【次の一手|プロの実戦】問題65-四間飛車の終盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲谷川浩司棋聖 ▽阿部隆七段 第18回全日本プロトーナメント より
【問題図:▽6六馬 まで】
いま後手が▽6六馬と金を取ったところです。局面は先手の金損で、自陣は穴熊ですが桂が跳ねていることもあって薄く、このまま長引けば後手に形勢が傾きます。先手は手番を握ったこの瞬間に攻めたいところですが、どう攻めますか。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▲6一飛です
【正解図:▲6一飛 まで】
▲6一飛が2枚飛車の力を最大限に生かした攻めです。代えて▲2一龍などと平凡に桂を取るのは、▽6一歩▲同龍▽7一金打と埋められてしまいます。後手は駒得を生かして自陣に金銀を埋める手を狙っています。先手は金銀を埋めさせない攻め方を考えなければなりません。
▲6一飛は次に▲7一銀と▲6三飛成の2つの狙いを秘めた手です。その2つの狙いを同時に受けるには▽6二に駒を受けるしかないため、実戦では▽6二歩と受けました(代えて▽6二金打には▲同龍▽同金引▲8一金という攻めがあります)が、それに対して▲6四歩と打つ手が好手で、一歩千金の一手です。(図1)
【図1:▲6四歩 まで】
図1以下は▽同金▲6二龍▽同金▲同飛成と進んで、後手陣の囲いを崩壊させることに成功しました。(図2)
【図2:▲同飛成 まで】
図2以下は▽7二金▲7一銀▽9三玉▲6四龍▽5六馬▲9五歩(図3)と進みます。細い攻めに見えですが、途中の▲6四龍と金を取った手が、同時に6六の馬取りにもなっており、ここで手番を握れるのが大きいところです。▽5六馬と逃げる手に対して、"端玉には端歩”で▲9五歩と攻めます。
【図3:▲9五歩 まで】
図3以下は、▽同歩▲8二金▽同金▲9四歩▽同銀▲8二銀不成▽同玉▲6三金と進行します。(図4)
途中▲8二金は駒損の攻めですが、その後の▲9四歩が端をついた手を生かした攻めです。▽同銀と取らせることで後手の守りの銀を無力化させることに成功しました。図4の▲6三金と打った局面は、後手玉が寄り形です。
【図4:▲6三金 まで】
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