【次の一手|プロの実戦】問題69-横歩取りの終盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲三浦弘行九段 △山崎隆之八段 第31期竜王戦2組ランキング戦 より
【問題図:▽2七龍 まで】
いま後手が▽2七飛成として龍を作ったところです。手番を握った先手は寄せを考えたいところですが、どう攻めれば良いでしょうか。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▲3三銀です
【正解図:▲3三銀 まで】
▲3三銀と打つのが正解です。これに対して▽同金は ▲5三角▽3二玉▲2八香という手順があります。(参考図1)
【参考図1:▲2八香 まで】
▲2八香に対して▽3六龍と龍が逃げるのは▲3三桂成▽同玉▲2三金で後手玉が詰んでしまいます。参考図1の▲2八香が厳しく、この変化は先手が優勢です。
実戦は正解図以下、▽5一玉▲5三桂成▽5二金▲同成桂▽同飛▲5三香と進みます。(図1)
【図1:▲5三香 まで】
図1の最終手▲5三香が厳しい一手です。図1以下▽同飛とするのは、▲4二銀▽6二玉▲5三銀成▽同玉▲5一飛で後手玉が寄っています。(参考図2)
【参考図2:▲5一飛 まで】
参考図2から5二香と合駒をするのは▲4二角▽6二玉▲8一飛成で後手玉の受けがなくなります。また▽6四玉は▲5三角以下の即詰みです。
実戦は図1以下▽3三金と取りました。これは3三の銀を取ることで、参考図2と同じように進んだ時に、4四への脱出路を作るのが狙いです。しかし▽3三金以下、▲5二香成▽同玉▲8二飛が好手順です。(図2)
【図2:▲8二飛 まで】
図2以下、▽6二香の合い駒には▲3一角が挟撃の攻めです。(参考図3)
【参考図3:▲3一角 まで】
参考図3以下は▽5三銀と受けても▲6一銀と打てば寄りです。
ちなみに図2から▲3三桂成も自然に見えますが実は疑問手で、▽3六龍という手があります。先手の2五にいた桂が居なくなることで、後手の1四の角が先手玉を間接的に睨んできます。進行の一例は図2以下▲3三桂成▽3六龍▲4二金▽5三玉▲4三金▽6四玉▲8四飛成▽7四桂▲5三角▽6五玉という手順です。(参考図4)
【参考図4:▽6五玉 まで】
参考図4の局面は後手玉が危なそうですが、4段目の王手(▲5六銀など)はすべて▽同龍と取られます。3六の龍が動くと1四の角の効きで逆王手になり、先手の攻めがうまくいきません。よって先手の2五の桂は動かさず、後手の角を遮ぎる役割与えておいたほうが堅実でしょう。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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