【次の一手|プロの実戦】問題76-雁木の終盤戦
プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。
今回は以下の棋戦からの紹介です。
▲都成竜馬五段 △高野智史四段 第31期竜王戦6組ランキング戦 より
【問題図:▽3二銀 まで】
いま後手が▽3二銀としたところです。先手はここで一気の寄せを考えたいところですが、どう指しますか。
(正解は下にスクロールするとあります)
正解は▲2三歩成です
【正解図:▲2三歩成 まで】
問題図から▲3二香成▽同玉とするのは、後手玉を先手の攻め駒から遠ざけてしまいます。できれば後手玉を左辺に逃がさない寄せを考えたいところです。
正解手の▲2三歩成は、後手玉を逃がさず一気に寄せる狙いで、以下▽同銀▲同金▽同玉▲2四銀打▽1四玉▲3四銀と進みます。(図1)
【図1:▲3四銀 まで】
後手玉を上部に逃がしそうな手順ですが、図1の最終手▲3四銀とした局面では、次の▲1五香と▲2三銀直不成という2つの詰めろがかかっています。複数の狙いがある攻めは厳しく、受けるのは容易ではありません。
例えば▲1五香と▲2三銀直不成の攻めを同時に防ぐ受けとして、▽3七馬という手が考えられますが、それには▲2六歩が好手です。(参考図1)
【参考図1:▲2六歩 まで】
▲2六歩は過去の次の一手で何度か紹介させていただいている焦点の歩です。ここでは馬と飛車の効きが交差している地点に歩を打つことで、片方の効きを無力化することができます。
参考図1から▽同馬は▲2三銀直不成で詰みですし、▽同飛成には▲1五香▽同龍▲2三銀直不成とすれば見事に詰みです。(参考図2)
【参考図2:▲2三銀直不成 まで】
実戦は図1より▽1六歩と指しました。これも▲1五香と▲2三銀直不成の2つの攻めに対応した受けですが、以下▲2六歩▽同馬▲1五歩▽同馬▲同銀▽同玉▲3七角と進みます(図2)
【図2:▲3七角 まで】
ここでも▲2六歩が好手でした。最終手▲3七角まで進んで先手が勝勢です。
図2以下、後手は▽2六に合い駒をすれば即詰みこそ逃れますが、飛車を取られて敗勢です。また▽2六飛成とするのは、▲同角▽同玉▲2二飛▽3七玉▲4六角▽3八玉▲2八飛成▽4九玉▲4八龍という手順で即詰みです。
いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。
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