大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題85-中飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲長沼 洋七段 △千田翔太六段 第31期竜王戦5組昇級者決定戦 より

 

【問題図:▲7一飛 まで】

いま先手が▲7一飛と打ったところです。後手はどのような方針で指せば良いでしょうか。次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▽9二角です

【正解図:▽9二角 まで】

問題図における後手の主張は、駒得をしていることです。この後、先手に▲8一飛成~▲9一龍と桂香を拾われてしまうと、後手の主張点が無くなってしまい、玉の堅さで上回る先手が優勢になります。そのため、問題図では▲8一飛成を防ぐ手を考えたいところです。

正解手の▽9二角は▲8一飛成を防ぎながら、先手陣に狙いをつけた攻防手です。角を手放すようで勿体ないと感じるかもしれませんが、この香の上に角を打つ手は"遠見の角"と呼ばれる手筋です。離れた場所に設置した角の効きは防ぎにくく、後々攻めに効いてきやすい一手です。この場合は8一の桂を守るという問題図における課題もクリアできるため、遠見の角を打つ絶好のタイミングと言えるでしょう。

この▽9二角は、直接的には先手の3八の銀に狙いをつけています。ただそれだけではなく、当然9二~3八までの途中の地点にも角の効きがあります。その具体的な効果として、先手の▲5六銀という攻めを防げているのが大きなところです。攻め駒不足である先手の攻め筋を制限しています。

 

正解手以外で▲8一飛成を防ぐ手としては▽4五馬とするのも自然な手ですが、それには先述の▲5六銀という攻め筋があります。以下▽6三馬▲5五銀と進むと、攻め駒不足だった先手の攻め筋が広がっていて、後手としても嫌な流れではないでしょうか。(参考図1)

【参考図1:▲5五銀 まで】

正解手の▽9二角が果たしている役割の大きさがわかります。遠見の角の実戦例として、覚えておくと良いのではないでしょうか。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!