大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題62-四間飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲永瀬拓矢六段 △中村太地六段 第30期竜王戦2組昇級者決定戦 より

【問題図:▽7六飛 まで】

いま後手が▽7六飛と寄った局面で、次に飛車の成りこみを狙っています。先手はここでどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲6五銀です

【正解図:▲6五銀 まで】

飛車と角の両取りに▲6五銀と出るのが正解です。シンプルな狙いですが、これに対して後手にも対応がいくつかあるので順に見ていきます。

正解図より▽6三歩は▲5四銀▽6四歩▲4三銀成と進みます。(参考図1)

【参考図1:▲4三銀成 まで】

最終手▲4三銀成が狙いの一手で、▽同玉に▲5五桂と打つ狙いです。玉がどこへ逃げても▲4三角と打つ手が、7六の飛車と6一の金の両取りで厳しい一手となります。

また、正解図から▽7九飛成には▲5四銀▽4九龍(同歩は▲3八銀と金を守っておいて先手十分)▲4八金▽9九龍▲5三銀成(参考図2)で、先手も十分に戦える局面です。

【参考図2:▲5三銀成 まで】

実戦では正解図より▽6六飛という手を捻りだしましたが、構わず▲5四銀とするのが好手です。(図1)

【図1:▲5四銀 まで】

図1以下は▽6四飛と飛車を取られて先手がまずいように見えますが、ここでやはり▲4三銀成が好手です。以下、▽同玉▲5五桂▽3二玉▲4三角▽2二玉▲6五歩と進行し、先手が優勢となりました。(図2)

【図2:▲6五歩 まで】

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

【次の一手|プロの実戦】問題61-四間飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

第49期王将戦挑戦者決定リーグ戦 ▲谷川 浩司棋聖  ▽中原 誠永世十段 より

【問題図:▽3八歩成 まで】

いま▽3八歩成として、飛車取りにと金を作ったところです。この瞬間は先手が大きな駒得で、形勢もはっきり優勢です。後手の美濃囲いに迫る決め手を考えたいところです。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲2五飛です

【正解図:▲2五飛 まで】

この場面で先手にとって最も欲しい駒は桂です。桂を入手するために、飛車を切る手が正解になります。

以下▽同歩▲7四桂▽9三玉▲9六歩と進みます(図1)

【図1:▲9六歩 まで】

図1最終手の▲9六歩が"端玉には端歩"という格言通りの攻めです。次に▲9五歩と取り込んだ手が、▲9四香▽8四玉▲7五馬までの詰めろになっています。

図1以下は、▽8四歩▲6三香▽5八銀不成▲同金▽5四金▲6一香成▽6四金▲6一香成▽5七歩▲同金▽9九飛▲8八玉(図2)と進み、先手の勝ちがはっきりしました。

【図2:▲8八玉 まで】

途中の▲6三香は俗手ですが確実で厳しい攻めです。▽6二歩と受けるのは▲同香成▽同角▲同桂成▽同金▲7一角という手順が決まります。 

図2の最終手▲8八玉が決め手で、後手は飛車を渡せば▲9四銀以下の詰めろがかかります。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

【次の一手|プロの実戦】問題60-四間飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲八代 弥六段 △佐々木 慎六段 第31期竜王戦4組ランキング戦 より

【問題図:▽8五桂 まで】

いま後手が▽8五桂と跳ねたところです。先手は次の1手をどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲8六歩です

【正解図:▲8六歩 まで】

正解は▲8六歩で、後手の▽7七歩成を催促する手でした。以下▽7七歩成▲同桂▽同歩成▲同玉と進んだ局面は、後手の手駒の桂をすぐに生かす厳しい攻めがありません。そうしておいてから▲4三歩成を楽しみにするのが手堅い方針となります。(図1)

【図1:▲同玉 まで】

問題図で▲8六歩に代えて▲4三歩成とするのは、▽7七桂打が厳しい攻めになります。(参考図1)

【参考図1:▽7七桂打 まで】

この展開は双方に陣形差があり、後手に確実な攻めがあるため先手が勝ちにくい展開です。具体的には▲4二とに対して▽2七歩成(参考図2)が好手です。(すぐに▽8九桂成は▲同飛で攻めが細い)

【参考図2:▽2七歩成 まで】

次に後手は▽2八と▲7九飛(同飛は▽8九桂成が厳しい)▽1九とで香を入手し、▽7三香と攻め駒を足すような攻めがあり、後手の攻めは切れません。

1度▲8六歩として後手の攻めを緩和しておくのが手堅い指し方でした。

 

いかがでしたでしょうか?

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【次の一手|プロの実戦】問題59-角換わりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲糸谷哲郎八段 △阿部健治郎七段 第31期竜王戦1組出場者決定戦 より

【問題図:▽7四歩 まで】

いま後手が▽7四歩と突いたところです。角筋で9一の香を守りながら先手玉を攻める味の良い突き出しです。ここで先手はどう指すのが良いでしょうか。次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲9一成銀です

【正解図:▲9一成銀 まで】

紐がついたばかりの香を堂々と取る▲9一成銀が正解手です。これに対して▽同角は▲8五香と打ち、後手の飛車が捕まってしまいます。(参考図1)

【参考図1:▲8五香 まで】

 

実戦は正解図より、▽7五歩として飛車を横に逃げれるようにしましたが、▲5六香と進みます。(図1)

【図1:▲5六香 まで】

後手の陣形は角換わりにおいて頻出する矢倉+腰掛銀の構えですが、腰掛銀(▽5四銀)が攻防に効いている要の駒で、これを取ることができれば攻略の糸口を掴みやすくなります。

香を入手して▲5六香が相手の要の駒を剥がす好手順で、先手が優勢を拡大しました。

 

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もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

将棋トーナメントに参加してきました!

ゴールデンウィークの2日目、兵庫県の元町にある将棋道場にて開催された将棋トーナメントに参加してきました。トーナメントは事前に参加の申し込みは不要で、当日の締め切り時間までにエントリーすれば、段位関係なく誰でも参加することができます。この日は計12名がエントリーし、組み合わせは段位関係なく抽選で行われます。参加費は1人300円で、優勝者と準優勝者には賞金が出ます。

神戸将棋センター - 兵庫県神戸市中央区の将棋教室・道場 - 子供向けの全国将棋教室・将棋道場検索ページ

抽選の結果、運よくシードとなって準々決勝からの参加となりました。この日の参加者には道場で最高段位の六段の方や、アマチュアの元タイトル保持者の方も来ており、参加者のレベルが高いトーナメントとなりました。持ち時間は30分切れ負け。決勝のみ秒読み30秒というルールが加わります。

 

1回戦: 対四間飛車(四段の方)

1回戦の相手は四段の方でした。参加者は全12名ですが、この日は殆どの方が四段以上の段位を保持している方であったため、どの方と当たっても実力者ばかりです。手番は段位が下位の人が先手になります。私は道場で五段の認定を受けているため、相手の方が先手番、私が後手番になりました。

四間飛車に対してミレニアムを採用

戦型は相手の方の四間飛車に対して、最近勉強中であるミレニアムを採用しました。

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第1図は序盤戦の駒組みの局面で、相手の方は四間飛車から三間飛車に振り直し、石田流に構えてきました。ミレニアムの対策でよく見かける指し方です。私は石田流への組み換えを特別阻止しようとはせず、自玉の囲いを優先させました。後手番ということもあり、自玉の堅さという主張点を作ってカウンターを狙います。

常套手段の桂跳ねで優勢に

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第1図から▲4五歩▽6二角▲4六角と進んで第2図です。次に▲7四歩を狙いにして先手が好調に見えますが、実はこの構想が疑問でした。ここで後手に手筋があります。

第2図から▽4五桂▲同歩▽4四歩と進めるのが手筋です。(第3図)

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4五桂~4四歩で桂を取り返すのは、ミレニアムで頻出の手筋です。第3図は次の▽4五歩で桂を取り返せることが確定していますし、4五に拠点を作ることができるため、後手十分な局面です。

端攻めから崩す

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第3図より十数手進んで第4図。相手の方が▲6二桂成としたところです。成桂を作られていますが、後手の陣形がしっかりしており、手を作れれば優勢を拡大できそうな局面です。

私は第4図から▽1五歩と端を攻めていきました。桂交換になっているため端が弱点であり、角の効きを生かして端を攻めるのが急所です。第4図以下▽1五歩▲6三成桂▽4四角▲1五歩▽1八歩と進んで第5図です。

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第5図以下▲同香は▽1七歩▲同香▽2五桂で攻めが続きます。

実戦は▲同玉でしたが▽1五香▲2八玉▽1八歩と進み、優勢を拡大することができました。

先手玉の退路を狭めながらの攻め

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第6図は先手が▲7四飛と走った局面。角取りに当たっていますが、ここでは角取りを受けずに▽4六歩と突き出しました。▲4四飛と角を取る手には▽1七角の王手飛車で切り返すことができます。

第6図以下は▽4六歩▲同金▽2五桂と進みました。(第7図)

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▽2五桂は▲3七玉を防いだ退路封鎖の手筋で、次に▽1七角成以下の詰めろになっています。また、ここで▲3九玉とするのは▽5七角の王手金取りが決まります。先ほどの▽4六歩の効果で常に▽5七角で挟み撃ちにするのが狙いとなっています。

第7図以下は▲3七銀▽1七角成▲3八玉と進んで第8図の局面です。

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 ここで寄せの決め手があります。

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▽2九角が決め手で▲同玉は▽3七桂成で必死がかかります。実戦は▲4八玉と逃げましたが、▽7四角成と飛車を抜いて勝負ありです。(第10図)

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準決勝: 対向かい飛車(六段の方)

抽選でシードに入っていたため、2回戦が早くも準決勝です。ここで勝利すれば賞金の獲得が確定するため、負けられない一戦です(笑)

相手は現在道場で最高段位である六段の実力者です。段位は私のほうが下なので、私の先手番、相手の方の後手となりました。

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相手の方の向かい飛車急戦に対し、左美濃で対抗しました。いま後手が▽2四歩と仕掛けてきたところで、向かい飛車の基本の攻めです。以下は▲同歩▽同飛▲2五歩と進め、後手からの速攻を警戒しながら持久戦を目指していきます。(第2図) 

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穴熊に潜って作戦勝ちに

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第2図からはお互い駒組みを進めて穏やかな展開となりました。第3図では先手が銀冠穴熊を完成させ、作戦勝ちの局面です。本来であれば、先手陣がここまで組みあがる前に後手が動きたかったところでしょう。後手は▽9五歩~▽8五歩と動いて来ましたが、▲6八金右▽8六歩▲同角と進んで第4図です。

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第4図は次に▲2四歩の狙いがあり、以下は▽同角▲同飛▽同飛▲4二角という手順があります。そのため後手は▽8五歩と打ち、▲7七角と下がらせその狙いを防ぎましたが、端攻めを狙っていた後手の攻めが空振りに終わった格好です。

ちなみに▲7七角に代えて▲9七角と引く手も考えられそうですが(▲2四歩の狙いを継続させる狙い)、▽2三歩と受けられた時に指す手が難しいため▲7七角が勝ります。

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第5図は第4図から30手ほど進んだ局面。先手の桂得であり、陣形も先手のほうが堅陣な構えです。ここでは優勢を確固たるものにすべく、▲8七歩と打ちました。(第6図)

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▲8七歩は自陣の傷を消した手です。具体的には▽9八歩▲同玉▽8六桂という急所の攻め筋を予防しています。現状後手の持ち駒に桂はありませんが、3七にいる桂や、持ち駒の桂を使いやすくした意味があります。実戦ではこの歩で形勢がはっきりとした印象がありました。

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第6図からさらに20手ほど進んで第7図。終盤勝ちが近づいている局面です。自陣は鉄壁ですので、攻めの継続手だけを考えれば良い局面です。

実戦は▲7七桂打としました。(第8図)

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次に桂を跳ねて▲7三歩成が狙いの手順です。以下は▽6三金としましたが(▽7二歩の受けを用意)▲6五桂と跳ねて、▲7三歩成と▲5三桂成の両方を見て勝勢です。実戦ではここで相手の方が時間切れとなり、決勝進出を決めました。格上の段位の方に一発を入れ、良い状態で決勝に進みました。

 

決勝: 対中飛車(五段の方)

決勝は五段の方です。相手の方は道場で私と同じ五段で登録されている方ですが、アマ大会の実績十分で、某アマ大会での優勝経験もある関西の強豪です。独特の将棋感覚と、型にとらわれない指し回しに定評があります。1回戦、準決勝ともに良い将棋で勝ち上がれたので、自分の将棋に自信を持って強豪との一戦に臨みました。

※図面に対局者の名称を入れ忘れたので、以下に先後の対局者を明記します。

▲先手:私

▽後手:相手の方(五段の方)

ツノ銀中飛車 序盤の相手の工夫

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戦型は私の居飛車穴熊、相手の方のツノ銀中飛車となりました。ツノ銀中飛車は最近あまり見かけなくなった印象がありますが、相手の方はツノ銀中飛車を得意としています。第1図の▽4二角が比較的珍しい手。プロの公式戦で多く指されているのは▽4五歩と角をぶつける手であり、ツノ銀中飛車の定跡手とされている一手です。局後この▽4二角について聞いてみたところ、後手番なので争点を作らず、千日手を狙う構想だったようです。

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第2図はお互いの駒組みがほぼ飽和状態の局面ですが、ここまで進んで作戦負けを意識しました。相手の狙い通り、先手から戦いの争点を作りにくい将棋になっています。

本譜は先述の通り、相手が角筋をぶつけてなかったため、角筋を開けたまま戦う駒組みで進めていました。しかしどうやら疑問だったようです。角筋をぶつける本来の定跡型と同様に、▲6七金型の穴熊に組むべきでした。1例としては以下のような駒組みです(参考図1)

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後手が▽4二角型の場合、最終手▲3六歩をつきやすいのがポイントです。角筋が開いた▽3三角型であれば、▲3六歩には常に▽5五歩▲同歩▽同角という手順があり、飛車の小鬢を狙われるため指しにくい一手でした。しかし▽4二角型ではその筋がなく、堂々と指すことができます。参考図1以下▽5一飛なら▲3五歩▽同歩▲4六銀▽3六歩▲2六飛という手順で、先手が主導権を握れる展開ではないでしょうか。

信じられないミスで姿焼き模様に

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第2図から十数手進んで第3図、後手が▽6四角とあがったところです。先手は6筋で1歩を獲得できており、第2図の局面よりは具体的な打開策を見いだせそうな局面です。しかし実戦はここで▲6七銀とあがり、これが大悪手。▽4五桂と跳ねられて、次の▽3七桂成と▽5七桂成の狙いを同時に受けることができません。(第4図)

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しかも実戦では▽3七桂成に気づいておらず、ノータイムで▲5八飛と回りました。当然ノータイムで▽3七桂成とされてフリーズ。。。以下▲同桂▽同角成と進み、穴熊の姿焼き模様となってしまいました。(第5図)

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第3図では▲6七銀に代えて、▲2四歩▽同歩▲同飛▽2三歩▲2八飛としておくべきでした。(参考図2)

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参考図2以下、後手が自然に指すなら▽2一飛が考えられますが、その場合の1例手順を以下に記載します。

参考図2以下、▽2一飛▲6七銀▽4五桂▲5八飛▽3七桂成▲同桂▽同角成▲5五歩▽1九馬▲5四歩▽同銀左▲4六桂▽4三銀▲5三飛成▽5一香▲4三龍▽同金▲3二銀(参考図3)

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飛車が5筋からズレたことで、本譜と同じ順で進めた場合に5筋から反撃する筋が生じます。参考図3まで進んだ局面は先手が十分に戦える局面だと思います。

中盤は実戦的に手を作って行くが、形勢が広がっていく

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第6図は、後手の銀桂交換であり、私が駒損をしています。桂を2枚手持ちにしているものの、依然として手を作っていくのが難しい局面です。実戦は第6図以下、▲4六歩▽同歩▲4五桂▽4二馬▲4四桂▽3一金▲3三歩と強引に手を作っていきました。

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一見、手が作れているように見えなくもないですが、これはツノ銀側の勝ちパターン。玉から離れた金銀に対して強引に攻めすぎな感があります。実戦は第7図以下▽6六銀が当然の一手で、後手が優勢を拡大しました。

第6図からは▲2九飛が形勢が悪い側なりの頑張り方だったと思います。(参考図4)

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参考図4から▽4二馬なら、再び▲3九飛とまわって千日手を提案するのが狙いです。後手が千日手を打開するとすれば▲3九飛に▽4四銀打とする手が考えられますが、それには▲5九飛と5筋を補強しながらじっと手待ちをしてどうか。こちらのほうが形勢が悪い側なりの粘り方として良かったと思います。

粘りが功を奏して好機を迎えるも、終盤で読み負ける

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第8図は第7図から30手ほど進んだ局面です。粘りが功を奏して相手の方にも細かいミスが出たこともあり、第8図の局面は形勢が接近しています。実戦は第8図以下は▲5一飛と打ちましたがこれが悪手。以下▽6五桂が後手玉の逃げ場所を広げながらの攻防手となり、後手が1手勝ち模様となりました。

第8図では▲5一飛には代えて▲6九桂と打つ手が勝りました。▲6九桂以下の想定手順は▽6五桂▲5七桂▽7七桂成▲同金▽6七金▲8一飛▽8二銀▲6五桂▽7七金▲同桂と進んでどうか。(参考図5)

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参考図5の局面は次に▲7三金以下の長手数の詰めろがかかっています。後手は受けるとしたら▽6四銀左が考えられますが、▲6一角▽6二金打に▲7一角!と打つ手がありました。(参考図6)

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次の一手問題に出てきそうな、必死をかけた一手です。参考図6で▽6一金と角を取るのは、▲7三金▽同銀引▲同桂成▽同玉▲6五桂打以下の詰みです。

また参考図6では▽6九飛と打って先手に合い駒を請求する手も考えられますが、▲8八玉▽6八飛成▲9七玉とあがっておけば、合い駒を使う必要がなく後手玉の必死がほどけません。

実戦は第8図から▲5一飛でまだ難しいのでは?と思っていましたが、数手後に後手に明解な決め手がありました。

手筋の歩成が決め手

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第9図は▽4九飛に▲8九香と受けたところ。ここで▽6七歩成が決め手でした。(第10図)

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▽6七歩成が詰めろになっています。これに対して▲同金は▽8八銀以下の即詰み。受けても一手一手なので、実戦は▲6五桂打と形作りに。(第11図)

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ここからは実戦詰め将棋です。(正解は以下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解手順は、▽8九飛成▲同玉▽7八と▲同銀▽8七香▲8八桂▽7九金▲9九玉▽8八香成▲同玉▽7八金▲同玉▽6六桂(第12図)です。

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▽6六桂以下は、▲6七玉▽5八銀▲5七玉▽4七歩成▲6六玉▽6七金までの詰みです。他の逃げ場所はどこへ逃げても先手玉が詰みます。実戦はこの▽6六桂で投了しました。

強豪相手に中終盤で何とか追いすがりましたが、▽6七歩成がぴったりの手でさすがという印象です。元アマタイトルホルダーの名は伊達ではありません。

大会を終えての所感

惜しくも準優勝という結果になりましたが、勉強中のミレニアムで勝てたことや、道場最高段位の六段の方相手に良い将棋が指せたことは自信になりました。決勝も負けはしましたが、勉強になる一手、手筋に多く出会えたため、総じて楽しく指せたトーナメントだったと感じています。

また準優勝という結果であったため、賞金をいただくことができました!

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賞金額の記載は控えさせていただきますが、自分が想定していた額よりは、良い額が頂けたなと感じています。次回参加することがあれば、また優勝を目指して頑張りたいですね!

トーナメントのルールの補足ですが、段位差が2段以上ある場合、段位の高い側が駒落ちの上手で指すことになります。そのため、実力差があっても上位進出を狙える可能性がありますので、是非参加してみてはいかがでしょうか(実力詐欺はダメですよ!笑)

また当道場では将棋教室もやっていますので、気になる方は以下を見てみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

【次の一手|プロの実戦】問題58-四間飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲高見泰地六段 △鈴木大介九段 第66期王座戦二次予選 より

【問題図:▽3一桂 まで】

先手の▲3五桂に対し、後手が▽3一桂と受けたところです。ここで先手に手筋の攻めがあります。三手先まで読んでみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解手順は▲2三桂成▽同桂▲2四歩です

【正解図:▲2四歩 まで】

▲2三桂成と成り捨てるのが正解です。▽同桂で一瞬桂を損しますが、▲2四歩と突き出した正解図の局面は、次の▲2三歩成が受かりません。

実戦は正解図より、▽6八歩▲同飛▽8五歩▲2三歩成と進行し、と金が大きく先手優勢の局面になりました。桂を先に捨てて取り換えす順は頻出の手筋であるため、覚えておいて損はないと思います。 

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

【自戦記】02-角換わり

当記事では自分が指した将棋を振り返って、

  1. 相手の方で参考になった一手、手順、構想
  2. 自分が上手くさせたと思う一手、手順、構想
  3. 対局後に検討して発見した一手、手順、構想

などを整理しています。

今回は将棋倶楽部24の対局から紹介です。(持ち時間1分、秒読み30秒)

▲先手:相手の方(5段)

▽後手:私

戦型:角替わり腰掛け銀vs早繰り銀


【この記事の目次】


 

1.駒損でも堅さを生かして一気に攻めこめれば優勢

 【図1:▽6九角 まで】

いま▽6九角と打ったところです。実戦でこの手は秒に追われて指した感があり、▲5八銀と受けられた後どう攻めを繋ごうか悩んでいました。

ただ▲5八銀の場合は攻めが繋がっていたようです。

図1から▲5八銀▽8六飛▲8七銀▽7八角成▲同玉▽7七歩(図2)

 

【図2:▽7七歩 まで】

図2の最終手▽7七歩が好手です。以下▲同桂か▲同玉が考えられますが、

▲同桂の場合、▽8九銀▲8八玉▽7八金▲9七玉▽8二飛▲8三歩▽7二飛と進みます。(参考図1)

【参考図1:▽7二飛 まで】

参考図1の局面で、後手の飛車の効きを止める良い手順がありません。次に▽7七金や▽7七飛成を狙い、後手が十分の局面です。

 

また図2から▲同玉の場合、▽7六金▲同銀▽8九飛成と進みます。(参考図2)

 【参考図2:▽8九飛成 まで】

後手は駒損ながら飛車を成り込むことに成功しました。自玉がしっかりいるため、後手が十分に戦える局面です。

 


2.実戦でリスクを取ることの大切さ

実戦では、相手の方は図1で▲5八銀と打たず、▲4四歩▽同金▲7一角(図3)と進みました。

【図3:▲7一角 まで】

実戦では図3以下▽4二飛でしたが、ここでは▽4七角成が勝りました。図3以下▽4七角成▲8二角成▽3七馬▲2四飛▽同歩▲4一銀▽3一金と進めるのが良かったようです。(参考図3)

【参考図3:▽3一金 まで】

この手順の進行はシミュレーションできていましたが、実戦では終盤に手番を握られるリスクに対する恐怖があり、読みでは大丈夫だと思っていても選べなかった順でした。

実際に参考図3の局面まで進んだとすると、後手玉に対して厳しく迫る手が難しいため、選びたかった手順でした。

正確に読めていても、感覚的な理由から選ぶことができない手順もあります。ですが、そのような手順を選ばないと致命傷になってしまうことも。。。実戦でリスクを取る経験をしていく必要があるなと感じた一局でした。

【自戦記】01-相掛かり

当記事では自分が指した将棋を振り返って、

  1. 相手の方で参考になった一手、手順、構想
  2. 自分が上手くさせたと思う一手、手順、構想
  3. 対局後に検討して発見した一手、手順、構想

などを整理しています。

今回は将棋倶楽部24の対局から紹介です。(持ち時間1分、秒読み30秒)

▲先手:相手の方(五段)

▽後手:私

戦型:相掛かり棒銀


【この記事の目次】


 

1.対局中に変動する駒の価値を見極めていきたい

【図1:▲8三角 まで】

いま相手の方が▲8三角と打ったところです。

実戦ではここから▽7七桂成▲同桂としましたが、先手玉が上部に脱出するルートを防いでいた桂を自分から精算してしまうのは、いまひとつの寄せでした。

ここでは▲7七桂成に代えて、▽7八歩▲同飛▽6九銀▲2八飛▽7八歩(参考図1)と進めるのが良かったと思います。

【参考図1:▽7八歩 まで】

▽8五の桂が上部への逃げ道を防いでいるため、上記手順のようにシンプルに横から攻める手が厳しい攻めになっていました。

一般的な駒の価値は 銀>桂 ですが、対局中に駒の価値は変動するということを忘れないでおきたいものです。

 


2.玉は下段に落とせの実践

【図2:▲8六歩 まで】

図2は先手が▲8六歩としたところで、ここから先手玉を寄せきります。図2から▽4三角▲6四龍▽6七馬(図3)が寄せの決め手順でした。

【図3:▽6七馬 まで】

▽4三角が龍取りにしながら先手玉の玉頭に狙いをつける一手です。対局の終盤に、玉と盤上の急所の駒に狙いをつける一手は、一手以上の価値を有むことになりやすいため、常に狙っていきたいところです。

図3の局面で▲同桂と取るのは▽8七金と打ちます。”玉は下段に落とせ”の実践で、そうなると以下は一手一手の寄りです。

実戦はここで相手の方の投了となりました。 

 

【次の一手|プロの実戦】問題57-横歩取りの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三浦弘行九段 △稲葉 陽八段 第89期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント より

【問題図:▽3五金 まで】

いま後手が▽3五金としたところです。先手は4五の馬取りをどう処置するのが良いでしょうか。三手先まで読んでみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解手順は▲3七桂▽2四龍▲1一歩成です

【正解図:▽1一歩成 まで】

初手の▲3七桂が好手で、龍に当てながら馬に紐をつけた一手です。龍を逃げる手に対しては馬を逃げず▲1一歩成としておきます。正解図以下は▽4五金と馬を取られますが、▲同桂と進み、手順に桂を攻めに参加させることができます。

正解図以下の手順:▽4五金▲同桂(図1)

【図1:▲同桂 まで】

図1の局面まで進み、2枚の桂で後手玉を攻める体制を作り上げることに成功しました。馬取りを受けず見事な攻めの展開手順だったと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

 

【次の一手|プロの実戦】問題56-相掛かりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三枚堂達也六段 △佐々木勇気六段 第68期王将戦一次予選 より

【問題図:▲6五成銀 まで】

いま先手が7五にいた成銀を▲6五成銀と寄った局面です。ここで後手に三手一組の好手順がありました。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解手順は▽9六歩▲同香▽8四桂です

【正解図:▽8四桂 まで】

7五にいた成銀が▲6五成銀と寄ったことで、7六の地点が薄くなりました。そこで正解手順のように9六と7六の両方を狙う▽8四桂を実現するのが好手順です。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

【大局観】02-飛車を取らせても堅さを生かした攻め合いに

プロ棋士の実践棋譜から参考になった "大局観" について紹介します。

今回は、以下の棋戦から紹介します。

第11期マイナビ女子オープン五番勝負 第2局、加藤桃子-西山朋佳戦

 

【図1:▲7七角 まで】

図1は先手が▲7七角と引いたところです。次に▲4五桂を狙っており、角の効きを生かして後手の飛車を攻めようという狙いです。ここでは先手が角を手放しているので、穏やかに▽2一飛と引いて持ち角を主張するという戦いも考えられるところですが、、、

実戦は図1から▽6五銀と出ます(図2)

【図2:▽6五銀 まで】

▲4五桂を受けずに、果敢に銀を出てきました。対して先手は当然▲4五桂と跳ねますが、あっさりこれを▽同桂と取ってしまいます。

図2からの進行は▲4五桂▽同桂▲2二角成▽3七桂成と進みます。(図3)

【図3:▽3七桂成 まで】

飛車をあっさりと見捨てて図3の局面です。駒割は先手から見て飛車と桂の交換であり、後手にとっては大きな駒損です。しかし、先手陣と後手陣の守備陣の差から、飛車を渡しても攻め合いに持ち込めれば十分に戦えるという大局観です。

図3からは▲2六飛▽4七成桂▲同金▽7六銀▲6六馬▽6五銀打▲1一馬▽5四金▲7九桂▽5五桂と進みます(図4)

【図4:▽5五桂 まで】

盤上の駒をどんどん前に押し出していきます。図4の局面を見ると、後手の右半分は歩以外のすべての駒が捌けています。

最終手▽5五桂が厳しい一手で、図4の局面は後手が十分戦える局面だと思います。飛車を取らせても攻め合いに持ち込んで十分という、西山さんの優れた大局観が大変参考になりました。

 

もしよければ、過去に紹介した大局観の紹介記事も読んでみてください。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

【次の一手|プロの実戦】問題55-中飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲都成竜馬四段 △田中寅彦九段 第31期竜王戦6組ランキング戦 より

【問題図:▽6五角 まで】

いま後手が▽6五角と打った局面です。ここで先手に三手一組の好手順がありました。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解手順は▲5五飛▽同金▲4四角です

【正解図:▲4四角 まで】

最終手▲4四角は、次に▲5五角と取った手が詰めろになるという仕組みです。後手に飛車を渡しても、先手陣がすぐに寄らないところがポイントです。(正解図から▽3八飛と打たれても▲1七玉で次に厳しい攻めがありません)

実戦は正解図以下、▽4五金▲1一角成▽2二銀▲1二馬(図1)と進みました。

【図1:▲1二馬 まで】

先手に対してすぐに迫る手の無い後手は一旦受けにまわります。最終手▲1二馬が冷静な1手で、飛車1枚なのでは先手に対して厳しい攻めがありません。図1の局面からは、先手は▲7一飛から▲5二銀のようなシンプルな攻めがあるのに対し、後手からは厳しい攻めがなく先手が優勢な局面です。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!