大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題131-角換わりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

※今回は全部で3問あります。

以下の棋戦からの紹介です。

▲永瀬拓矢七段 △阿部光瑠六段 第60期王位戦予選 より

【問題図(1):▽8三銀 まで】

いま先手の▲7五歩に▽8三銀と引いたところです。玉頭の拠点が大きく、また馬の働きに差があるため形勢は先手が優勢です。優勢を拡大する手順を考えてみてください。(3手)

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                          

正解は▲6七馬▽4一飛▲5六馬です

【正解図(1):▲5六馬 まで】

馬を6七→5六と活用するのが正解です。

初手の▲6七馬は次に▲4五桂を狙っています。▲4五桂と跳ねられてしまうと、後手にとって非常に厳しい手になります。▽3四金や▽2三金は▲5三桂成から金が抜かれますし、▽3二金だと▲2四飛と走られます。そのため▽4一飛として▲4五桂を防ぎますが、▽8三銀の紐が外れたところを狙って▲5六馬とします。

先手は馬を手順に好位置に配置できました。正解図以下は、▽7二金▲4六銀と進みます。(図1)

【図1:▲4六銀 まで】

▲4六銀と銀を立ち、再び▲4五桂を狙いにします。▲4六銀と立ったことで、先手の攻め駒が全軍躍動の形になってきました。実戦は図1以下、▽4九馬▲6七金右▽4八馬と進みます。(図2)

【図2:▽4八馬 まで】

図2の最終手▽4八馬は、先手の飛車を間接的に狙うことで、▲4五桂を防いだ手です。この図2が2つ目の問題図です。

【問題図(2):▽4八馬 まで(図2再掲)】

問題図(2)より、優勢を拡大する手順を考えてみてください。(3手)

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲2八飛▽3九馬▲2七飛です

【正解図(2):▲2七飛 まで】

今度は飛車を2八→2七と移動させるのが正解です。

問題図(2)では先手の飛車が間接的に後手の馬に狙われているため、▲4五桂と指すことができない図面になっていました。そこで▲2八飛~▲2七飛と後手の馬に当てながら飛車を移動することで、次の▲4五桂を狙います。

正解図(2)の局面は、これ以上後手が先手の飛車を追えません。3八には先手の馬の効きがありますし、▽4九馬には▲2九飛と引けば大丈夫です。

正解図(2)以下、指す手に困った後手は▽9五歩▲同歩▽5四歩としますが、以下▲4五桂▽2三金▲4七飛▽3四金▲5三桂成▽同銀▲3四馬と進みます。(図3)

【図3:▲3四馬 まで】

狙いだった▲4五桂からの攻めを実現させました。途中の▲4七飛が好手で、4六の銀に紐をつけることで馬を動けるようにしています。

図3以下、▽3八馬と進んだ局面が問題図(3)です。

【問題図(3):▽3八馬 まで】

先手優勢ですがまだ油断はできません。▽3八馬と飛車取りに当ててきました。決め手があります。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲3七飛です

【正解図(3):▲3七飛 まで】

飛車を馬に強く当てる▲3七飛が正解です。

▽同馬▲同銀と進むのは、次の▲5二角という非常に厳しい狙いが残ります。▽4九飛成と飛車を成りながら逃げるのは、▲5二角から詰まされてしまいます。

実戦は▽2八馬と我慢しましたが、以下▲4四歩▽4二歩▲5六馬と進みます。(図4)

【図4:▲5六馬 まで】

最終手▲5六馬は、次に▲7四金と▲3五飛という2つの手を狙いにしています。両方とも非常に厳しい狙いですが、2つの狙いを1手で同時に受けることはできません。実戦はここで後手の投了となりました。

優勢を1手1手積み重ねる指し回しが勉強になる1局でした。