大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題121-矢倉の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲斎藤慎太郎七段 △郷田真隆九段 第44期棋王戦挑戦者決定トーナメント より

                          

【問題図:▲3五桂 まで】

いま先手が▲3五桂と打ったところです。次に▲5二角成からの攻めを見せられているため、後手はこれを受けなければいけません。どのように受けますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▽2三桂です

【正解図:▽2三桂 まで】

▽2三桂が受けの手筋です。▲同桂成なら▽同玉と取り、再度の▲3五桂には▽3四玉と上部に逃れることができます。

実戦は正解図以下、▲5二角成▽同金▲4三桂成▽7六歩と進みました。(図1)

【図1:▽7六歩 まで】

先手はやむなく角を切って攻めていきましたが、図1の局面は後手玉がなかなか詰む形が見えてきません。▽2三桂の受けで▲4三桂成と成らされたことで上部から攻めていけない形となり、後手玉の耐久力が一気に上がりました。

一方で▽7六歩と取り込まれた先手玉は、上部から攻められるためわかりやすい寄り形が見えています。▽2三桂という受けの手筋で、先手玉と後手玉の耐久力に差がつく展開となりました。

 

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もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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【次の一手|プロの実戦】問題120-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲松尾 歩八段 △三浦弘行九段 第31期竜王戦決勝トーナメント より

                          

【問題図:▲6五同歩 まで】

いま先手が▲6五同歩と香車を取ったところです。先手玉を寄せたいところですが、後手はここでどのように指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▽6六歩です

【正解図:▽6六歩 まで】

▽6六歩と垂らす手が正解で、次に▽6七歩成を狙った手です。代えて▽4七角成も有力ですが、▲1二香▽同香▲同香成▽同香▲1四香と反撃される展開になります。この変化でも後手が優勢ですが、決めれるところは決めにいきたいところです。

実戦は正解図以下▲4八金と引いて▽4七角成を受けましたが、以下▽6七歩成▲7九金▽7八飛▲同金▽同角成▲9七玉▽8八金と進みます。(図1)

【図1:▽8八金 まで】

次の▽8七金の狙いが解っていても受かりません。実戦もここで投了しました。

 

正解手の▽6六歩は2つのセオリーに基づいた手筋です。

1点目は相手の歩の裏に歩を垂らすことです。先手の▲6五歩の裏側である▽6六歩と垂らすことで、先手は▲6八歩と受けることができません。

2点目は"金は斜めに誘え"という格言です。上ずった金は守りの面ではほとんど役に立たなくなるため、単に駒を取るよりも遥かに高い価値があります。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題119-中飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲増田康宏五段 △阿久津主税八段 第26期 銀河戦 本戦Fブロック 10回戦 より

                        

【問題図:▽6三同桂 まで】

いま先手の▲6三香成に対し、後手が▽6三同桂と取ったところです。先手陣は鉄壁なので寄せを考えていきたいところですが、どう寄せますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        

正解は▲7三桂です

【正解図:▲7三桂 まで】

▲7三桂が手筋の寄せです。▽同金は▲8二銀▽同玉▲7一角以下詰むため、後手はこれを取ることはできません。実戦は正解図以下▽7一香の受けに対して▲6二角と打ちました。これが決め手です。 (図1)

【図1:▲6二角 まで】

図1以下▽同金と取るのは▲7一龍が必死です。

 

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社団戦に参加してきました

先週の日曜日7月1日に社団戦が開幕しました。これから約4か月に渡り、社会人の将棋好きによる熱い熱い団体戦が行われます。去年は仕事の都合でほとんど参加できませんでしたが、今年は初日から参加することが出来てホッとしています。

僕はどちらかというと、同じチームの人達の将棋を観戦して楽しむことを目的で顔を出しています。ただ今回は人が少なかったこともあり、3局出させてもらいました。普段長い持ち時間で指す機会もあまりないので、対局の内容を自戦記に整理してみました。


1局目:居飛車 対 角交換四間飛車 

1局目は僕が先手で、相手の方は角交換四間飛車を採用しました。序盤のこちらの駒組みの欠陥を咎められ、逆棒銀から先行されあっさりと劣勢になってしまいます。

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図1は中盤戦ですが、ここでは少し形勢を盛り返しています。いま▽1九成銀と香車を取ったところで、次に▽4五銀~▽5六香の攻めを狙っています。実戦はここで▲8九玉と早逃げしましたが、これが好手だったようで、以下後手の攻めを遅らせることに成功しました。

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早逃げすることで後手の飛車の効きから玉をズラしたのがポイントです。飛車の効きからズレておくことで、▽4五銀には▲4四馬▽5六香▲4五馬と対応することができます。この順であれば後手の攻めを受けきれそうな雰囲気です。

 

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図2から30手ほど進んで図3です。ここから▲6五歩▽5三角▲6四歩▽同角▲6二歩▽同金▲7一金と攻めていきました。

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角を追いながら6筋に歩が効くようにすることで、攻め駒を増やすことに成功しました。最終手▲7一金はザ・俗手といった攻めですが、確実な攻めで良かったようです。図4は次に▲8一金▽同銀▲8三香成というシンプルな狙いです。

 

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十数手進んで図5。自玉は堅いので攻めさえ繋がれば勝利が見えてきます。ここから▲7一角成▽同玉▲6四桂としました。

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図6以下は▽同歩▲6三金として下段玉を押さえにかかり、なんとか寄せきりました。序盤はさておき、中盤以降はまずまず指すことができたと思います。

 


2局目:先手ゴキゲン中飛車 対 居飛車

2局目は僕が後手で、相手の方は先手番のゴキゲン中飛車を採用しました。またしてもこちらの駒組みに欠陥があり、その欠陥を簡単に咎められてしまいます。

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図7の何気なく指した最終手▽4二金右が危険で、▲6四角が激痛です。以下▽7三角▲同角成▽同桂▲7五歩▽6三銀▲7四歩▽同銀▲4五歩▽同桂▲同桂▽同銀▲6四角と進んで図8。

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図8の最終手▲6四角に代えて▲5五飛と走ってくれれば▽6四角が準王手飛車でしたが、当然ながら▲6四角と先着されます。大劣勢となってしまいました。

 

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図8から一気に40手ほど進めて図9です。自陣角や自陣飛車を打ってひたすら粘っています。先手は次に▲4一銀成を狙っており、▲4一銀成を許すと受けが完全に無くなってしまいます。ここで単に▽3二角と受けるのでは勝ち目が薄いと思いました。受け一方の手ですし、守りの面においても薄い受け方に見えます。

実戦は図9から▽5五角と角を出ました。以下▲4六銀打に▽同角▲同銀と角を切り、入手した銀を▽3二銀と埋めます。

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こちらのほうが角を埋めるよりも自陣がしっかりします。また先手の玉型を乱すことで、少しでも相手玉を見える形にできたのは大きなところだと思います。

 

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少し進んで図11です。相変わらず先手の猛攻を受けているところですが、いよいよ受けが難しくなってきました。実戦はここで▽6四角と打ちました。先手の▲3一馬の防ぎながら、4六の銀を狙った手です。この手を境に、局面が混沌とした印象がありました。

以下もずっと苦しい形勢が続きましたが、最後は相手の方に錯覚があったようで勝ちを拾うことができました。序盤はかなり慎重に指しているつもりなのに、簡単に悪くしてしまうのはなぜなのか。。。

 


3局目:居飛車 対 ゴキゲン中飛車

3局目は僕の先手で、相手の方はゴキゲン中飛車を採用しました。こちらは丸山ワクチンを採用し、1~2局目とは違って穏やかな序中盤になります。丸山ワクチンに対する相手の方の構想が参考になったので、少し紹介させていただきます。

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図12は丸山ワクチンの出だしでよくある序盤戦ですが、最終手▽5五角が相手の方の作戦です。確実に一歩得できるのでしばしば見かける一手ですが、参考になったのはこの後の構想です。図12から30手ほど駒組みが続いて図13を迎えます。

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一歩得したからといって自分からガンガン攻めてくるのではなく、図13のようにバランス良く構えます。打った角は▽4二角と引いて先手の飛車先をケアする役割を担当させておき、負担の軽くなった▽3三銀を▽4四銀と進出させて中央の守備を担当させます。このように守備駒の負担をうまく分担させることで、先手からの仕掛けを難しくして千日手を狙う構想だったようです。

千日手を狙う構想は、対丸山ワクチンにおける1つのセオリーです。ただこの作戦の魅力は、角の効きを生かしていつでも端攻めを狙うことができる点です。持ち歩が一枚だけではすぐには成功しないでしょうが、持ち歩が二枚になるといつでも▽9五歩▲同歩▽9七歩から端攻めがありそうです。下段飛車も端攻めの応援に回せるので、居飛車からするとかなりのプレッシャーですね。

つまり先手は歩を渡しにくく、局面の打開に制約がかかっていると言えそうです。角交換の将棋においては、角を手持ちにしておくことで相手の駒組みに制約をかけるというのが一般的な考え方だと思います。ただこの将棋にように、あえて角を手放すことで、より大きな制約をかけるという指し方もあるようです。とても参考になりますね。

実戦も先手にとって、指し方が難しい序中盤となりました。

 

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図14は終盤の入り口です。後手から次の▽5六歩が厳しく、先手が少し苦しい局面です。実戦は形勢の紛れを求めて▲7五歩と突いていきました。以下▽同歩▲6六桂と進みます。

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図15のじっと▲6六桂と打った手が好手だったようです。後手が攻めるとしたら▽5六歩と取るしかありませんが、その瞬間に角筋が開くので▲7四歩が厳しい手になります。実戦もそう進み、先手が攻め合い勝ちを目指せそうな流れになりました。

ただ厳密には図14の形勢は苦しかったようで、▲7五歩には▽同歩と取らずに▽5六歩とされていたら依然後手が優勢だったようです。

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変化1以下▲7四歩▽同銀▲6六桂には▽7五金と打つ手が手厚い受けです。

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変化2以下▲7四桂▽同金となった局面は後手陣の上部が非常に手厚い構えをしています。後手玉を上部から攻略するのは難しく、また後手は▽6七銀成から確実な攻めがあるため、変化2は後手が優勢な局面だと思います。

 

実戦はチャンスを掴み、終盤を1手勝ち模様で迎えます。

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図16以下、▲8五桂打▽同歩▲同桂▽8四銀打▲7四歩▽同銀と、順調に攻めていきます。

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勝ちまであと少しでしたが、ここで間違えてしまいました。図17以下、▲同桂▽同金▲8四角成と進めて図18です。

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実戦ではここで▽同金と取られた時の即詰みばかりを一生懸命に読んでいました。即詰みを読み切ってドヤ顔で▲8四角成としましたが、次の一手でフリーズします。

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▽5五角が攻防手で、王手をしながら7三に効きを足しています。こうすることで、▽8四金とした時の後手玉の即詰みを消しています。

少し前の図16の局面では玉の斜めのラインに2枚の桂が居たこともあり、角で王手される筋が全く見えていませんでした。改善案として、図17から▲7三桂成▽同銀▲5一角成と飛車を取っておけば勝ちだったようです。

図19以下は相手の方に滞りなく指し回されて綺麗に1手負けでした。ただ負けはしたものの、序盤、中盤、終盤に渡って面白い内容だったので、指していてとても楽しかったです。

 

以上3局で、2勝1敗というスタートでした。自分の実力や対戦相手の方々の実績を考えれば、十分すぎる結果だったと思っています。勝ち負け云々関係なく3局とも面白い将棋だったので、指していてとても楽しかったです。毎年社団戦に出ることができた時は、将棋に打ち込める機会があるだけで幸せだなと感じます。

次回の社団戦は7月29日(日)です。無料で自由に出入りが可能なので、もしよければ足を運んでみてはいかがでしょうか!

東京アマチュア将棋連盟

http://toushouren.world.coocan.jp/shadan/29/29_shadan02.pdf

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

【次の一手|プロの実戦】問題118-矢倉の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲斎藤慎太郎七段 △野月浩貴八段 第77期順位戦 B級1組 2回戦 より

                              

【問題図:▽5五歩 まで】

いま後手が▽5五歩と銀取りに打った局面です。先手はここでどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲6五銀打です

【正解図:▲6五銀打 まで】

問題図から▲6五銀と単にかわす手は▽同銀▲同飛▽5四銀で、また▲5五同銀と取る手は▽6五桂と対応されると、いずれも先手の攻めが押さえられてしまいます。ゆっくりしていると後手の3七にいると金が働いてきますから、先手としては激しい戦いに持ち込んでいきたいところでした。

正解は▲6五銀打として強引に6筋を突破していく手です。正解図以下▽5六歩と駒得しにいくのは▲5四銀▽同金▲6三飛成▽4三銀▲6一龍▽5一銀▲6三銀が進行の一例です。(参考図1)

【参考図1:▲6一龍 まで】

途中▲6一龍と入る手が単純ながら厳しい一手です。後手は5筋に歩が効かないため▽5一銀と合い駒をしなければいけません。最終手▲6三銀と打った局面は先手が駒損ながら、後手陣に攻めこんでおり有望な局面だと思います。

そのため、実戦は正解図以下▽同銀▲同銀▽1五角と対応しました。(図1)

【図1:▽1五角 まで】

先手に▲6五同銀と取らせることで、飛車先を重くして攻めを遅らせる狙いです。図1の最終手▽1五角は、と金を受けながら▽4八とと入る手を狙っています。

しかしここでも好手があり、図1以下▲5四銀と出ます。(図2)

【図2:▲5四銀 まで】

ここでも銀を犠牲にして飛車を捌いていきます。図2以下▽同金▲6三飛成となった局面は、駒損ながら十分戦える局面です。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題117-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲畠山 鎮七段 △谷川浩司九段 第77期順位戦 B級1組 2回戦 より

                            

【問題図:▲6八玉 まで】

後手の▽8八歩成に対し、いま先手が▲6八玉と逃げたところです。後手は先手玉をどのように寄せますか。五手一組の手順です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▽3八銀▲同金▽4六桂▲4八金▽4七銀です

【正解図:▽4七銀 まで】

問題図で後手玉は詰めろにはなっていないので、先手玉に必死をかけることができれば勝ちが近づきます。

問題図からの初手▽3八銀は、次に▽7八金以下の詰めろです。▲同金と取るよりありませんが、▽4六桂~▽4七銀と正解手順のように進めます。正解図▽4七銀と打った局面は受けが効かない形です。

正解図以下、実戦は▲6五桂と逃げ道を広げようとしますが、冷静に▽4八銀成と取った局面は先手玉に必死がかかっています。(図1)

【図1:▽4八銀成 まで】

 

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【次の一手|プロの実戦】問題116-角換わりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲西尾 明六段 △宮田敦史七段 第68期王将戦一次予選 より

                                    

【問題図:▽6六角 まで】

いま後手が▽6六角と打ち、王手をかけてきたところです。先手はこの王手をどう受けますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                    

正解は▲8七玉です

【正解図:▲8七玉 まで】

正解は▲8七玉とかわす手です。以下▽9九角成と香を取られる手が気になるところですが、それには▲7七桂と跳ねておきます。(図1)

 【図1:▲7七桂 まで】

▲7七桂と跳ねた手が▲2九飛の効きを生かしており、部分的には馬を捕らえている格好です。

図1以下は▽8一香▲8五歩▽同飛▲同桂▽8六歩▲同玉▽9八馬と、飛車を捨てて馬を助ける順に進めました。(図2)

【図2:▽9八馬 まで】

先手は馬は取れなかったものの飛車を入手したので、攻めの手番が回れば反撃の楽しみがあります。

図2以下は▲7七玉▽8五桂▲同銀▽同香▲2四桂と、早逃げから手数を稼いで厳しく反撃します。(図3)

【図3:▲2四桂 まで】

図2からの初手▲7七玉の早逃げが好手です。図3の最終手▲2四桂と打った局面は、先手の▲5一にいる角の効きが存分にいかされている格好です。図3以下は▽同歩▲同歩▽3一桂▲5二飛と入手した飛車を効果的に使い、先手が攻め切りました。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題115-向かい飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲牧野光則五段 △星野良生四段 第90期ヒューリック杯棋聖戦一次予選 より

                            

【問題図:▲2二歩 まで】

いま先手が▲2二歩と垂らし、次の▲2一歩成を見せてきたところです。ここで後手から先手陣を攻略する好手順がありました。五手一組です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▽5六歩▲同歩▽7七角成▽同角▽3四桂です

【正解図:▽3四桂 まで】

正解図の最終手▽3四桂が、飛車取りと▽4六桂の両狙いの厳しい一手です。▲1六飛と逃げる手は▽1四歩と突き、次の▽1五歩から飛車を取る手を見て後手十分です。

実戦は正解図以下▲2八飛▽4六桂▲4七玉▽4九飛と進みます。(図1)

【図1:▽4九飛 まで】

▽3八桂成の前に1度▽4九飛と、敵陣に飛車を打ちこみます。図1以下▲4八歩▽3八桂成▲同玉▽6九飛成▲7九金▽5八龍▲4七角▽5七歩と進んだ局面は、後手の強襲を振りほどくことが難しく、後手が十分戦える局面だと思います。(図2)

【図2:▽5七歩 まで】

 

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【次の一手|プロの実戦】問題114-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲石田直裕五段 △近藤誠也五段・ 第4期叡王戦段位別予選五段戦 より

                                        

【問題図:▽4五金 まで】

いま後手が▽4五金と上がったところです。ここで先手には狙いの手順がありました。三手一組です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

正解は▲7二銀成▽同飛▲6一角です

【正解図:▲6一角 まで】

 ▲7二銀成▽同飛▲6一角が狙いの手順で、7二の飛車と3四の銀の両取りを狙った手順です。

正解図以下▽8二飛と逃げるのは、▲3四角成と銀を取る手が、次の▲3三歩と▲4五馬の2つの狙いを見て猛烈に厳しい一手となります。(参考図1)

【参考図1:▲3四角成 まで】

実戦で後手は正解図以下、▽8六歩と両取り逃げるべからずの格言通りに攻め合いを目指してきました。(図1)

【図1:▽8六歩 まで】

図1以下は▲同銀▽5五角▲7七銀▽3八銀▲同銀▽同歩成▲同金▽4六桂▲3九金と、一転して後手からの攻めの面倒を見ます。(図2)

【図2:▲3九金 まで】

暴れてくる相手の攻めに対して、丁寧に面倒を見ていきます。

図2以下、▽3八銀▲2四飛▽3三金に、そこで▲7二角成が飛車を取るベストなタイミングです。(図3)

【図3:▲7二角成 まで】

両取りをかけた時は、どちらか一方を相手が受けたらもう一方を取る、というのがタイミングですが、図3の最終手▲7二角成はまさにそのタイミングです。

後手の▽3三金が取られそうな片側の駒である3四の銀を守った手なので、▲7二角成ともう一方の駒を取ります。また▽3三の金を上がった手は、先手からみて2四の飛車と3九の金が2枚取られそうな形をしており、言ってしまえば両取りです。なので、両方逃げずに攻めの手を考えるというのは自然な発想です。

図3以下は▽2四金に▲4五馬と取った手が詰めろで先手が優勢です。(図4)

【図4:▲4五馬 まで】

▽同銀と取る手は詰めろではないため 、▲6二飛から詰めろをかけていけば良い局面です。実戦は図4以下▽3九銀不成と詰めろをかけますが、▲6一飛以下即詰みに打ち取っています。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題113-角換わりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三浦弘行九段 △屋敷伸之九段 第4期叡王戦段位別予選九段戦 より

                          

【問題図:▲6三金 まで】

いま先手が6二の金を▲6三金と引いて活用したところです。ここで後手はどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▽4一桂です

【正解図:▽4一桂 まで】

問題図の局面は後手が若干の駒損ながら、先手の攻め駒が少なく具体的な攻めも難しい状況です。戦いを長引かせれば後手の豊富な持ち駒が生きる展開となり、形勢が傾いていきそうな局面です。ここではその長引かせる狙いを実践する▽4一桂が正解手です。

問題図から次に▲5三角成を許してしまうと、一気に先手の攻めの選択肢が広がり、後手が指しにくくなってしまいます。一方で▲5三角成を防いでしまえば、先手からさほど脅威な攻めはありません。桂を受けに使っても後手には角銀桂という豊富な持ち駒があり、楽しみのある局面が続きます。具体的には▽3六桂などが狙いとなります。

 

攻めに困った先手は正解図以下、▲3四歩▽同金▲5三金と、金を捨てて強引に駒の活用を図りますが、ここも金を取らずに▽6五角が好手です。(図1)

【図1:▽6五角 まで】

図1の▽6五角に代えて▽同桂とするのは、やはり▲同角成で先手良しです。▽6五角は先手の▲4三金を防ぎながら、次に▽3六桂や▽3六銀を狙いにした攻防手です。

このように、攻めの有効手が限られている側は、有効手を消されていくと苦しくなっていきます。中盤で優勢になってからの参考になる指し回しだったのではないかと思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題112-相振り飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲竹内雄悟四段 △桐山清澄九段 第77期順位戦 C級2組 1回戦 より

                                

【問題図:▽6七金 まで】

いま後手が▽6七金と打ってきたところです。一手を争う終盤戦で手筋の一着がありました。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                

正解は▲5九飛です

【正解図:▲5九飛 まで】

飛車をタダ捨てして5七に利かす▲5九飛が正解です。働きの弱い飛車を捨てて一手を稼ぐ終盤の手筋です。終盤は駒の損得より速度の格言通りの一着で、飛車を取らせる代償に一手を稼ぎます。

問題図の局面は先手玉にまだ詰めろはかかっていません。ですが、問題図からすぐに▲6四歩と攻めると、以下▽4七桂成▲3五玉▽5七馬▲4四玉▽6四金と対応されます。(参考図1)

【参考図1:▽6四金 まで】

参考図1までの手順は、先手玉を4段目まで誘い込むことで2四の龍の横効きを止めるのが狙いです。こうすることで▽6四金と取られてしまいます。参考図1は後手玉に対して迫る手が全くなく、後手が勝勢となってしまいます。

そのため、正解図の▲5九飛で一手を稼ぐ必要がありました。正解図以下は▽同馬▲6四歩と進めます。(図1)

【図1:▲6四歩 まで】

今度は後手が▲6四歩を防ぐ手段がありません。▲5九飛が格言を実践した見事な終盤の手筋だったと思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題111-横歩取りの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三浦弘行九段 △八代 弥六段 第26期 銀河戦 本戦Dブロック 10回戦 より

                              

【問題図:▽8四飛 まで】

いま後手が▽8四飛とまわったところです。これから本格的な戦いがはじまる前に、やっておきたい手順があります。三手一組の手順です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲7四歩▽同飛▲7七歩です

【正解図:▲7七歩 まで】

問題図では後手が金銀四枚の堅陣であるのに対し、先手は金銀二枚で薄い囲いです。また後手の桂にも自玉の急所に跳ねられている状況でした。問題図から部分的には▲2五桂という攻めが成立しそうですが、双方の玉型差から攻めの反動がきつそうです。

ここは▲7四歩▽同飛▲7七歩と自陣の傷を無くすのが好手順です。▲7四歩が▽8四飛とまわった手を利用した手で、飛車取りになる仕組みです。このように戦いの前に自陣を整備しておくのは重要なポイントです。

 

正解図以下、後手が何もしなければ▲2五桂から攻めていく狙いがあるので、後手は▽7六歩▲同歩▽7七歩▲同桂▽同桂成▲同銀▽6五桂と、先行してきました。(図1)

【図1:▽6五桂 まで】

図1以下、先手は▲3四歩▽同飛▲4六桂▽3六飛▲3四歩と反撃に出ます。(図2)

【図2:▲3四歩 まで】

後手の攻めで交換になった桂を利用して反撃し、元々狙っていた攻めよりも厳しい攻めが成立しました。図2の局面は先手の攻めが急所に刺さっているのに対し、後手から先手に厳しい攻めの継続手が無いため、はっきり先手が優勢です。

自陣の傷を消して次に本格的に攻めを見せることで、逆に相手から先に攻めさせ、駒を入手して反撃を決めました。まるで武道を見ているかのよう攻防が印象に残った手順でした。

 

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