大人からの将棋上達ブログ

成人後に将棋を本格的に始め、24で六段になった将棋指しの

【次の一手|プロの実戦】問題104-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲三浦弘行九段 △阿久津主税八段 第77期順位戦 A級1回戦  より

                          

【問題図:▽3四銀 まで】

先手の▲4四歩に対して、いま後手が▽3四銀とかわしたところです。先手玉はいまの瞬間安泰なので、一気に後手玉を攻略したいところです。次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          

正解は▲4三角です

【正解図:▲4三角 まで】

先手玉は後手に角を渡しても問題はないため、露骨に▲4三角と打ち込むのが最も厳しい攻めとなり、正解手です。

正解図から手抜いて▽8八銀は▲5四角成が攻防手となり先手勝勢です。そのため後手は▽同金と応じますが、以下▲同歩成▽同銀右▲4四歩としつこく攻めます。(図1)

【図1:▲4四歩 まで】

図1は▲4三歩成以下の詰めろです。そのため後手は▽5二銀と逃げますが、そこで▲5五桂と跳ねるのが気持ちの良い活用です。(図2)

【図2:▲5五桂 まで】

先手の攻め駒が全軍躍動の形になってきました。図2以下は▽3二金と壁型を解消しながら受けますが、以下▲4三歩成▽同銀引▲同桂左成▽同金に、三度▲4四歩と打ちます。(図3)

【図3:▲4四歩 まで】

図3は4筋の攻めが厳しく受けても一手一手の局面です。実戦も図3の最終手▲4四歩にて、後手の投了となりました。

すぐに先手の攻め駒と後手の守り駒を精算せずに、攻めの種駒を残しながら攻めた本手順は、非常に参考になる手順だったと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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【次の一手|プロの実戦】問題103-雁木の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲森内俊之九段 △糸谷哲郎八段 第44期棋王戦挑戦者決定トーナメント より

                            

【問題図:▲6五同銀 まで】

後手の▽6五桂に対して、いま先手が▲6五同銀と取ったところです。後手は先手玉をどう寄せますか。次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▽4七桂成です

【正解図:▽4七桂成 まで】

▽4七桂成が寄せの決め手です。これは直前の先手の着手▲6五同銀で、4七の地点の守りが薄くなったところをついての攻めです。先手はこれを▲同玉と取るしかありません。

正解図以下、▲同玉▽4九龍▲3六玉▽3四銀と進みます。(図1)

【図1:▽3四銀 まで】

図1の最終手▽3四銀が、先手玉を上部から押さえる好手です。ついつい▽3五銀から飛車を取りにいってしまいそうですが、それは先手玉を上部に逃がしてしまうため失敗します。

図1は次に▽3五金以下の詰みを狙っています。実戦は図1以下▲2六玉と早逃げしますが、そこで▽1四歩が玉の逃げ道を塞ぐ手筋です。(図2)

【図2:▽1四歩 まで】

先手玉はなんとか上部に逃げだしたいところ、後手は上手く上から押さえつけています。図2以下は▲3六桂と打ちましたが、▽3五金▲1六玉▽6五銀と質駒の銀を取ります。(図3)

【図3:▽6五銀 まで】

問題図でぶつかっていた銀を、最後に取る手が決め手です。図3の局面は次に▽1五銀と▽2五銀打の狙いがわかっていても防ぐことができず、受け無しです。

正解手の▽4七桂成以下、先手玉を上部から押さえつける見事な手順だったと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

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【次の一手|プロの実戦】問題102-横歩取りの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲丸山忠久九段 △橋本崇載八段 第26期 銀河戦 本戦Aブロック 10回戦 より

                                            

【問題図:▽8四飛 まで】

いま後手が▽8四飛と打ったところです。ここで先手にはリードを確実にする一手があります。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                            

正解は▲8八角です

【正解図:▲8八角 まで】

問題図の最終手▽8四飛は先手の▲8二歩成を防ぎつつ、次に▽8九飛成を狙った一手です。先手は後手の狙いである▽8九飛成を防ぐ手を考えなければいけない局面でした。正解はその▽8九飛成を防ぐ▲8八角です。打った瞬間は働きの弱く打ちにくい角ですが、ここに角を打つ手が正解になります。

先手は角を手放しましたが、9一の香車を取れる見込みがあります。後手が歩超しに打った8四の飛車を目標に、8筋に香車を打つのを狙いにすれば先手が十分戦える局面です。実戦も正解図以下、▽5五角▲7二歩▽同金▲9一飛成▽1九角成▲8七香と進み、狙いの香打ちが実現させます。(図1)

【図1:▲8七香 まで】

図1以下は▽8五香と受けるしかありませんが、以下▲同香▽同桂▲8六金と進みます。後手の桂を働きの弱い8五へ飛ばせながら、先手の▲8八角も自然と働いてくる形になりました。(図2)

【図2:▲8六金 まで】

図2の形勢判断ですが、駒の損得がないため駒の働きに注目してみます。

飛車の働きを比較すると、後手の▽8四の飛車が働いていないのに対し、先手の龍は攻めの軸として活躍しそうです。また後手の馬に対して先手の角の働きが課題でしたが、金を8六に移動させることによって自然と活用できる形になってきました。

図2から後手は馬を活用したいところですが、▽6四馬と金取りに当てながら引いた場合、▲9五金と上がられて飛車を詰まされてしまいます。

 

そのため、実戦ではあらかじめ▽8三歩として飛車に紐をつけておきました。これは▲9五金には▽7七桂成とする狙いです。(そこで▲8四金とされた場合、飛車に紐をつけておけば▽8八成桂▲同銀▽8四歩として金を取り返すことができます)

ただ後手の▽8三歩に対して▲3七桂が中盤の決め手です。(図3)

【図3:▲3七桂 まで】

飛車だけでなく後手の馬も働きを失いました。図3の局面は2枚の大駒の働きの差が大きく、先手が大優勢の局面です。正解手▲8八角からの、見事な中盤の組み立てだったと思います。 

 

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【次の一手|プロの実戦】問題101-中飛車の序盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲里見香奈女流四冠 △村田智弘六段 第90期ヒューリック杯棋聖戦一次予選 より

                                                

【問題図:▽4三金 まで】

いま後手が▽4三金とあがったところです。ゴキゲン中飛車の何気ない序盤戦に見えますが、ここで先手に機敏な一手がありました。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                

正解は▲6五銀です

【正解図:▲6五銀 まで】

▲6五銀と出るのが機敏な一手でした。正解図以下▽同銀と取るのは、▲2二角成▽同玉▲5五角と進み、王手飛車がかかってゲームセットです。(参考図1)

【参考図1:▲5五角 まで】

実戦は正解図以下、▽7七角成▲同桂▽6五銀▲同桂▽6四銀▲5四歩▽5二歩▲4四銀と進みます。(図1)

【図1:▲4四銀 まで】

図1の最終手▲4四銀が狙いの一手で、▽同金に▲7一角で飛車と金取りの両取りを狙います。実戦もそう進み、図1以下▽同金▲7一角▽8六飛▲4四角成▽3三銀打▲7七馬▽8九飛成▲6六歩と進みます。(図2)

【図2:▲6六歩 まで】

図2の最終手▲6六歩としてじっと桂を支えた局面は、先手の自陣に引き付けた馬の働きが強力で、若干先手有利な局面ではないかと思います。先手は玉型がしっかりしていますし、次に▲6八金と飛車をぶつける狙いもあって楽しみが多い局面だと思います。後手陣の隙をついた▲6五銀が機敏な一手でした。

 


 

本局ではもう一つ、参考になった手順がありましたので、紹介させていただきます。

【問題図2:▽8五龍 まで】

前問から数手進んだ局面で、いま後手が▽8五龍としたところです。ここで先手にうまい手順があります。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は▲5三桂成です

【正解図2:▲5三桂成 まで】

▲5三桂成が狙いの一手でした。タダで捨てたように見えますが、正解図2以下、▽同歩に▲6五歩が狙いの手順です。(図3)

【図3:▲6五歩 まで】

▲6五歩とついた手が6四の銀と4四の銀の両取りになっています。▽同龍として6八の金に狙いをつけながら切り返したいところですが、それには▲4四馬と取る手が詰めろになるため効きません。(▲2二金まで)

そのため、実戦は図3から▽5五銀右と逃げましたが、以下▲同飛▽同銀▲同馬と進み、先手が大優勢となりました。(図4)

【図4:▲5五同馬 まで】

図は先手陣の美濃囲いがそのまま残って鉄壁なのに対し、後手には受けに適した駒がないため粘りが効かない格好です。図4以下は序中盤の優位を活かして里見女流四冠が快勝しています。後手陣の一瞬の隙をついた見事な序中盤の指し回しだったと思います。後手陣の一瞬の隙をついた見事な序中盤の指し回しだったと思います。

 

里見香奈女流四冠は次戦が藤井聡太七段との対局になるため、大注目のカードになりそうですね。

book.mynavi.jp

 

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次の一手問題10選【問題数100題記念】

これまで日々作ってきた次の一手問題ですが、問題数が100題に到達しました。

100題に到達したことを記念して、これまでの100題の中から個人的に印象に残り、勉強になった次の一手問題を10題ピックアップしました。プロの公式戦で現れた好手・妙手を堪能しながら、棋力向上を目指してみてください。

【目次:次の一手問題10選 問題数100題記念】

 


1. 振り飛車らしい捌きの手順

▲中村太地王座 △澤田真吾六段 第76期順位戦B級2組11回戦 より

【問題図1:▲2二金 まで】

三手一組。振り飛車らしい捌きの手順です。

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正解は▽6六歩▲同金▽6二飛 です。

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


2.これぞプロの鬼手

▲木村一基九段 △青野照市九段 第89期棋聖戦二次予選 より

【問題図2:▽5二玉 まで】

実戦で指されると思わず飛び上がりそうな鬼の一手です。

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正解は▲4二銀です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


3.お洒落な寄せ

▲戸辺 誠七段 △畠山 鎮七段 第76期順位戦B級2組11回戦 より

【問題図3:▲3八銀 まで】

三手一組のお洒落な寄せです。

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正解は▽3六桂▲3七玉▽4八桂成です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


4.視野の広い攻め

▲金井恒太六段 △高見泰地六段 第3期叡王戦決勝七番勝負 第1局 より

【問題図4:▲5五金 まで】

盤面全体を広く見た攻めの手順です。

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正解は▽7四桂です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 

 


5.高速の寄せ

▲佐藤紳哉七段 △黒沢怜生五段 第76期順位戦C級2組9回戦 より

【問題図5:▲7九歩 まで】

プロが見せる高速の寄せです。

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正解は▽6七銀成です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


6.終盤の論理的思考

▲飯島栄治七段 △斎藤明日斗四段 第44期棋王戦予選 より

【問題図6:▲3四馬 まで】

三手一組、論理的な手順です。

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正解は▽9五角▲5八玉▽5六銀です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


7.参考になる大局観

▲佐藤康光九段 △永瀬拓矢七段 第31期竜王戦1組出場者決定戦 より

【問題図7:▲2三歩 まで】

進めば納得、参考になる大局観です。

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正解は▽同銀です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 


8.ぴったりの決め手

▲屋敷伸之七段 △谷川浩司棋聖 第41期王位戦挑戦者決定戦  より

【問題図8:▲7九銀 まで】

これぞぴったりという一手です。

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正解は▽3七角です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 

 


9.セオリー通りの局面の創作

▲里見香奈女流王位 △渡部 愛女流二段 第29期女流王位戦五番勝負 第3局 より 

【問題図9:▲7七角 まで】

セオリー通りの局面を人為的に作り出します。

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正解は▽6六金です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 

 


10.軽手一発

▲菅井竜也王位 △増田康宏五段 第26期 銀河戦 本戦Fブロック 9回戦 より

【問題図10:▽7四飛 まで】

序盤戦をリードする軽手です。

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正解は▲8三歩です

詳しい解説は以下の記事に記載しています。

 

 


 

印象に残った問題を10題取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか。

今後も次の一手問題は記事にしていきますので、引き続き棋力向上に活用してみてください。

 最後まで読んでいただきありがとうございました!

【次の一手|プロの実戦】問題100-相掛かりの中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲梶浦宏孝四段 △千田翔太六段 第44期棋王戦予選 より

                              

【問題図:▽7七歩 まで】

先手の▲7三歩成に対して、いま後手が▽7七歩と打ってきたところです。ここで先手には中盤でリードすることができる一手があります。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              

正解は▲6七金です

【正解図:▲6七金 まで】

問題図から▲同桂▽同桂成▲同銀▽同銀成▲同金と精算してしまうのは、以下▽7三金と手を戻されます。この手順は活用が怪しかった後手の▽8五桂、▽7六銀を捌かせてしまうので、後手も不満がない展開と言えるでしょう。

正解は▲6七金と強くあがる手です。以下▽同銀不成▲同角となった局面は、7二の金と8五の桂の両取りがかかっています。(図1)

【図1:▲6七同角 まで】

図1から▽7八歩成▲同角▽7三金と進めると、一見両取りが受かったように見えますが、そこで▲7五銀と打つと後手の飛車が詰んでいます。(参考図1)

【参考図1:▲7五銀 まで】

後手は飛車に弱い陣形です。飛車が取れる参考図1は先手が大優勢の展開です。

 

実戦は図1から▽6六飛と進みました。(図2)

【図2:▽6六飛 まで】

図2以下▲7二とや▲8五角には、いずれも▽7八歩成が狙いの反撃です。

実戦も図2以下▲7二と▽7八歩成と進みました。そこで▲6八歩が冷静な受けです。(図3)

【図3:▲6八歩 まで】

図3の局面は先手の銀得です。後手は駒損を解消したいところですが、▽8八とには▲8五角と桂を取られてしまうので、駒損を簡単に解消することができません。図3以下は先手が駒得を生かし、中盤戦を優位に進めることができました。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

 

【次の一手|プロの実戦】問題99-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲増田康宏六段 △佐藤慎一五段 第3回YAMADAチャレンジ杯トーナメント戦 より

                        

【問題図:▽4二金引 まで】

先手の▲4一角に対し、後手が▽4二金引と金を引いて受けたところです。ここで寄せの決め手があります。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        

正解は▲3四歩です

【正解図:▲3四歩 まで】

問題図から角を逃げるようではチャンスを逃してしまいます。ここでは角を逃げずに踏み込む▲3四歩が正解です。

正解図以下▽4一金と角を取るのは、▲3三歩成が厳しい一手です。(参考図1)

【参考図1:▲3三歩成 まで】

参考図1以下▽同金は▲2二飛▽1二玉▲1二銀で詰みです。

参考図1以下、と金を取らずに▽2一香と受けるのは、以下▲3二と▽同金▲6二飛▽3一銀▲3四香が一例の攻めで、後手の受けがなくなります。

 

実戦は正解図より▽同銀▲3二角成▽同金▲6二飛と進みます。(図1)

【図1:▲6二飛 まで】

図1の最終手▲6二飛と打った局面で、後手玉には受けが無くなっています。3二の金を守るような▽4二香や▽4二銀はすべて▲同飛成▽同金▲2二金という手順で詰まされてしまいます。実戦でも図1の最終手▲6二飛にて後手の投了となりました。

正解手の▲3四歩により、後手の守備駒の銀を3四に移動させているのが大きなところです。これによって2二への効きが無くなり、守備駒としての役割を失っています。一歩で守備駒を無力化させる、見事な終盤の手筋だったと思います。


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【次の一手|プロの実戦】問題98-相掛かりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲佐藤天彦名人 △佐藤和俊六段 第31期竜王戦2組昇級者決定戦 より

                                      

【問題図:▽2二香 まで】

いま後手が▽2二香と受けたところです。先手の攻めの継続手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                      

正解は▲2二同飛成です

【正解図:▲2二同飛成 まで】

問題図では、飛車を渡しても先手玉は詰めろにはなりません。正解手の▲2二同飛成はこの瞬間に後手玉を受け無しに追い込む狙いです。

正解図以下は▽同金▲2三歩と進みます。(図1)

        

【図1:▲2三歩 まで】

図1以下▽同金は、▲同角成▽同玉▲2四歩▽同玉▲2七香▽2五歩▲同香▽1四玉▲4九龍が一例の進行です。(参考図1)

【参考図1:▲4九龍 まで】

▲4九龍が後手の攻めの要である角を取りながら詰めろをかける決め手です。参考図1は次に▲2三角以下の詰めろになっており、先手が勝勢です。

 

また、図1から▽3三金と逃げるのは▲2五香▽2四桂▲4九龍▽同金▲4二角が一例の進行です。(参考図2)

【参考図2:▲4二角 まで】

ここでも▲4九龍が決め手です。参考図2は▲2二歩成▽同玉▲3三角成以下の詰めろになっていますが、後手にはこれを受ける適切な手がありません。また後手は飛車を二枚所持していますが、▽9八飛と打つ手には▲7八歩と受けておけば先手玉は寄りません。参考図2も先手が勝勢の局面だと思います。

 

後手は正解図から単純な受けをすると、いずれも▲4九龍を攻防の決め手にされてしまいました。そこで実戦では図1以下▽5八角成▲同玉▽4八金▲同玉▽2八飛と、飛車の効きを使って受けてきました。(図2)

【図2:▽2八飛 まで】

図2以下は▲3八金▽2三飛成▲同角成▽同金▲2四歩▽同金▲2五歩▽2三金▲2四香と進みます。(図3)

【図3:▽2四香 まで】

先手は▲2四歩~▲2五歩と後手の守りの金を確実に攻めていきます。後手は飛車を受けに使ってしまったため、先手玉に厳しい攻めが出来ないことを見越しています。

図3は受けても1手1手で先手勝勢です。実戦も▽2二歩▲4二銀成と進み、後手の投了となりました。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

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【次の一手|プロの実戦】問題97-中飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲渡部 愛女流二段 △里見香奈女流王位 第29期女流王位戦五番勝負 第4局 より

                                                

【問題図:▽4三同銀 まで】

いま後手が▽4三同銀として、と金を取ったところです。後手の狙い筋を見切って攻めていきたいところです。先手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                

正解は▲4九飛です

【正解図:▲4九飛 まで】

問題図から単純に▲4三桂成と攻めていくのは、▽4八飛▲5八香▽4三飛成とされてしまい、後手玉への攻めが一気に遠のいてしまいます。(参考図1)

【参考図1:▽4三飛成 まで】

そのため、先手は後手の▽4八飛を消しながら攻めなければいけません。

正解手の▲4九飛は後手から▽4八飛と打たれる手を消してから、▲4三の地点を攻めていく狙いです。

【正解図:▲4九飛 まで(再掲)】

これに対して4三の地点を後手は数で受けることはできません。(例えば▽4二歩としても▲4三桂成▽同歩▲同飛成以下詰みです)

部分的な受けとしては▽4四銀直と攻められそうな銀を移動させるくらいですが、それには▲4三金が攻めの継続手で、寄せきれそうな展開です。(参考図2)

【参考図2:▲4三金 まで】

実戦は正解図以下、▽2八飛▲5八香▽5九銀と進行します。(図1)

【図1:▽5九銀 まで】

図1の最終手▽5九銀は▲同玉なら▽4八歩と打つ狙いです。▽5九銀を打たずに単に▽4八歩だと、▽4九歩成が王手にならないため、▲4三桂成と詰めろをかけられて負けです。

図1以下、実戦は▲5九同飛と対応して銀を取り、持ち駒の差で体力勝ちを目指していきました。以下先手は豊富な金銀の持ち駒で後手玉を攻めていき、十数手後に後手玉を受け無しに追い込んでいます。

 

ちなみに問題図から▲4八香と打つのも、後手の▽4八飛を防ぎながら同じような意味の手で、好手に見えます。(参考図3)

【参考図3:▲4八香 まで】

これには▽4二歩という数の受けが効きます。先述した通り▲4九飛の時には指せない一手でした。参考図3以下▽4二歩▲4三香成▽同歩▲4九飛(▲同桂成は▽4八飛)と進んだ局面は先手が得をしているように見えますが、以下▽2八飛▲5八銀▽5二銀▲4三桂成▽4六桂が一例の進行です。(参考図4)

【参考図4:▽4六桂 まで】

参考図4の局面は先手の攻めを受けながら5八の地点を狙われ、攻守逆転で後手が優勢だと思います。そのため、実戦の▲4九飛が最善の一手だったと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

 

【次の一手|プロの実戦】問題96-中飛車の終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲青嶋未来五段 △永瀬拓矢七段 第66期王座戦挑戦者決定トーナメント  より

※千日手指し直し局

                                

【問題図:▲8一龍 まで】

いま先手が▲8一龍と桂を取ったところです。次に▲4四桂の狙いですが、どのように受けますか。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                

正解は▽5三銀引です

【正解図:▽5三銀引 まで】

問題図から▽4三歩と受けるのも自然に見えますが、以下▲4八銀▽8九飛成▲2六馬が一例の進行手順です。(参考図1)

                

【参考図1:▲2六馬 まで】

元々の形勢差もあり参考図1でも後手が優勢ですが、先手も自陣に馬を引き付け、しばらく粘れそうな展開です。この展開よりも、正解手の▽5三銀引のほうが勝ります。

【正解図:▽5三銀引 まで(再掲)】

一見▲4四桂と打てそうに見えますが、それには▽同銀と取った手が▽3六桂▲1八玉▽2九銀という詰めろになってしまいます。そのため正解図で▲4四桂とは打てません。

正解図では▲5三馬と▲4九銀について両取りがかかっています。馬を逃げると▽5九飛成と銀を取られてしまうため、正解図以下は▽5三同馬▲同銀▽4八銀と進めるくらいしかないと思います。(参考図2)

【参考図2:▽4八銀 まで】

参考図1と比較してみてください。やはり馬がいなくなると先手陣が手薄な印象があります。後手はこの後は▽8九飛成から▽3六桂を狙いにして、後手がはっきり優勢な局面だと思います。

実戦は正解手の▽5三銀引にて先手の投了となりました。受けの決め手だったと思います。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

 

【次の一手|プロの実戦】問題95-角換わりの終盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲澤田真吾六段 △郷田真隆九段 第26期 銀河戦 本戦Eブロック 9回戦 より

                            

【問題図:▲8六桂 まで】

いま先手が▲8六桂と打ち、自玉の詰めろを受けたところです。後手の次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▽2六歩です

【正解図:▽2六歩 まで】

▽2六歩と打つのが正解です。2七にいる飛車が攻防に働いているため、役割をどちらかに制限するよう打診した一手です。

▲同飛と取れば3段目からズレるため自玉への守りの役割が無くなりますし、▲3七飛と3段目で飛車を保つと今度は後手玉への攻めの役割が無くなります。

 

実戦は正解図以下▲2六同飛と取りました。以下▽7八銀不成▲同玉▽7七角成▲同玉▽6七金と進みます。(図1)

【図1:▽6七金 まで】

図1以下は▲8八玉▽7七銀▲9八玉▽8七桂成▲同玉▽8六飛▲9七玉▽8八飛成までの詰みです。実戦は図1の局面で先手の投了となりました。

 

正解図から▲3七飛と逃げるのは、先述の通り後手玉への攻めの働きが無くなるため、後手はゆっくり攻めて問題ないかと思います。一例としては▽7六歩と打つ手があります。(参考図1)

【参考図1:▽7六歩 まで】

参考図1以下は▲同銀▽9九角成▲同玉▽7八銀成という手順が一例です。

 

また、正解図から飛車を逃げずに▲2四歩と攻め合いに行く手は、▽2七歩成で後手が勝勢です。(参考図2)

【参考図2:▽2七歩成 まで】

参考図2から▲2三歩成は▽7八銀不成以下、実戦と同じ進行で詰みです。

そのため先手は▲4一金▽2二玉▲2三歩成と迫りますが、以下▽同玉の局面は後手玉が詰まないため、後手が勝ち筋です。(参考図3)

【参考図3:▽2三同玉 まで】

この問題で現れた▽2六歩のように、終盤は役割を多く担っている駒に対して役割を打診する一手が急所になりやすいです。覚えておくと良いのではないでしょうか。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!

【次の一手|プロの実戦】問題94-中飛車の中盤戦

プロ棋士の実戦棋譜から、これは凄い!と感じた一手や、覚えておくと棋力向上に繋がりそうな手筋などを、「次の一手」の問題形式で紹介します。問題を解いて棋力アップを目指してください。

今回は以下の棋戦からの紹介です。

▲宮本広志五段 △東 和男八段 第31期竜王戦6組昇級者決定戦 より

                            

【問題図:▽6八銀 まで】

いま後手が▽6八銀と打ち、飛車を取りにきました。先手は飛車を取らせる代償を求めたいところです。次の一手を考えてみてください。

 (正解は下にスクロールするとあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            

正解は▲6七金です

【正解図:▲6七金 まで】

▽6八銀と打たれた問題図の局面は、先手の飛車の行き場所が無いため、飛車を助けることはできません。先手も飛車を取らせるかわりに何か代償を求めたいところでした。

正解は▲6七金と角取りに金を寄る手です。これは飛車を取らせる代わりに、後手の角を取りに行った一手です。例えば正解図から▽4六角成などとして角を逃げてしまうのは、▲6八金と打ったばかりの銀をタダで取られてしまいます。(参考図1)

【参考図1:▲6八金 まで】

これは後手の駒損が大きく、先手が勝勢です。

そのため、正解図から▽6九銀成と飛車を取るしかありませんが、先手も▲5七金と角を取り返します。(図1)

【図1:▲5七金 まで】

一連の手順で飛車と角の交換になりました。先手が依然駒得であり、陣形差でも上回っているため、先手が優勢な局面だと思います。

また、この手順で先手は使えていなかった▲7七金を、自玉の守りに近い場所(▲5七金)まで移動させることができました。このように、ただ相手の駒を取るだけでなく、守りを固めることもできる一手は一手以上の価値があります。中盤以降は一手で一手以上の価値がある手が発生しやすくなるので、狙っていきたいところです。

 

いかがでしたでしょうか?問題の感想などございましたら、コメントをいただければ幸いです。

もしよければ、以下の問題にもチャレンジしてみてください!