大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【自戦記】03-対四間飛車

当記事では自分が指した将棋を振り返って、

  1. 相手の方で参考になった一手、手順、構想
  2. 自分が上手くさせたと思う一手、手順、構想
  3. 対局後に検討して発見した一手、手順、構想

などを整理しています。

今回は将棋倶楽部24の対局から紹介です。(持ち時間1分、秒読み30秒)

▲先手:私

▽後手:相手の方(七段)

戦型:居飛車ミレニアム vs 四間飛車美濃囲い


【この記事の目次】


1.序盤まずまずの駒組みも▲5八飛は不要だった

                      

【図1:▽5二飛 まで】

いま後手が▽5二飛とまわったところです。実戦はここで▲5八飛とまわりましたが不要な一手で、▲8七銀とミレニアム+銀冠穴熊を目指しておいて問題ありませんでした。

▽5五歩からの仕掛けを気にしていましたが、▽5五歩以下▲2四歩▽同歩▲5五角と切り返すことができるため、問題ありません。(参考図1)

【参考図1:▲5五角 まで】

本譜の▲5八飛は2筋から飛車が外れるため、後手の3三の角を自由にさせてしまいます。後手は角が自由になったことで、▽4二角から▽7五歩とポイントをあげる手を選択することができます。

 


2.成立していた強襲

                      

【図2:▽5四銀 まで】

図2は後手が▽5四銀と受けたところです。ここで本譜は▲5九飛▽5五歩▲2六角▽6四角▲4四角と進んで優勢になりましたが、▽6四角に代えて▽3三角とされていたら仕掛けが難しくなっていました。

図2では▲同飛!の強襲が成立していました。以下▽同飛▲4三銀▽4四飛▲4二銀成▽同飛▲5四歩と進みます。(参考図2)

【参考図2:▲5四歩 まで】

次は強引に▲5三角と打ち込む狙いがあります。こうしておけば玉の堅い先手が十分に戦える局面だったようです。

 


3.空中要塞を綺麗に築かれる

                      

【図3:▽8五歩 まで】

後手が▽8五歩とついたところです。以下▲1三金▽8六歩▲同銀▽1三香▲5一飛▽6三玉▲2一と▽8五歩▲9七銀▽7六歩と進みます。(図4)

                      

【図4:▽7六歩 まで】

先手の穴熊を攻めながら、後手は上部に厚みを築くことに成功しました。どこから手をつけて良いかわからない、見事な空中要塞の完成です。しかもこの後、▽4八角~7五角成とされて、さらに厚みを作られてしまいます。超高段の方の厚みの作り方は本当に参考になりますね。

戻って図3の局面では、▲8五同桂としておけば、図4ほど耐久力のある空中要塞は築けなかったと思います。(参考図3)

【参考図3:▲8五同桂 まで】

 


4.一番困るのは自分の狙いを消されること

                      

【図5:▽7五馬 まで】

いま▽7五馬とした局面で、形勢は難解です。ここで▲2四飛としましたがこれが悪手で、▽6一金打とされて後手玉が寄りつかなくなってしまいました。(図6)

                      

【図6:▽6一金打 まで】

▲9一飛成が寄せの生命線だったところ、それを防がれてみると後手玉への寄せが途端になくなってしまいます。図5では▲2四飛に代えて▲9一飛成としておけば、先手が有望な局面だったと思います。(参考図4)

【参考図4:▲9一飛成 まで】

飛車を成り込む手も大きい手ですが、それ以上に▲9一飛成を急ぐべきでした。参考図4の局面は次に▲7六香や▲2四飛という複数の具体的な狙いがある上に、後手からの脅威だった端攻めも9一に龍が来たことで緩和されています。参考図4の局面は、先手が少し駒損はしているものの、十分に戦える局面だったと思います。

 


5.ミレニアムの序盤戦には手ごたえあり

一気に序盤に戻ります。僕はミレニアムの勉強はしているものの、まだ実戦で試した回数は多くはありません。超高段の方を相手にミレニアムを指すことができたので、序盤戦のポイントを振り返りたいと思います。

                      

 【図7:▲3六歩 まで】

対四間飛車において、これから何度も対峙することになりそうなのが図7の局面です。実戦は図7以下▽6五歩▲4八角▽4五歩▲3七角と進みました。(図8)

                      

【図8:▲3七角 まで】

途中▲4八角のところは▲5七角が自然に見えますが、▽5五歩▲同歩▽4五歩と進むと、次の▽5五角が厳しく後手がペースを握れそうな展開だと思います。そのため、実戦で指した▲4八角のほうをメインで考えていきたいと思います。

図8は次に▲6五桂を狙っています。実戦は▽8一玉と引き、以下は駒組み合戦となりました。後手玉よりも固さを主張できる展開になったため、先手にとって不満のない序盤戦だったのではないかと思います。

 

後手の改善案の一例は、図7からの手順で▽4五歩に代えて▽6四銀とする手が考えられるのではないかと思います。以下、先手は同様に▲3七角とします。(参考図5)

【参考図5:▲3七角 まで】

ここで▽6三金と▽6三銀の受けが考えられますが、▽6三金は▲2四歩▽同歩▲6四角▽同金▲5三銀と強襲する手がありそうです。(参考図6)

【参考図6:▲5三銀 まで】

この展開は先手が2枚飛車で攻められる展開になりそうなので、個人的には先手が十分戦えるのではないかと思っています。

後手がこの順を避けるのであれば、参考図5から▽6三銀とする手が考えられます。(参考図7)

【参考図7:▽6三銀 まで】

▽6三銀と受けた場合は、しばらく駒組みが続くと思います。先手は本譜同様にミレニアム+銀冠穴熊に囲いを発展していってどうか。。。研究課題の展開です。

 

将棋系YouTuberのショーダンさんに、この記事の将棋を題材に研究動画に使っていただけました。

ミレニアム最新① - YouTube

とてもわかりやすい解説いただけています。とても参考になるので、ぜひ観てみてください。

また、動画で取り上げていただくことになった経緯などを以下に記載しました。よければご覧ください。

syogiblog.hatenadiary.jp