【次の一手|プロの実戦】問題102-横歩取りの中盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲丸山忠久九段 △橋本崇載八段 第26期 銀河戦 本戦Aブロック 10回戦 より
【問題図:▽8四飛 まで】
いま後手が▽8四飛と打ったところです。ここで先手にはリードを確実にする一手があります。先手の次の一手を考えてみてください。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▲8八角です
【正解図:▲8八角 まで】
問題図の最終手▽8四飛は先手の▲8二歩成を防ぎつつ、次に▽8九飛成を狙った一手です。先手は後手の狙いである▽8九飛成を防ぐ手を考えなければいけない局面でした。正解はその▽8九飛成を防ぐ▲8八角です。打った瞬間は働きの弱く打ちにくい角ですが、ここに角を打つ手が正解になります。
先手は角を手放しましたが、9一の香車を取れる見込みがあります。後手が歩超しに打った8四の飛車を目標に、8筋に香車を打つのを狙いにすれば先手が十分戦える局面です。実戦も正解図以下、▽5五角▲7二歩▽同金▲9一飛成▽1九角成▲8七香と進み、狙いの香打ちが実現させます。(図1)
【図1:▲8七香 まで】
図1以下は▽8五香と受けるしかありませんが、以下▲同香▽同桂▲8六金と進みます。後手の桂を働きの弱い8五へ飛ばせながら、先手の▲8八角も自然と働いてくる形になりました。(図2)
【図2:▲8六金 まで】
図2の形勢判断ですが、駒の損得がないため駒の働きに注目してみます。
飛車の働きを比較すると、後手の▽8四の飛車が働いていないのに対し、先手の龍は攻めの軸として活躍しそうです。また後手の馬に対して先手の角の働きが課題でしたが、金を8六に移動させることによって自然と活用できる形になってきました。
図2から後手は馬を活用したいところですが、▽6四馬と金取りに当てながら引いた場合、▲9五金と上がられて飛車を詰まされてしまいます。
そのため、実戦ではあらかじめ▽8三歩として飛車に紐をつけておきました。これは▲9五金には▽7七桂成とする狙いです。(そこで▲8四金とされた場合、飛車に紐をつけておけば▽8八成桂▲同銀▽8四歩として金を取り返すことができます)
ただ後手の▽8三歩に対して▲3七桂が中盤の決め手です。(図3)
【図3:▲3七桂 まで】
飛車だけでなく後手の馬も働きを失いました。図3の局面は2枚の大駒の働きの差が大きく、先手が大優勢の局面です。正解手▲8八角からの、見事な中盤の組み立てだったと思います。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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