大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

レーティングに振り回されない将棋上達法

将棋の棋力において、指標によく用いられるのが将棋倶楽部24のレーティング。「24のレーティングをいついつまでに〇〇点にする!」というように、目標に掲げる人が多い。

けど、このレーティングに固執するのは危険。レーティングは参考値くらいのお付き合いにして、日々の上達プロセスを通じて自信を付けていく、そんな勉強法を推したい。

 

レーティングは相対的な結果

知人から、こんな声を耳にする。

1年間、将棋の勉強を毎日続けてきたのに、1年前からレーティングが全く変わってない。。。本当に上達してるのかな??

毎日将棋を勉強してても、すぐにレーティングが上がるとは限らない。

当たり前だけど、レーティングは相対的なもの。上達してるのは自分だけじゃなく、同レート帯のプレイヤーも腕を磨いてるわけ。

だから、他者を凌ぐ努力をしていないと、レーティングには反映されない。従って、レーティングを上がらないと自分を認められない仕組みは、かなり過酷な目標設定だと思ってる。

 

上達に自信を持てる仕組み作り

多くの人には、目に見えないものを信じられない習性があると思う。だから24のレーティングのように、可視化されたものしか当てにできない人が多いんじゃないかな。

逆にこの習性を利用して、上達のプロセスを可視化する仕組み作りをお勧めしたい。例えばTwitterで日々の勉強結果を記録を呟いている人がいるが、それも一例。詰め将棋〇〇題、棋譜並べ〇〇題やったよ~っていう感じ。

 

自分の実戦に勝る教材はない

その中でも個人的に推しているのは、自分の実戦からポイントとなる局面について「次の一手問題」を自作し、蓄積していく方法。イメージを沸きやすくするために、以下に具体例を出してみよう。


【問題XX.▽6五同角まで】

正解を表示する
正解は▲3五歩
角と桂の2つを目標にする
以下▽同歩なら▲3四歩、▽同銀なら▲6六銀。正解手に代えて▲4五歩も正解に近い手だが、▲3五歩のほうが後手の攻めを呼び込まずに桂を入手できる。

実戦はここで▲4五歩と指したが、後で検討すると「▲3五歩のほうがリスクなく桂を取れるため勝る」というのが、個人的な結論となった。「こう指したかった」と思う局面を、次の一手問題として作成し、蓄積していく方法。

その際、ただ正解手と主要変化を書き残すのではなく、「正解手とその手に辿りつくための考え方を、紐づけして残す」ことにしてる。上記の例だと「角と桂の2つを目標にする」というのがそれ。対局中は桂頭だけを狙っていたが、角と桂の2つを目標にする指針を持っていれば、この▲3五歩に辿り着けたと思ったので、このように残すことにした。

次の一手問題とか、詰将棋とか、色んな問題集はどれも有用だと思うけど、自分の上達のために特化された問題を凌ぐものはない。

 

毎週振り返り、大会前に溜まった問題を一気に見返す

作成した問題は週末に振り返るのがお勧め。「今週はこれだけ新しい手筋や考え方を知れた」と、上達を実感できる。また、自分の棋譜が題材なので、誰でもスラスラ解ける点も魅力。

そして、大事な大会前の朝とかに、一気に見返して復習すると良い。「これだけ自分はやってきた」という自信を持って大会に臨める。一気に見返すという意味で、個人用のブログとかSNSに蓄積してれば電車の中とかでも見返しやすいのでお勧め。

 

級位者がいかにして正解手と、その思考プロセスを得るか

まてまて、この方法、級位者には難しくない?

うん、1人では無理。「ソフト使えばいいじゃん?」って思う人もいるかもだけど、級位者では先述の「正解手に辿り着くための考え方」を読み解くのは無理。(というか、ソフト解析は有段者ですら困難で、超高段者以外は上達にあまり役立たないと思ってる。)

だから、棋譜添削してくれるような指導者を頼りたい。もっと言えば、ただ添削するだけでなく、以下の記事で書いたような当人が腹落ちできるような言葉で添削してあげられるのが理想だと思ってる。

syogiblog.hatenadiary.jp

僕も級位者から有段者に駆け上がった時、当時の指導者の支援が大きかった。自分の頭で考えるのはもちろん大事。でも、解らないものを自分の思い込みで決めつけるのは遠回りで、指導者を頼るほうが上達が早いと思ってる。 

 

手間をかけるほど自信がつく

「正直、この勉強法めんどくさい。。。」って思った人が多いかもしれない。けど、手間をかけただけ「毎日ちゃんと勉強してる」って思えるし、それを積み重ねることで、日々の勉強に対する自信が作られてくと思う。

この方法だと、序盤知識、中盤・終盤の手筋、局面ごとの考え方が、確実に蓄積されていく。何より、その事実をいつでも認識できるのが大きくて、レーティングの上下に関わらず上達を実感しやすく、モチベーションを保ちやすいのが魅力だと思ってる。

実際、次の一手問題を作る作業にはそんなに時間はかからない。慣れれば1問3分~5分くらいで出来るから、興味がある人はやってみて欲しいと思う。

 

当記事で取り上げた局面図画像は、ShogipicというWebサービスで簡単に作成できる。

shogipic.jp

そのうち、詳しいやり方とかも記事に出来ればと思う。

 

大人の級位者への指導

本記事から趣旨が少し外れるけど、20代から本格的に打ち込んだ人間の視点で言っておきたいことがある。それは、正解手の土台となる考え方を理解しないと、解った気で終わってて結局身につかないってこと。

これは大人に顕著な習性で、論理的に考える力が付いている分だけ、子供と違って理由付けができないものには拒否反応を示しちゃう。昔学校の先生が言ってた「大人になると頭が固くなる」ってのは本当で、子供みたく素直に受け入れてくれないんだ。だから、指導時に正解手だけ教えても、次に同じような局面で正解手を導出できないよ!ってのは声を大にして言いたい。

大人に指導する立場の人は、是非これを踏まえて導いてあげて欲しい。