は相手の方が先手番でゴキゲン中飛車を採用されました。初日でも対戦した戦型です。前回はこの戦型に対し、序盤で大劣勢になってしまったので、作戦負けにならないように対策を考えていた戦型でした。

1図は▽3二金寄としたところで、僕はミレニアムに構えました。先手ゴキゲン中飛車に対してややマイナーな対策に見えますが、永瀬拓矢さんらプロ間でも採用実績のある対策であり、対先手ゴキゲン中飛車の有力な対策だと思います。1図で後手は堅く囲えたので、攻めをどのように繋げていくかがポイントになってきます。

 

序盤は作戦勝ち

図1以下、▲2六歩 ▽2四歩 ▲5九飛 ▽2三銀 ▲4八金 ▽5三角と進んで2図です。

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▽5三角と打つのはこの戦型において頻出の筋です。先手からの▲7一角を防ぐことで、▽3五歩から玉頭戦に持ち込んでいく狙いです。2図からは▽3五歩▲同歩▽同銀▲3六歩▽2六銀と、先手の2六の歩を狙いにしていく攻めがあります。そこまで進むと▽3七銀成~▽2五桂と堅さを武器に強引に攻める手順があるため後手は攻めの継続に困りにくくなります。先手としては避けたい展開です。

2図以下、

▲3八玉 ▽3五歩 ▲5五歩 ▽3六歩 ▲同 銀 ▽5五銀

▲3五歩 ▽3四歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲4七金 ▽3五歩

▲2七銀 ▽8六歩 ▲同 銀 ▽6四角  と進んで3図です。

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狙い通り▽3五歩と仕掛けた手に対して、相手の方は▲5五歩と突いてきました。上記手順のように自然に対応し、歩得に成功します。3図まで進み、3五の位を取りながら好位置に攻めの角と銀を配置することができました。次の▽4六銀の狙いが厳しく、玉の堅さが生きる展開となったため、ここでは後手がはっきり優勢だと思います。

前回の反省を生かし、序盤戦でリードを取れそうな展開になっていたのですが。。。

 

中盤で失着

序盤戦をうまく乗り切れたのですが、中盤で悪手を指してしまいます。

3図以下、▲4八金▽4四歩と進んで4図です。

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▲4八金は当たりを事前に避けた手で、▽4六銀には▲5四飛と走っていく狙いです。

対して▽4四歩が悪手。攻めに厚みを持たせた一手のつもりだったのですが、▽4四歩を突いたことで▲6一角と打たれてしまいました。

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▲6一角が痛烈で、以下▽4三銀に▲3四歩と打たれ桂損が確定してしまいました。さらに悪手は悪手を呼ぶ展開となり、5図以下▽4三銀▲3四歩▽5二銀と角を取りにいく方針がまたもや疑問。以下▲同角成▽同飛▲3三歩成▽同金▲7五銀で6図です。

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6図は先手が駒得の上、懸念事項だった8六の銀が働く展開となってしまいました。これは角を取りにいったがために、後手の飛車が8筋から外れてしまったため生じた手順です。6図は形勢が互角に近い局面になってしまったと思います。

戻って▲3四歩と打たれたところでは、▽5二銀ではなく▽4六銀と出るべきでした。

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変化1図以下は▲3三歩成▽同金と進んで後手は桂損ですが、飛車が8筋のままであるため先手は▲8六銀を動かしにくい格好です。また6図の局面と比べて、後手玉がしっかりとしているのもポイントです。本譜は自玉が薄くなってしまったため、自玉の守りと敵玉の攻略を両方考えなければならない状況が続きました。

 

終盤の入り口で再度優勢に

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6図から十手弱進んで7図です。いま先手が▲3三銀と打ったところですが、これは疑問でした。7図以下▽同角▲同歩成▽同金と進みますが、後手に銀が入ったため次に▽3六銀が非常に厳しい狙いとなります。7図のような縦の攻め合いにおいては、原則として角の価値は下がります。そのため▽同角と取るのには何の躊躇もないところです。

 

7図以下は優勢となりそのまま終盤へ。しかしここから相手の方の巧みな粘りに手を焼きます。 

 

決め手を逃し逆転模様 

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7図より二十数手進んで8図。局面は後手が勝勢に近い局面です。

今先手が6八にいた角を▲7七角とあがったところです。これは先手玉が5七→6八と逃げれるように退路を作った一手で、次に▲4五金と桂を食いちぎってから左辺へ逃げていく狙いです。

実戦はここで▽3七歩成としました。悪手ではありませんが、ここでは▽3四金という手が決め手でした。

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これは▲4五金に▽同金と取れるようにした一手で、以下▲5七玉に▽7八金と退路を封鎖する手順を狙った寄せです。

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変化3図は次に▽5六金以下の詰めろになっており、これが▽3四金と上がった狙いです。変化3図は先手玉の延命は難しいため、後手が解りやすく勝ちだったようです。

実戦は8図以下、

▽3七歩成 ▲4五金 ▽同 歩 ▲5七玉 ▽5五歩 ▲3四歩

▽同 金 ▲2三銀 ▽3三金 ▲3二銀成 ▽同金引 ▲6八玉 と進んで9図。

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9図まで進み、先手玉に逃走を許してしまいました。9図は先手玉にすぐの寄りがなく、形勢が逆転していると思います。 

 

再逆転も、2度目の決め手を逃す

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9図より十手ほど進んで10図。途中相手の方にミスがあり、ここでは再逆転しています。10図では▽4七角成が決め手でした。

▽4七角成は、次に▽5八馬▲同玉▽5七銀▲同玉▽5六飛以下の詰めろです。対して後手玉は▲3二桂成は▽同玉で、▲4一飛は▽1二玉で詰みません。わかりやすく一手勝ちでした。僕は▽4七角成に▲2八飛とされた時にどうするかが解らず見送りましたが、それには▽5九角▲7九玉▽6八銀以下の即詰みがありました。

実戦は上記手順に踏み込めずに▽3五角▲7七玉▽4四角▲4一飛▽3一金打▲4四飛成▽4三銀と、あえて王手角取りをかけさせて角を取らせながら自陣を堅くする順を選びました。

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実戦ではこの手順でも長く指せば後手が勝っていると思っていましたが、実際にはこの方針は疑問で11図は先手が再々逆転しています。後手は玉が安泰になりましたが攻めの手段に乏しく、ここから長引くにつれて差が広がりそうな局面です。随分前の局面から秒読みは既に30秒から20秒に切り替わっており、ヨレヨレの終盤を露呈してしまいました。

 

粘りに粘って三度逆転

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11図から三十手近く進んで12図。いま先手の▲2四桂に▽3四金と打ったところです。▽3四金は対局後に行われたチーム内の反省会で非常に評判が良く、以下▲3二桂成▽同玉となって後手玉が一気に安定しました。

12図以下、

▲3二桂成 ▽同 玉 ▲2四歩 ▽4六桂 ▲2三金 ▽4二玉 と進んで13図。

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ここで相手の方は▲7八飛と指しましたが、これが悪手で三度後手が逆転します。▲7八飛では代えて▲5九飛が勝りました。

13図以下、

▲7八飛 ▽5七歩成 ▲7一角 ▽5六角  で14図。

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14図の▽5六角が痛烈で、完全に後手勝勢となりました。

ただここから簡単に勝ち切れないのが人間同士の秒読み将棋の面白いところ。以下▲6九龍と指されて思考がフリーズしてしまいました。

今見ると▽5八銀と足して攻めれば何の問題も無く勝ちなのですが、実戦は▽8五歩▲8六歩▽4七角成以下、決め手を欠く攻めを続けてしまい先手玉を寄せきれません。秒読み20秒のまま60手以上指し続けており脳の体力が限界に。。。以下は棋譜を正確に再現できませんが、悪手を連発しているうちに形勢が逆転します。

 

死闘の末

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14図から一気に五十手近く進んで15図。途中の手順を正確に再現できず申し訳ないですが、15図の局面は合っていると思います。14図から色々あってこの局面になりました。後手が次々と悪手を連発し、気が付けば先手が勝勢になっています。

後手が指すとしたら▽5二玉ですが、▲5四歩▽同金▲4三歩のように着実に攻めていけば紛れることはないと思います。実戦は15図の▲2四馬にて投了し、200手超えの死闘が終わりました。

 

2日目の所感

僕はアマチュア棋界には疎いため知らなかったのですが、相手の方はアマ超強豪の有名人だったそうです。負けはしましたが、そんな方とこれだけ熱い将棋が指せたのはとても光栄です。振り返ると僕の指し手の内容は酷いものでしたが、終盤の長い将棋は指していてとても楽しいです。

これだけ何度も形勢がひっくり返る将棋も珍しいですが、ある意味これが人間同士の将棋の醍醐味なのかなと思います。対局後は健闘を称え合いお互いに笑顔でした。こういうシーンは本当に良いなと、改めて人間同士の将棋の魅力を実感できた1局でした。

 

この日は3局出させていただき個人成績は1勝2敗で、通算成績は3勝3敗となりました。次回の社団戦は8月26日(日)です。無料で自由に出入りが可能なので、もしよければ足を運んでみてはいかがでしょうか。

東京アマチュア将棋連盟

http://toushouren.world.coocan.jp/shadan/29/29_shadan02.pdf

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!