大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題110-矢倉の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲近藤誠也五段 △近藤正和六段 第77期順位戦C級1組1回戦  より

                          

【問題図:▽4三銀 まで】

先手の▲3五香に、いま後手が▽4三銀と引いたところです。単に金を取る手も魅力的ですが、後手玉にさらに厳しく迫る手順がありました。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▲1一銀です

【正解図:▲1一銀 まで】

正解は▲1一銀と、銀を捨てて玉を端に呼ぶ手です。

正解図以下、▽同玉に▲3二香成▽同銀▲3一角が狙いの手順です。

【図1:▲3一角 まで】

図1の最終手▲3一角が猛烈に厳しい一手です。次に▲2二金の一手詰めと6四の飛車取りという、詰めろ飛車取りがかかりました。

後手は▽2二銀と打って受けるしかありませんが、以下▲6四角成と飛車を取った局面は、先手が不敗の態勢です。

【図2:▲6四角成 まで】

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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【次の一手|プロの実戦】問題109-矢倉の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲阿部健治郎七段 △真田圭一八段 第77期順位戦C級1組1回戦 より

                              

【問題図:▲6六歩 まで】

後手の▽8八角に対し、いま先手が▲6六歩と受けたところです。ここで後手に狙いの一手がありました。後手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▽7五桂です

【正解図:▽7五桂 まで】

▽7五桂が狙いの一手でした。正解図以下▲5七玉と逃げるのは▽4六銀以下、長手数の詰みがあります。一例の詰手順は、▽4六銀▲4八玉(▲6八玉は▽5七角からバラして並べ詰み)▽3七銀成▲同玉▽4六角▲2七玉▽3五桂▲3八玉▽3七銀▲4九玉▽3八金▲5九玉▽6七桂という手順です。(参考図1)

【参考図1:▽6七桂 まで】

参考図1以下、▲同金は▽4八銀成▲6九玉▽7九角右成までの詰みですし、▲6九玉と逃げるのも▽7九角右成までの詰みです。

 

正解図以下、実戦は▲同歩と取りましたが、▽9四角と王手龍取りをかけるのが狙いの一手です。(図1)

【図1:▽9四角 まで】

図1以下▲7八玉と角取りに当てながら逃げました。これは▽6一角なら▲8八玉と角を取ってもう1勝負するという狙いです。しかしここで▽5八角成と金を取るのが決め手です。(図2)

【図2:▽5八角成 まで】

図2の局面は▽8七銀▲同玉▽7六銀以下の詰めろですが、先手はこれを受ける適切な受けがありません。後手玉は詰まないため、図2は後手が勝勢の局面です。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題108-雁木の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲青野照市九段 △門倉啓太五段 第77期順位戦C級1組1回戦 より

                              

【問題図:▽1三金 まで】

先手の▲2四歩に対し、いま後手が▽1三金と逃げたところです。攻めを繋げたい先手はここからどう指しますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲1五歩です

【正解図:▲1五歩 まで】

先手は自玉が穴熊の堅陣に囲えているため、攻めさえ繋がれば勝ちが近づきます。問題図では5五の角取りになっていますが、構わずに▲1五歩と攻める手が正解です。

正解図以下、▽2五歩▲同飛▽5五銀▲1四歩と攻めます。(図1)

【図1:▲1四歩 まで】

角だけでなく、飛車も逃げず▲1四歩と攻めていきます。これぞ穴熊の暴力という手順です。

実戦は図1以下、▽6六銀▲1三歩成▽3二玉▲4四金▽2五桂▲2三歩成▽4一玉▲6六銀と進みました。(図2)

【図2:▲6六銀 まで】

先手は飛車と角を両方とも差し出しましたが、最終手▲6六銀と取った局面は次に▲3二銀以下の詰めろがかかっています。以下▽6二角と退路を開きますが、▲5三歩以下、先手の攻めが繋がる展開となりました。

穴熊という堅陣を生かした、見事な攻めの手順だったと思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題107-相掛かりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲宮田敦史七段 △青嶋未来五段 第77期順位戦C級1組1回戦 より

                      

【問題図:▲6五角 まで】

いま先手が▲6五角と打ち、金と香の両取りをかけたところです。先手の技が決まったように見えますが、後手はここからうまい手順で切り返します。五手一組の好手順です。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      

正解は▽5四飛▲9二角成▽8三歩▲6八玉▽9四飛です

【正解図:▽9四飛 まで】

▲6五角に対し、当然ながら後手は金を受けなければいけません。後手は▽5四飛と飛車を角筋に入れて受けます。先手は▲9二角成と香を取りますが、そこで▽8三歩と馬筋を遮断します。正解手順の最終手▽9四飛とまわった局面は、先手の馬が詰まされている形です。

正解図以下は、▲8二馬▽7一金▲同馬▽同玉と進みます。(図1)

【図1:▽7一同玉 まで】

図1の局面は後手が駒損ながら、先手には歩切れである点や、▲3六の銀の活用が見込めていないという不安材料があります。

一方で後手は遊び駒がなくバランスの良い布陣であるため、図1の局面は後手も十分に戦える局面だと思います。あえて両取りをかけさせて馬を召し取るという、印象に残った手順でした。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題106-四間飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲大橋貴洸四段 △古森悠太四段 第31期竜王戦6組ランキング戦 より

                                          

【問題図:▽3一金 まで】

先手の▲3三歩に対し、いま後手が▽3一金と引いたところです。先手陣は鉄壁なので、攻めさえ繋がれば良い局面です。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                          

正解は▲6五桂打です

【正解図:▲6五桂打 まで】

次に後手に▽5三玉と逃げられてしまうと、一気に寄せるのが困難になります。正解はその▽5三玉を防ぐ▲6五桂打と打つ一手です。先手陣は鉄壁であるため、駒を捨てる手も躊躇なく指すことができる局面です。

正解図以下は▽同歩▲同桂と進みます。(図1)

【図1:▲6五同桂 まで】

図1の局面は次に▲6三銀▽6一玉▲7三桂不成までの詰めろで、わかっていても防ぐのが難しい攻めです。実戦でもここで受けがないと判断し、後手が投了しています。

例えば図1で▽6三歩と受けるのは、以下▲7三と▽5二玉▲5三銀▽4一玉▲6三角成が一例の攻めです。(参考図1)

【参考図1:▲6三角成 まで】

参考図1以下は▽5二桂と受けるくらいですが、▲同銀成▽同飛▲5三歩と攻めてもいいですし、▲4五馬と銀を取る手も▲2三馬からの詰めろとなっていて厳しい手です。よって、正解図から▽7三歩では受けになっていないことがわかります。

 

また、正解図からは▽5五飛というひねった受けもあります。飛車を移動させることで逃げ道を開く手ですが、これには▲5四歩が好手です。(参考図2)

【参考図2:▲5四歩 まで】

参考図2で▽5二歩と受けるのは、▲同角成▽同玉▲5三桂成以下の詰みがあります。

よって参考図2では▽同飛と取るよりありませんが、▲6三銀▽5一玉▲5四銀不成と飛車を取っておき先手が勝勢です。(参考図3)

【参考図3:▲5四銀 まで】

 

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【次の一手|プロの実戦】問題105-中飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲木村一基九段 △菅井竜也王位 第77期順位戦 B級1組 1回戦 より

                              

【問題図:▽3一飛 まで】

先手の▲3四金と打った手に対し、いま後手が▽3一飛と飛車を引きました。ここで先手に優位を築く手順があります。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲4四金です

【正解図:▲4四金 まで】

問題図の局面は互いの飛車の間に先手の金が挟まっており、先手が動きづらい状況でした。ですが、その飛車をあっさり見捨てて角を取る▲4四金が正解になります。

正解図以下は▽3六飛▲5四金▽同銀に▲1八角が狙いの手順です。(図1)

【図1:1八角 まで】

図1の最終手▲1八角が狙いの一手で、▽3九飛成には▲5四角と銀を取ることができます。銀を取った角が攻めによく効いていますし、銀を取ったことで先手の遊んでいた8八の角が5五に出れるようになります。(参考図1)

【参考図1:▲5四角 まで】

そのため実戦は図1以下▽3九飛成とはせずに、▽3九飛打と飛車を繋いで受けてきました。以下▲3六角▽同飛成▲5二飛▽6三銀▲2二飛成と進みます。(図2)

【図2:▲2二飛成 まで】

先手は敵陣に飛車を打ち込み、攻めの体制を作ることに成功しました。途中▽6三銀と引かせた手は玉を固めさせて損したように見えますが、先述した▲5五角と出るために銀を引かせた巧妙な手順です。

図2の局面は先手が駒得ですし、課題だった8八角の活用も見込めているため、先手が若干指せる局面ではないかと思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題104-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三浦弘行九段 △阿久津主税八段 第77期順位戦 A級1回戦  より

                          

【問題図:▽3四銀 まで】

先手の▲4四歩に対して、いま後手が▽3四銀とかわしたところです。先手玉はいまの瞬間安泰なので、一気に後手玉を攻略したいところです。次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▲4三角です

【正解図:▲4三角 まで】

先手玉は後手に角を渡しても問題はないため、露骨に▲4三角と打ち込むのが最も厳しい攻めとなり、正解手です。

正解図から手抜いて▽8八銀は▲5四角成が攻防手となり先手勝勢です。そのため後手は▽同金と応じますが、以下▲同歩成▽同銀右▲4四歩としつこく攻めます。(図1)

【図1:▲4四歩 まで】

図1は▲4三歩成以下の詰めろです。そのため後手は▽5二銀と逃げますが、そこで▲5五桂と跳ねるのが気持ちの良い活用です。(図2)

【図2:▲5五桂 まで】

先手の攻め駒が全軍躍動の形になってきました。図2以下は▽3二金と壁型を解消しながら受けますが、以下▲4三歩成▽同銀引▲同桂左成▽同金に、三度▲4四歩と打ちます。(図3)

【図3:▲4四歩 まで】

図3は4筋の攻めが厳しく受けても一手一手の局面です。実戦も図3の最終手▲4四歩にて、後手の投了となりました。

すぐに先手の攻め駒と後手の守り駒を精算せずに、攻めの種駒を残しながら攻めた本手順は、非常に参考になる手順だったと思います。

 

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【次の一手|プロの実戦】問題103-雁木の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲森内俊之九段 △糸谷哲郎八段 第44期棋王戦挑戦者決定トーナメント より

                            

【問題図:▲6五同銀 まで】

後手の▽6五桂に対して、いま先手が▲6五同銀と取ったところです。後手は先手玉をどう寄せますか。次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▽4七桂成です

【正解図:▽4七桂成 まで】

▽4七桂成が寄せの決め手です。これは直前の先手の着手▲6五同銀で、4七の地点の守りが薄くなったところをついての攻めです。先手はこれを▲同玉と取るしかありません。

正解図以下、▲同玉▽4九龍▲3六玉▽3四銀と進みます。(図1)

【図1:▽3四銀 まで】

図1の最終手▽3四銀が、先手玉を上部から押さえる好手です。ついつい▽3五銀から飛車を取りにいってしまいそうですが、それは先手玉を上部に逃がしてしまうため失敗します。

図1は次に▽3五金以下の詰みを狙っています。実戦は図1以下▲2六玉と早逃げしますが、そこで▽1四歩が玉の逃げ道を塞ぐ手筋です。(図2)

【図2:▽1四歩 まで】

先手玉はなんとか上部に逃げだしたいところ、後手は上手く上から押さえつけています。図2以下は▲3六桂と打ちましたが、▽3五金▲1六玉▽6五銀と質駒の銀を取ります。(図3)

【図3:▽6五銀 まで】

問題図でぶつかっていた銀を、最後に取る手が決め手です。図3の局面は次に▽1五銀と▽2五銀打の狙いがわかっていても防ぐことができず、受け無しです。

正解手の▽4七桂成以下、先手玉を上部から押さえつける見事な手順だったと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

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【次の一手|プロの実戦】問題102-横歩取りの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲丸山忠久九段 △橋本崇載八段 第26期 銀河戦 本戦Aブロック 10回戦 より

                                            

【問題図:▽8四飛 まで】

いま後手が▽8四飛と打ったところです。ここで先手にはリードを確実にする一手があります。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                            

正解は▲8八角です

【正解図:▲8八角 まで】

問題図の最終手▽8四飛は先手の▲8二歩成を防ぎつつ、次に▽8九飛成を狙った一手です。先手は後手の狙いである▽8九飛成を防ぐ手を考えなければいけない局面でした。正解はその▽8九飛成を防ぐ▲8八角です。打った瞬間は働きの弱く打ちにくい角ですが、ここに角を打つ手が正解になります。

先手は角を手放しましたが、9一の香車を取れる見込みがあります。後手が歩超しに打った8四の飛車を目標に、8筋に香車を打つのを狙いにすれば先手が十分戦える局面です。実戦も正解図以下、▽5五角▲7二歩▽同金▲9一飛成▽1九角成▲8七香と進み、狙いの香打ちが実現させます。(図1)

【図1:▲8七香 まで】

図1以下は▽8五香と受けるしかありませんが、以下▲同香▽同桂▲8六金と進みます。後手の桂を働きの弱い8五へ飛ばせながら、先手の▲8八角も自然と働いてくる形になりました。(図2)

【図2:▲8六金 まで】

図2の形勢判断ですが、駒の損得がないため駒の働きに注目してみます。

飛車の働きを比較すると、後手の▽8四の飛車が働いていないのに対し、先手の龍は攻めの軸として活躍しそうです。また後手の馬に対して先手の角の働きが課題でしたが、金を8六に移動させることによって自然と活用できる形になってきました。

図2から後手は馬を活用したいところですが、▽6四馬と金取りに当てながら引いた場合、▲9五金と上がられて飛車を詰まされてしまいます。

 

そのため、実戦ではあらかじめ▽8三歩として飛車に紐をつけておきました。これは▲9五金には▽7七桂成とする狙いです。(そこで▲8四金とされた場合、飛車に紐をつけておけば▽8八成桂▲同銀▽8四歩として金を取り返すことができます)

ただ後手の▽8三歩に対して▲3七桂が中盤の決め手です。(図3)

【図3:▲3七桂 まで】

飛車だけでなく後手の馬も働きを失いました。図3の局面は2枚の大駒の働きの差が大きく、先手が大優勢の局面です。正解手▲8八角からの、見事な中盤の組み立てだったと思います。 

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

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【次の一手|プロの実戦】問題101-中飛車の序盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲里見香奈女流四冠 △村田智弘六段 第90期ヒューリック杯棋聖戦一次予選 より

                                                

【問題図:▽4三金 まで】

いま後手が▽4三金とあがったところです。ゴキゲン中飛車の何気ない序盤戦に見えますが、ここで先手に機敏な一手がありました。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                

正解は▲6五銀です

【正解図:▲6五銀 まで】

▲6五銀と出るのが機敏な一手でした。正解図以下▽同銀と取るのは、▲2二角成▽同玉▲5五角と進み、王手飛車がかかってゲームセットです。(参考図1)

【参考図1:▲5五角 まで】

実戦は正解図以下、▽7七角成▲同桂▽6五銀▲同桂▽6四銀▲5四歩▽5二歩▲4四銀と進みます。(図1)

【図1:▲4四銀 まで】

図1の最終手▲4四銀が狙いの一手で、▽同金に▲7一角で飛車と金取りの両取りを狙います。実戦もそう進み、図1以下▽同金▲7一角▽8六飛▲4四角成▽3三銀打▲7七馬▽8九飛成▲6六歩と進みます。(図2)

【図2:▲6六歩 まで】

図2の最終手▲6六歩としてじっと桂を支えた局面は、先手の自陣に引き付けた馬の働きが強力で、若干先手有利な局面ではないかと思います。先手は玉型がしっかりしていますし、次に▲6八金と飛車をぶつける狙いもあって楽しみが多い局面だと思います。後手陣の隙をついた▲6五銀が機敏な一手でした。

 


 

本局ではもう一つ、参考になった手順がありましたので、紹介させていただきます。

【問題図2:▽8五龍 まで】

前問から数手進んだ局面で、いま後手が▽8五龍としたところです。ここで先手にうまい手順があります。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲5三桂成です

【正解図2:▲5三桂成 まで】

▲5三桂成が狙いの一手でした。タダで捨てたように見えますが、正解図2以下、▽同歩に▲6五歩が狙いの手順です。(図3)

【図3:▲6五歩 まで】

▲6五歩とついた手が6四の銀と4四の銀の両取りになっています。▽同龍として6八の金に狙いをつけながら切り返したいところですが、それには▲4四馬と取る手が詰めろになるため効きません。(▲2二金まで)

そのため、実戦は図3から▽5五銀右と逃げましたが、以下▲同飛▽同銀▲同馬と進み、先手が大優勢となりました。(図4)

【図4:▲5五同馬 まで】

図は先手陣の美濃囲いがそのまま残って鉄壁なのに対し、後手には受けに適した駒がないため粘りが効かない格好です。図4以下は序中盤の優位を活かして里見女流四冠が快勝しています。後手陣の一瞬の隙をついた見事な序中盤の指し回しだったと思います。後手陣の一瞬の隙をついた見事な序中盤の指し回しだったと思います。

 

里見香奈女流四冠は次戦が藤井聡太七段との対局になるため、大注目のカードになりそうですね。

book.mynavi.jp

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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次の一手問題10選【問題数100題記念】

これまで日々作ってきた次の一手問題ですが、問題数が100題に到達しました。

100題に到達したことを記念して、これまでの100題の中から個人的に印象に残り、勉強になった次の一手問題を10題ピックアップしました。プロの公式戦で現れた好手・妙手を堪能しながら、棋力向上を目指してみてください。

【目次:次の一手問題10選 問題数100題記念】

 


1. 振り飛車らしい捌きの手順

▲中村太地王座 △澤田真吾六段 第76期順位戦B級2組11回戦 より

【問題図1:▲2二金 まで】

三手一組。振り飛車らしい捌きの手順です。

正解を表示する
正解は▽6六歩▲同金▽6二飛 です。

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


2.これぞプロの鬼手

▲木村一基九段 △青野照市九段 第89期棋聖戦二次予選 より

【問題図2:▽5二玉 まで】

実戦で指されると思わず飛び上がりそうな鬼の一手です。

正解を表示する
正解は▲4二銀です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


3.お洒落な寄せ

▲戸辺 誠七段 △畠山 鎮七段 第76期順位戦B級2組11回戦 より

【問題図3:▲3八銀 まで】

三手一組のお洒落な寄せです。

正解を表示する
正解は▽3六桂▲3七玉▽4八桂成です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


4.視野の広い攻め

▲金井恒太六段 △高見泰地六段 第3期叡王戦決勝七番勝負 第1局 より

【問題図4:▲5五金 まで】

盤面全体を広く見た攻めの手順です。

正解を表示する
正解は▽7四桂です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 

 


5.高速の寄せ

▲佐藤紳哉七段 △黒沢怜生五段 第76期順位戦C級2組9回戦 より

【問題図5:▲7九歩 まで】

プロが見せる高速の寄せです。

正解を表示する
正解は▽6七銀成です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


6.終盤の論理的思考

▲飯島栄治七段 △斎藤明日斗四段 第44期棋王戦予選 より

【問題図6:▲3四馬 まで】

三手一組、論理的な手順です。

正解を表示する
正解は▽9五角▲5八玉▽5六銀です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


7.参考になる大局観

▲佐藤康光九段 △永瀬拓矢七段 第31期竜王戦1組出場者決定戦 より

【問題図7:▲2三歩 まで】

進めば納得、参考になる大局観です。

正解を表示する
正解は▽同銀です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


8.ぴったりの決め手

▲屋敷伸之七段 △谷川浩司棋聖 第41期王位戦挑戦者決定戦  より

【問題図8:▲7九銀 まで】

これぞぴったりという一手です。

正解を表示する
正解は▽3七角です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 

 


9.セオリー通りの局面の創作

▲里見香奈女流王位 △渡部 愛女流二段 第29期女流王位戦五番勝負 第3局 より 

【問題図9:▲7七角 まで】

セオリー通りの局面を人為的に作り出します。

正解を表示する
正解は▽6六金です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 

 


10.軽手一発

▲菅井竜也王位 △増田康宏五段 第26期 銀河戦 本戦Fブロック 9回戦 より

【問題図10:▽7四飛 まで】

序盤戦をリードする軽手です。

正解を表示する
正解は▲8三歩です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 

 


 

印象に残った問題を10題取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか。

今後も次の一手問題は記事にしていきますので、引き続き棋力向上に活用してみてください。

 最後まで読んでいただきありがとうございました!

【次の一手|プロの実戦】問題100-相掛かりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲梶浦宏孝四段 △千田翔太六段 第44期棋王戦予選 より

                              

【問題図:▽7七歩 まで】

先手の▲7三歩成に対して、いま後手が▽7七歩と打ってきたところです。ここで先手には中盤でリードすることができる一手があります。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲6七金です

【正解図:▲6七金 まで】

問題図から▲同桂▽同桂成▲同銀▽同銀成▲同金と精算してしまうのは、以下▽7三金と手を戻されます。この手順は活用が怪しかった後手の▽8五桂、▽7六銀を捌かせてしまうので、後手も不満がない展開と言えるでしょう。

正解は▲6七金と強くあがる手です。以下▽同銀不成▲同角となった局面は、7二の金と8五の桂の両取りがかかっています。(図1)

【図1:▲6七同角 まで】

図1から▽7八歩成▲同角▽7三金と進めると、一見両取りが受かったように見えますが、そこで▲7五銀と打つと後手の飛車が詰んでいます。(参考図1)

【参考図1:▲7五銀 まで】

後手は飛車に弱い陣形です。飛車が取れる参考図1は先手が大優勢の展開です。

 

実戦は図1から▽6六飛と進みました。(図2)

【図2:▽6六飛 まで】

図2以下▲7二とや▲8五角には、いずれも▽7八歩成が狙いの反撃です。

実戦も図2以下▲7二と▽7八歩成と進みました。そこで▲6八歩が冷静な受けです。(図3)

【図3:▲6八歩 まで】

図3の局面は先手の銀得です。後手は駒損を解消したいところですが、▽8八とには▲8五角と桂を取られてしまうので、駒損を簡単に解消することができません。図3以下は先手が駒得を生かし、中盤戦を優位に進めることができました。

 

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