大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

社団戦3日目に参加してきました

8月26日に社団戦の3日目が行われました。社団戦も後半戦に突入し、来シーズンに向けて上位チームは昇級争い、下位チームは残留争いが繰り広げられています。ちなみに僕の参加チームは思うように勝ち星が伸びておらず、残留争いを戦っています。なんとかここから巻き返していきたいところです。

この日時点の勝敗は指し分けながら調子良しと判断され、4局フル出場させてもらいました。今回も対局内容を自戦記として記録します。

前回までの記事はこちらです。

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1局目:相掛かり棒銀

バランスが良さそうな後手陣の構え

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1局目は僕の先手番で、戦型は相掛かりになりました。1図はよくありそうな駒組みですが、相掛かり棒銀に対して後手の▽5二玉の構えが現代的なバランス重視の駒組みを思わせます。

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十手ほど進んで2図で、▲2六飛と浮いたところです。これは次に▲3四銀と出る狙いで、以下▽8八角成▲同銀▽7五歩には▲5六角と打ってどうか。

この時、飛車が2八に居るままだと▽3六歩~▽5五角の反撃が気になるところです。▲2六飛で未然にその反撃筋を防ぎ、次に▲3四銀からの攻めを目指します。以下は後手が上記の仕掛けを嫌ってか、▽7五歩から先行してきました。

後手の仕掛けをおさえて優勢に

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2図から後手が動く展開となって迎えた3図。先に角を手放していますが、ここでは後手からの仕掛けを封じれており、形勢が良くなりそうな局面です。

3図の最終手▲4八金は手堅く指したつもりでしたが、ここで▽5六飛▲同歩▽4七銀という強襲を受けました。以下▲同金▽3八角▲4九飛打▽2七歩成▲4八金▽4九角成▲同金と進み、難解な将棋となりました。

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4図では▽3七とされるのが一番嫌でした。以下は▲2一銀から攻めていくことになりますが▽3一金と引いてどうか。

本譜は▽2八歩と打たれたため、▲3九飛▽3七と▲同飛と進んでと金を取れたため、先手の駒得のみが強調される展開となりました。

相手の攻め駒を攻めてわかりやすくする

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4図以降少しずつリードを広げて終盤戦を迎えます。5図は後手が▽5九飛と打ったところです。色々な勝ち方がある局面だと思いますが、僕は▲4七銀▽6四角▲4九金打として、後手が打った飛車を取りにいきました。

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秒読みの中で一番はじめに見えたのがこの順でした。先日受講した永瀬さんの講座の影響かもしれません。以下勝利し、初戦は白星スタートとなりました。

 


2局目:雁木 対 左美濃袖飛車

プロアマ問わず人気の雁木が相手

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2局目も僕の先手番で、戦型はプロアマ問わず大流行している雁木になりました。対してこちらは左美濃に構えます。7図の最終手▲4六歩は後手の▽4五歩の反発を警戒した手です。

これは後手が早めに▽5三銀と上がっている点、▽4一玉と寄り▽5一角と引けるようにしている点に注目して、角を▽5一角~▽7三角と転換して▽4五歩と反発するような受けを狙っているのではないかと読み解きました。その筋を予め警戒し、▲4六歩と突いておきます。以降は先手が棒銀から先行して攻めていく展開となります。

後手の独特な受け方

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8図は▲4七金と上がったところで、次に▲3五銀から銀の捌きが確定しています。このあたりは仕掛けは上手くいっていると感じていましたが、ここで後手の▽4三金が面白い受け方です。

以下▲3五銀▽同銀▲同飛に▽3二飛と飛車交換を挑むのが狙いです。善悪はわかりませんが、陣形を生かした柔軟な受け方をされた印象がありました。

攻め駒を捌いて優勢に

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9図は中盤戦で、途中相手の方に誤算があって優勢になっています。9図以下は▲2二と▽3四飛▲2三銀▽3五飛▲4七桂と、シンプルに飛車を捌いて優勢になりました。

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以下▽3九馬▲3五桂と進み、飛車を取った手が▲3一飛からの詰めろになります。以降は駒得しながらの攻めとなり、優勢を保ったまま勝ち切れました。

 


3局目:雁木 対 左美濃袖飛車 その2

雁木の大流行

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3局目の戦型はまたしても雁木です。ただ雁木とは言っても、こちらの袖飛車に対しての受けは人によってさまざまな対処をされるのが面白いところですね。3局目の相手の方は浮き飛車に構えて受けられました。

11図以下は▲3六銀としました。この後の構想は▲3五歩とおさえ、▲3七桂と攻め駒を活用していく狙いです。

攻めの機会を逃す

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11図から二十手近く進んで12図です。先述の通り▲3七桂と活用してから、早々に角を手放し積極的に局面を動かそうとしています。12図はまずまずの形勢でしたが、ここで▲2八飛とまわったのが緩手で、▽7四飛と引かれて仕掛けが難しくなってしまいました。

ここでは▲3四歩と突き出すほうが良かったようです。以下▽同銀▲4五桂▽同桂▲同銀▽同銀▲1一角成と進んだ局面は先手が若干の駒損ながら、右辺の攻めの銀桂が捌けてまずまずの展開だと思います。

方針の分かれ目で受けに回る展開を選ぶ

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二十手ほど進んで13図。懸念だった右辺の銀桂もなんとか捌けて、形勢はまずまずと言えそうです。先手が▲6五銀と打った手に対し、後手が構わず▽7六桂と打ってきた局面です。

ここは方針の分かれ目で、▲同銀▽同飛▲1一角成や、▲同銀▽同飛▲4四桂のように、桂を取って手番を握って攻めに行くのも有力そうです。ただ実戦では▲8九銀と引いて受けに回りました。受け切りというよりは受けにまわることで攻め駒を貰い、どこかで一気に反撃を狙う方針です。

▲8九銀以下は、▽8六歩▲7八金▽9五桂▲8六歩▽8七歩▲7五歩▽8八銀と進みます。

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14図は上部からの攻めが厳しくサンドバッグにされていそうですが、以下▲6九玉▽8九銀不成▲7六銀と進んだ局面は、下段飛車が受けによく効いており意外にすぐには寄りません。ちなみに▽8九銀不成に代えて▽8九銀成には▲7四歩▽8八桂成▲5六歩と突いておけばギリギリ耐えています。

攻めに切り替えて寄せきる

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相手の方の攻めを受けているうちに流れが傾き、徐々に先手が優勢になりました。15図は▽4三金打と受けたところですが、ここでは先手がはっきり優勢です。

15図以下は▲3四桂▽5一玉▲4三馬と決めに行きました。攻めていけば持ち駒の桂を渡す展開になりますが、▽9五桂と打たれても8七の地点には玉以外に2枚の駒が効いているため、この瞬間は比較的桂を渡しやすいと判断しました。この判断が功を奏し、以下はなんとか寄せきれました。

 


4局目:対中飛車 相穴熊

自分好みの展開に出来ないかを考えてみる

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本日最終局は後手番となり、相穴熊の将棋となりました。浮き飛車から7六の歩をかすめ取り、16図では後手が優勢の局面です。相手の方が勢い▲5五歩▽同歩▲3五歩▽同歩▲5五銀としてきたのが16図で、駒損を覚悟で暴れてこられています。

まずパっと見えるのが▽5七歩▲同飛▽5六歩ですが、以下▲4四銀▽5七歩成▲3三銀成▽同金▲同角成▽同銀▲3二歩▽同金▲4一銀▽3一金▲3二金と進みそうです。

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変化1図以下は▽2二銀打などが考えられそうですが、先手の猛攻を凌ぎ切る自信がなかったため見送りました。

実戦では16図から▽5七歩▲同飛▽7七飛成▲同桂▽5五銀と、純粋に銀得する手順を選びました。

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得した銀は受けに使えます。以降は相手の飛車を押さえ込みながら駒得を生かし、長い将棋にする方針で指し進めました。

一手差で寄せ切る 

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17図以降は少しずつ優勢を拡大し、18図の局面ではゴールが近づいています。

18図以下は▽3九同角成▲同銀▽2八銀▲同銀▽同桂成▲同玉▽3六桂と進めました。以下は自玉の一手の余裕を生かし先手玉に必死をかけ、なんとか勝利できました。

 


社団戦3日目はまさかの4戦全勝で、3日目終了時点の個人成績は7勝3敗となりました。チームはまだ残留争いが続きますが、残り2日間も頑張りたいと思います。

この日は4局フルで出場したため、帰宅時には頭もかなりクタクタになっていましたが、遊びの勲章だと捉えれば充実感がありますね。次回の社団戦は9月23日です。

東京アマチュア将棋連盟

http://toushouren.world.coocan.jp/shadan/29/29_shadan02.pdf