【次の一手|プロの実戦】問題87-中飛車の中盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲里見香奈女流王位 △渡部 愛女流二段 第29期女流王位戦五番勝負 第3局 より
【問題図:▲7七角 まで】
いま先手が▲7七角と上がりました。4五の桂が取られる手を角の効きで防いだところです。後手の次の一手を考えてみてください。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▽6六金です
【正解図:▽6六金 まで】
問題図では次に▲4四角を狙っていました。例えば問題図から▲4四角を防がずに▽2二銀とすると、▲4四角と出られて先手が優勢です。(参考図1)
【参考図1:▲4四角 まで】
後手は▲4四角を阻止する手を考えたい局面でした。
正解手の▽6六金は、働きの弱い金を犠牲にして角筋を防ぐ一手です。
正解図から▲同角は▽7九飛成と飛車を取られてしまうため、▲同歩の一手ですが、そこで▽4五歩と取り込みます。(図1)
【図1:▽4五歩 まで】
後手は一連のやり取りで駒損をしましたが、盤上の角と飛車の効きが存分に生かされる展開になってきました。一方で先手は、後手に比べて角と飛車の働きが非常に悪いため、先手が駒得ながら駒の効率差で後手ペースの局面ではないかと思います。
また正解図の局面において7筋の駒の配置に注目をすると、お互いの飛車の間に先手の駒が挟まっている(▲7七角)ことがわかります。お互いの大駒の間に駒がある場合、駒がある側が不利になりやすいというのがセオリーです。
この場合だと、間にいる角を動かすと飛車が取られてしまいますし、飛車を動かしてしまうと間にいる角が取られてしまいます。間に駒があると動かす駒に制限がかかるため、不利になりやすいのです。
正解手の▽6六金は、上記のセオリー通りの局面を人為的に作り出した好手だったと思います。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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